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知らなきゃ損!とてもお得でメリットの多い「認定特定創業支援等事業」とは?

今回のトピックは、「認定特定創業支援等事業」制度を活用したお得な創業手法の紹介になります。

きっと、あまり聞き慣れない制度だと思いますが、この制度を活用することで会社設立時の登録免許税軽減や創業関連保証枠の拡大といった優遇を受けることができるため、なるべく支出を抑えたい起業家にとっては、とてもお得な制度です。

特にこの制度の良さは、費用対効果が高いところ!

自治体によって多少異なりますが、無料ないし少額で参加できるセミナーに受講するなどし、「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書(特定創業支援等事業の証明書)」をもらうことで様々な優遇措置を受けることができます。

今まさに起業しようと奮闘中の方や起業に興味がある方、また最近起業された方も、是非最後までお読み頂き、少しでもお得に創業してください!

詳細は、以下の記事で解説しております。
知らなきゃ損!とてもお得な「認定特定創業支援等事業」とは? | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)


(1)認定特定創業支援等事業とは?

・「認定特定創業支援等事業」とは、産業競争力強化法に基づいて認定された創業支援等事業計画における創業支援等事業のうち、「経営」、「財務」、「人材育成」、「販路開拓」に関する知識の全ての習得が見込まれる支援を創業者等に対して行う事業。
・令和4年6月現在において、1,285件(1,443市区町村) が認定済。
・「認定特定創業支援等事業」による支援を受けて、要件を満たした創業者(予定者含む)は、各自治体への申請により、「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書(特定創業支援等事業の証明書)」の交付を受けることで、創業に関する各制度において優遇措置を享受することができる。

(2)「特定創業支援等事業の証明書」取得のメリットは?

例えば、以下の優遇措置を受けることができます。

① 登録免許税の減税
<1. 株式会社のケース>
・資本金の0.7%から0.35%に軽減(株式会社の最低税額15万円の場合は7.5万円に軽減
<2. 合同会社のケース>
・資本金の0.7%から0.35%に軽減(合同会社の最低税額6万円の場合は3万円に軽減
<3. 合名会社または合資会社のケース>
・1件につき6万円から3万円に軽減
② 小規模事業者持続化補助金(創業枠)の活用
・50万円(通常枠)の補助金額が、200万円に増額
③ 日本政策金融公庫が実施する「新創業融資制度」の自己資金要件の撤廃
・「創業資金総額の10分の1以上」という自己資金要件を充足したものとして、制度活用可

(3)「特定創業支援等事業の証明書」は、なるべく早めに取得しておきましょう

「特定創業支援等事業の証明書」を取得するためには、通常は、少なくとも2カ月程度要します。
新年度が開始し、各自治体から案内が開始されるタイミングのため、
申請予定の自治体のホームページ(HP)等で実施時期・回数などを早めに確認しておきましょう。

(4)「特定創業支援等事業」の支援実績が多い自治体

本題となりますが、実際に、中小企業庁が公表している最新の『産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画による支援実績(令和3年度))(令和5年1月20日公表分)』を基に、各自治体の支援実績の分析を実施しました。

1. 自治体別創業支援者数(トップは福岡市)

まずは、創業支援者数のランキング。
TOP10は以下の通りであり、スタートアップ誘致などに積極的な福岡市の支援実績が多いことが分かります。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/r-support/business/tokutei-sougyou-sientoujigyou.html

【Top10ランキング(自治体別創業支援者数)】
1位 福岡市(福岡県):3,728件
2位 豊橋市(愛知県):3,303件
3位 浜松市(静岡県):2,812件
4位 さいたま市(埼玉県):2,466件
5位 新潟市(新潟県):2,205件
6位 仙台市(宮城県):2,203件
7位 中野区(東京都):2,097件
8位 広島市・海田町・府中町(広島県):1,710件
9位 札幌市(北海道):1,621件
10位 名古屋市(愛知県):1,577件

出典:産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画による支援実績(令和3年度)
ランキングTOP10

2. 自治体別創業者数(トップは浜松市)

次に、創業者数のランキング。
TOP10は以下の通りであり、「日本一の起業家支援都市 浜松」を掲げる浜松市がトップとなっております。
日本一の起業家応援都市 浜松 - はままつスタートアップ【創業支援 総合窓口】 (hamamatsu-startup.com)

【Top10ランキング(自治体別創業者数)】
1位 浜松市(静岡県):464件
2位 広島市・海田町・府中町(広島県):399件
3位 さいたま市(埼玉県):397件
4位 福岡市(福岡県):393件
5位 倉敷市・早島町(岡山県):393件
6位 横浜市(神奈川県):377件
7位 岡山市(岡山県):352件
8位 新潟市(県):349件
9位 渋谷区(東京都):318件
10位 別府市(大分県):275件

出典:産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画による支援実績(令和3年度)
ランキングTOP10

3. 実際起業率(創業支援者数に占める創業者数)

また、「起業セミナー」や「経営相談」を受けた後、実際に起業まで至った割合を「実際起業率(※1)」と定義して分析を行ったところ、実際起業率の全国平均は20.1%という結果でした。5人に1人が実際に起業に至っているということが分かります。

(※1)実際起業率
「特定創業支援事業 支援対象者」に占める「特定創業支援事業 創業者数」の割合を「実際起業率」と定義。

市区町村別実際起業率ランキングTOP10は以下の通り(ただし、「特定創業支援事業 創業者数」30者以上の自治体に限定)。
自治体により大きな開きがあることがあることが分かりました。

【Top10ランキング(自治体別 実際起業率)】
1位 岐阜市(岐阜県):97.7%
2位 桜井市(奈良県):82.9%
3位 渋谷区(東京都):81.7%
4位 湖西市(静岡県):72.7%
5位 高山市(岐阜県):70.6%
6位 中津川市(岐阜県):69.8%
7位 別府市(大分県):69.8%
8位 高砂市(兵庫県):67.9%
9位 国立市(東京都):67.2%
10位 佐伯市(大分県):64.7%

出典:産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画による支援実績(令和3年度)

また、都道府県別実際起業率ランキングTOP10は以下の通り。
大都市に比べて地方都市の実際起業率が高いことが分かります。

【Top10ランキング(都道府県別 実際起業率)】
1位 岐阜県:45.1%
2位 山梨県:44.9%
3位 福井県:44.3%
4位 高知県:42.7%
5位 長崎県:37.8%
6位 和歌山県:36.4%
7位 神奈川県:35.5%
8位 青森県:35.4%
9位 京都府:31.3%
10位 佐賀県:31.2%

出典:産業競争力強化法に基づく創業支援等事業計画による支援実績(令和3年度)

(5)おわりに

今回は、「認定特定創業支援等事業」に関し、本制度の概要から、実際に適用する際の疑問点を整理中小企業庁の公表データを用いて各自治体の「特定創業支援事業」の実績データの分析を行いました。

本文でも記載した通り、費用対効果の高い制度である一方で、あまり認知度が高くない制度であり、その結果、自治体によって運用規模や実績に差が生まれている印象があります。

起業の成否は、創業者の意思や力量によるところが大きいことはもちろんですが、起業しやすい環境であるかも重要な要素の1つであり、
「認定特定創業支援等事業」を積極的に行っている自治体は、そうでない自治体に比べ、「起業しやすい環境」と言えるのではないかと考えます。

当記事に掲載した各自治体の「認定特定創業支援等事業」の支援実績に関する定量的なデータをご覧頂き、次のアクション検討にお役立ちできれば幸いです。

なお、本来的には、自治体間で施策内容に大きな差がある状況はあまり好ましいことではないため、国や各自治体側でより詳細なデータ収集・分析を行い、起業に直結するセミナーの充実、先進的な取組や実際起業家を多く輩出している自治体の成功モデルを横展開していくなど、日本全体として起業数向上に繋がる施策を検討、実施していく必要があると考えます。

ぜひ、みなさまの、起業準備のご参考にされてください。


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