THE SPELLBOUND - BIG LOVE TOUR Vol. 2 2024 - Voyager -
セットリストの組み方、そして個人的な感触としてもBOOM BOOM SATELLITESがようやく本当に前向きな意味で終わることを目指したライブであるように思えてしまった。川島道行の逝去後、しばらく経ってから行われたスタジオコーストでのBBSとして最後のライブはフロアが超満員であったため立っているだけで精一杯で、正直なにも覚えていない。そんなこともあって個人的には常に曖昧で消化しきれない思いがBBSに対してはあったような気がするのだけれど、今回のTHE SPELLBOUNDとしてのライブを見ているうちにその思いが浄化されていくような感覚を覚えた。あらゆるものが全て過去になっていくのは少し寂しいけれど、そこで初めて時間が経過した実感や今まで生きてきた日々の意味、そして自分の現在地がわかり始めるような気もしている。小林祐介の歌声があまりにも自然にBBSの楽曲に馴染んでいて、過去の音声のみで再現された歌声よりもそこには自然に川島の面影が立ち上がるようですらあった。久々に中野雅之の姿を見れたのもよかった。写真や動画で最近の姿を見ると、少し疲れを感じさせるような印象もあったのだけれど、ステージ上での中野はとてもポジティブなバイブスを放っていたので安心した。THE SPELLBOUNDの楽曲自体は、今までとは違う層に向けて作られているのだなということは非常に明確だ。ただ、中野はそれをやることによって目指しているものがあるのだろうし、今回のライブはそこにおいてひとつの大きな到達点だったのではないかなと思う。少なくとも自分は、MORNING AFTERのベースが鳴り始めた瞬間に涙腺が緩んでしまった。泣くような曲ではないのだけれど、素直にとても嬉しかった。すごい好きだったのだなと、やっと気づいたのかもしれない。