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深夜ラジオから流れた「生きててよかった。」
「生きててよかった。生きててよかった。
生きててよかった。そんな夜を探してる。」
フラワーカンパニーズの「深夜高速」という曲のサビである。
とてもストレートだけど、心の深くに刺さるような楽曲で、この曲だけを様々なアーティストがカバーしたアルバムさえあるほどの名曲。
今回はこの曲と僕の出会いの話。
人生で初めて「死なないで。」と感じた。
今から4年前。上のお兄ちゃんが2歳の頃。
週末に高熱を出して、なかなか熱が下がらなかった。
週末が明けてもなかなか下がらないから、そろそろ病院へ連れて行こうかと言って着替えさせていた矢先..。
突然ふらふらっとしたと思ったら、目がぐわんっと白目を剥き、倒れる。
それだけでも頭が真っ白だったが、さらに追い打ちをかけるように痙攣が発生。
怖かった。
怖すぎて、気が動転して、正直あまり詳細には覚えていないのだけれど、何度も痙攣を繰り返してたことだけは覚えている。
とにかく必死で病院に連絡をした。
かかりつけ医には「痙攣重積になっているから、大きな病院を紹介するからすぐに連れて行って」とのこと。落ち着いたり、再び痙攣したりを繰り返すと聞き、様子を見ながら急いで病院へと向かった。
車の中ではなんとか落ち着いていたけれど、病院に着いたら再び痙攣。
口からあぶくのような唾液のようなものも出たり、目は白目を向いているし痙攣もひどくて、人生で初めて「死なないで。」と心から思った瞬間だったと思う。
医師によると「“てんかん“かもしれないし、熱性痙攣かもしれない。このまま入院して様子を見ます」
ということで、緊急で入院することになり、付きっきりで回復を待ちながら看病した。
そこから何日か経過した。
少しずつ痙攣も減ってきた。
けれど、痙攣を何度も起こしたからか顔つきが全然違うし、おしゃべりも謎の言葉を言っていたり、うまく喋ることができない息子。
脳に後遺症が残ったんじゃないか?と思えるような仕草に、見ていて胸が苦しくなった。
眠れない夜に聴いた深夜ラジオ
色々考えた。夜はこれからの不安がいっぱい頭をよぎるようになり、眠れなかった。
だから、少しでも気持ちを紛らわせようと思い、何気なく聴いたのがNHKラジオの「ラジオ深夜便」だった。
穏やかな語り口の女性がお便りを読み上げる。
内容はどんなものだったのか、もう忘れてしまったけれど、その時にリクエストされた曲が「深夜高速」だった。
真っ暗な病室。ベッドには点滴に繋がれすやすや眠る息子。
そんな息子の寝顔を見ながら聴いた「深夜高速」
気づいたら泣いていた。
「生きててよかった。」と繰り返すボーカルの歌声に、自分の心の声が重なった。
顔つきが変わり、うまく喋れなくなった息子の姿に不安になった自分も確かにいる。
それでも、何度も繰り返される「生きててよかった。」という言葉が僕の本当の気持ちに気づかせてくれた。
生きてて本当によかった。後遺症が残ろうがなんだろうが息子を全力で愛してやろう。
後日談
その後の息子はだんだんと回復し、顔つきも元に戻り、言葉も元通りに話せるようになった。検査の結果てんかんというわけでもなく、熱性痙攣だった模様。
それから4年が経ち、その間には同じような痙攣発作もなく元気に過ごしている。