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風船

風船が飛んでいくのが見えた。どこかで結婚式か盛大なお祭りがあったのかなと思いながら,自分には関係ないことだと公園のベンチに座り物思いにふけっていた。

ぼんやりと座っていると,嬉しそうにスキップをしながら赤い風船を持った女の子がお父さんに手を引かれて歩いてる親子が目の前を通り過ぎた。次の瞬間,女の子は転んで手を放してしまい少女の風船が空へと昇っていく。小さな手から離れた風船は,自由を得た鳥のように高く軽々と風と戯れる。


泣きじゃくる女の子。心配そうに膝を折るお父さん。自由な風船。


私はベンチから立ち上がり,歩き出した。

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