意外とボケ側の人って自覚がない件
さて思いつかない。
何も思いつかない。
特に悩み事があるわけではないから頭の中が空っぽだ。
「何考えているか分からない」と言われることがある。
だいたい何も考えていない。
考え事をしているときは明らかに険しい表情や忙しく動いていることが多いから、「何考えているか分からない」と思われるときは本当に何も考えていない。
あとそもそも論として他人に自分の考えを伝えるのが苦手である。
仕事やプライベートに関わらず、自分の意見や感想を口に出して伝えるのが小さい頃から苦手だ。
お笑い芸人のように思ったことを瞬時に面白いワードで言えるのは本当にすごいと思う。
地元が関西なので「〇〇より俺の方が面白いわ!」なんて言う人を何人も見てきたが、本当に面白い人はいなかった。
ちなみに僕も遊びでお笑いをやったことが2年くらいある。
大学に入って授業もバイトもつまらなく、「何か思い出になることをやってみたい」と思って、お笑いに目を付けた。
とはいえ友達に「お笑いやりたいから相方になって」と言いづらくて、匿名の掲示板で探した。
意外と同い年の男の子と出会うことができた。
住んでる場所も近くて集まるのは簡単だった。
お互い本気ではなく「趣味」の範疇だったけど、週一くらいでは合っていたと思う。
ネタ作りはファミレスで、ネタ合わせはカラオケや公園が多かった。
なんばグランド花月の若手ライブやキングオブコントの予選にも出た。
基本的にウケないし1回戦で負けるが、そこまで悔しくなくて楽しかった。
今振り返ると本当に「お遊び」のレベルとしてだったので、
本気で取り組んでいる方たちには失礼だっただろう。
一番驚いたのが人数の多さだった。
養成所から来る人だけでも大量の人だったし、僕らのような一般枠は誰でも応募できるので結果的に数百人くらいが1つのブロックに集まることになる。
それが全国にあるわけだから1万人くらいは参加してるんじゃないかと思う。
テレビで売れる人はバケモノだと思った。
あと面白いのが、僕らと同じ一般の人でもウケる人がいたことだ。
競技のジャンルとしてはスポーツや勉強に近い。
忖度や経済力は関係なくて「その時の実力のある人が結果を出す」という分かりやすい仕組みだ。
もちろん先輩、後輩の上下関係はあるが、「ウケた人がすごい」という絶対的な「ものさし」があるのは珍しい業界だと思う。
テレビ出演までいくと政治や知名度など色んな要素が出てきそうだが、ショーレースは本当にシンプルな闘いだ。
仕事としてやるのはキツそうでも、「趣味」であれば僕はお笑いをおススメしたいと思う。
ちなみに大人になって周りから言われて気付いたのだが、僕はボケの立場らしい。
でも当時はツッコミを担当していて、「もしボケだったらどんな感じだったんだろう」とたまに考えることがある。
そうは言っても面白いギャグなんて作ったことないし、作れなさそうだ。
普段の会話でも狙った言葉でウケたことはない。
だいたい何も考えずに自然に振舞ってる方がウケることが多い。
友人のエピソードトークで出てくる僕の話題を聞くと、
「それってそんなに面白く見えたんだ~」という感覚。
だからこそお笑いは本当に難しいと思う。
ただ厄介なのは僕のようなタイプは社会に出ると仕事面で相当苦労する。
プライベートだと「面白い」になっていたことが、仕事になると「ふざけている」「手を抜いている」という扱いになってしまうからだ。
そこも含めて可愛がってくれる上司に当たるとラッキーだが、たいていの場合はしんどいサラリーマン生活になるだろう。
僕の場合は小さく結果を出し続けていたから、それなりに大丈夫だったけど、「意外と仕事できるね」と言われることが多かった。
「意外とって何だよ」って感じ。