長い間うつでしたというお話
※はじめに
この内容はあくまで個人的な体験に基づいたものであり、紹介している症状も主観的なものです。記載した対処法についても医学的な根拠に基づいたものではありません。そのことをご理解いただいたうえで読み進めてくださいm(__)m
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2021年の3月末から改善しはじめて、いまではもう笑って話せる過去になったけれど、長いことうつ状態にあった。アフリカにいた頃(2017年)に初期症状が出始めて、2020年末から年明け2月ごろピーク=どん底に。
最初にことわっておくと、こうして書くことで同情を乞いたいわけではなくて、むしろ「大変だったねー!」と一緒に笑い飛ばしてください(笑)
公開するかしないかで1か月ほど迷ったけど、自分のためというよりは、同じような状態にある人になにかしら感じ取ってもらえるものがあればいいなと思って筆(キーボード)を取る(叩いてみる)。
死にたいという感覚は普通だと思ってた
みんな「死にたい」と思いながら毎日生きてるものだと思っていた。世の中大変なのにみんなちゃんと生きてるんだから本当にすごいよなぁと。(生きてるだけでもすごいという感覚はいまも変わらずだけど笑)。
そのことを人に話したときに驚かれたのが、まともな状態ではないのだと自覚するきっかけだった。いつ始まったのかはわからないけれど、深く考えすぎてしまう生来の性質と家族関係、アフリカでのいろんな体験が積もり積もった結果かなと思う。
強いストレスがかかる要因が一定数以上あると、うつになる確率が上がる、というデータを以前みたことがある。やっかいな問題を同時に複数抱えるとメンタルがダウンしやすくなるらしく、色んなタイミングが重なったんだろうなと思う(※出来れば元データを貼りたかったけど、見つからないので話半分に)。
死にたい、という希死念慮以外に、離人症、何をしてても人の目が気になる、食欲減退 or 異常な食欲、睡眠不足、倦怠感、涙もろくなる、微熱(37~37℃後半)が数か月つづくなど、年末年始のピーク時には統合失調症等にみられる症状も。
と言っても、あくまでネット上にも出てくる抽象的な例だから、もう少し肌感覚のわかるものをあげると、人を頼れない(頼ってはいけないと思う)、やっていること全てが無意味に感じる、人からのほめ言葉は嘘だと思う、好きだったものへの興味がなくなる(僕の場合は読書)、自傷行為(自分のほほを殴るとか)など。
自分の状態がすこしおかしいなと感じたときに、オンラインのうつ診断をやってみたり、メンタルクリニックに行こうとしたけれど、自分がうつであることを受け入れることが怖くて、結局病院にはいけなかった(オンライン診断では医療機関を受診しましょうと出た)。人に相談するには重すぎるよなと変に冷静になり、誰かに打ち明けることもできずもてあましていた。
昨夏、実家から出たことは改善にむけた一つの転機になったと思う。コロナも落ち着いていた8月半ばに家を出ようと思い立ち、二週間で物件を決めて9月初旬には引越しを終えた。一人暮らしの大変さはあれど、デフォルトになっていた家族由来のストレスから解放されたから、いま思うといい決断だった。
(荒川土手でほぼ毎日見れる夕日)
と、思いきやその直後に減給を言い渡され、メンタルはまさにローラーコースター。笑
どうやって乗り越えたか
今冬迎えたピーク期の日記を見返すと、ちょっとここでは書けないようなネガティブワールドが全開。笑
どうやって乗り越えられたのかを考えると、何か「これ!」という直接的なイベントがあったわけではない。もちろん引っ越したことに大きな意味はあったけれど、それよりも、少しずつ自己認知を変える意識をしはじめたことが、結果としてもっともワークした。
これまで、セルフイメージがとにかくマイナスのベクトルに向いていて、上手くいかない時は常に自分の能力不足だと責め立てていた。いま出来ないことはしかたない、出来るようになるにはどうすればいいか、を考えることができず、自分をダメな奴だと片づけてしまう思考のクセがあった(なぜそうなったのかは思い当たる節があるけれど、ここでは控える)。
そこから、自分はどう在りたいのか、その理想に近づくには何が必要なのか、理想と現状の差分を言語化して整理するなど、物事をなるべくシンプルに捉える意識をしはじめたのが2月ごろ。自分の感情を引きはがして事実とむき合い、改善策を考えるようになってから、少しずつセルフイメージがかわっていく実感を得られた。
いまもダウンになることはたまにあるけれど、その事実をネガティブに捉えずに、何がきっかけでそうなるのかを冷静に見つめたり、どうすれば上向きになるのかを考えるようにしている。それから、ダウンしはじめたときも無理にいい状態に持っていこうとせずに、それ以上下げない=そのときの最低ラインを維持することを最優先にしている。
そうやってダウンになりそうな時も、2歩進んで2歩下がる(何が何でもそれ以上気持ちをさげないこと)、を自分ルールにしてから改善速度はかなりあがった。2歩で踏みとどまるために、僕の場合はひたすら料理する、登山などのアクティビティや自転車で出かける、深く考えないなど、いくつか対策がみえてきたけれど、ここは人によって変わるだろうから色々試すほかない。
3年半苦しんできたうつ状態から回復しつつあるなかで、うつは誰しもが経験し得るものだと感じる(もちろん、全ての人がまったく異なる性質を持っているから一概には言えないけれど)。
自分なりの対処法を探る以外に根本的な解消はできないとしても、うつが"特殊な病気"ではなく、多くの人にとって所与のものだと社会的に認知されること、そして気楽に人に話せる環境を築くことが、一番の救いになると思う。
6月ごろ、診断をもらうためではなく、自分の中で「もう大丈夫だ」と、けじめをつけるためにメンタルクリニックに行ったら、腫れものにさわるような接し方をされてモヤモヤを抱いた。僕には想像するしかない、あるいは想像すらできない辛い境遇に置かれた人がいるのは認識しているけれど、うつ状態が"病気"という分類ではなくなる日が来るといいなと、勝手ながら思う。
最後に
自分の状態が改善してきたここ半年間の学びと、どうして記事として公開したのかを最後に書きたい。
大きな学びは二つ。一つは内面的な変化を実感するまでには時間がかかること。もう一つは、メンタルウェルネスの向上には足し算よりも引き算が重要だということ。
自己認知をいい方向に変えるためには結構なエネルギーが必要で、前に進んだり後退したりを繰り返すなかで少しずつ改善されていくから、すぐに変われないことを嘆くよりも、自分が変化していくプロセスを楽しめるような気長なマインドセットを持てるといいなと思う(うつに限らず)。あとはちゃんと話を聞いてくれる人がいることも欠かせない。
2つ目、自分の幸福度を上げたいと思ったときに、消費に走ったり新しく何かを生活に組み入れるよりも、ストレスの原因を特定し、それを取り除く努力をする方がはるかに効果的ということ。
もし自力でストレスの対象を取り除くことができなかったとしても、その事実に対して自分がどう対処するか、反応するかは選択の余地があるから、そもそもの原因を知覚することが第一歩だと思う。その手段として他者との対話は有効だから、話を聞いてくれる人がいたことは本当に救いになった。
ここまで書いてみて、うつの体験をまるっと言葉にすることで、読んでくれた誰かの救いになるといいなというのが、記事として公開するモチベーションになったように思う。アクティブで悩みのなさそうな人間に思われることが多いけれど、そんなことはなくて、無駄に考えすぎて勝手に沈んでいくタイプ。
インスタントなHow toとして書こうと思えば、「こういうときはこうしろ」みたいな書き方もできた気もするけど、回復するまでの不格好でいびつなプロセスを垣間見れる方が読んだ人の気休めになったりするのかなと思い、あえて細かくまとめてみた(多少のエゴ笑)。
もし僕が願うかたちでだれかのためにならなかったとしても、メンタルヘルスにかんする自分なりのインサイトは、ときおりまとめてみようと思う。
いま振り返ってみると、ズーンと落ちるところまで落ちてから上昇するまでのプロセスをぐるっと経験できてよかったなと思うし、これからおなじような状態になっても乗り越えられるという自信にもつながったからよし。
難しく考えすぎず、Take it easyをモットーにしていこうと思います(笑)
(ナイル川のバンジーで半身突っ込んだ図。落ちても上がるよというメタファーです笑)