社会保険「106万円の壁」収入条件撤廃へ。「年収の壁」をわかりやすくまとめてみた。
本日、「106万円の壁収入条件撤廃へ」というニュースが出ていたので、年収の壁についてまとめてみました。ご一読ください。
(1)年収の壁って?
いわゆる「年収の壁」は、収入によって税金や社会保険料の負担が大きく変わるポイントのことです。ただし、【壁】が多く存在し、それぞれの影響が異なるため、非常に分かりづらくなっています。
以下が主な年収の壁です;
100万円の壁:住民税が非課税となるライン
103万円の壁:所得税が課税され始めるライン
106万円の壁:社会保険が一部(一定規模以上の企業など)で適用されるライン
130万円の壁:社会保険が適用されるライン(社会保険上の扶養ではなくなる)
150万円の壁:配偶者特別控除が逓減(控除額が減少)し始めるライン
201万円の壁:配偶者特別控除が適用されなくなるライン
これらの壁を超えることで、課税対象になったり、控除が減ったりと、手取り収入に影響が出るため、物価高騰で国民生活も疲弊する中、注目を集めています。
(2)国民負担率とは?
国民負担率とは、国民が税金や社会保険料としてどれだけの負担をしているかを示す指標です。2023年度の国民負担率は46.8%です。
ざっくり、「約50%!」と覚えるのがよさそうです。
例えば、額面ベースで500万円稼ぐと、各種税金や社会保障で250万円負担し、実質の手取りが250万円となります。
■国民負担率の推移(日本)
日本における国民負担率は近年増加傾向にあり、少子高齢化の進展に伴って特に社会保障費用の増加が予測されます。増え続ける国民負担率は、将来的にも私たちの手取りに大きな影響を及ぼします。
■国民負担率(国際比較)
諸外国比較では日本の国民負担率が高いとは一概には言えませんが、世界で最も高齢化が進む日本では、徐々に、租税や社会保障の負担が増しているといえます。
(3)国民民主党の躍進
2024年10月の衆議院選挙で国民民主党が躍進し、「103万円の壁解消」や「手取りを増やす」といった政策が支持を集めました。具体的には、国民民主党は103万円の壁を178万円にすると発信し、減税と手取り増を目指することで、特に若年層から多くの共感を得ました。
(4)年収の壁って何?分かりづらい理由
年収の壁が複雑で理解しづらいのは、以下の3つの要因が絡み合っているためです。
年収:103万円、106万円、130万円など、年収ごとに異なる基準が存在します。
本人、配偶者、企業:本人だけでなく、配偶者が働いた際の影響や、その雇用主である企業も関係します。
税制と社会保障:税制(所得税・住民税)と社会保障(厚生年金等)が混在しているため、各々の負担が絡み合っています。
(5)世帯の手取りと「働き損ゾーン」
年収が特定の壁を超えると、かえって手取りが減る「働き損ゾーン」が発生することがあります。特に、社会保障が適用され始めることで、収入の増加がそのまま手取りに反映されず、家計への悪影響が生じます。
(6)パワポ一枚で「年収の壁」を分かりやすくまとめてみた
以下の表に、年収の壁とその影響を一枚にまとめました。簡潔に理解できるよう、参考にしてみてください。
※突貫工事のため、誤りがあれば教えてください
(7)日本における女性の社会進出
日本の女性の社会進出は、他の先進国と比較して遅れていると言われています。しかし、これは同時に、人手不足の昨今にもあり、日本経済の成長余地がまだあることを示しています。
一方で、共働きを選択した場合、特に両親が近くにいない家庭では、家事や育児との両立が大きな課題となります。「必要は発明の母」とも言われるように、夫婦で工夫を凝らしながら解決策を見つけることが求められます。
(8)今後の制度設計
万人にとって有利な制度を設計するのは難しいですが、税制や社会保障制度の根本的な前提として「働く意欲が報われる仕組み」を構築することが求められます。
現行制度では、働き方や収入によっては逆に手取りが減る「働き損」現象が発生します。公平な社会保障を維持しつつも、意欲的に働く人が努力に見合った報酬を得られるような制度の再設計が必要です。
(9)まとめ
年収の壁の複雑さを理解するには、年収、当事者、税制、社会保障の影響などを同時に考慮する必要があります。
国民負担率の上昇や女性の社会進出が進む中で、手取り収入の確保や将来的な生活設計を見据えた働き方の選択が求められています。
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