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#掌小説

パフェ

パフェ

冷たいバニラアイス上、クリーム山の頂上に堂々とそびえ立つのは、ツヤツヤに光ったイチゴ。
宇宙船から伸びる光のように頂上のイチゴに向かって一直線に降り立つ長く伸びるスプーンは、生クリームとイチゴを誘拐した。

ごめんね

ふとスマホの画面を見るとメッセージが1件届いていた。送信主は不明。

スマホのロックを解除してメッセージを確認すると,私が幽霊のように存在を消したサークルに入っている友人からだった。私がサークルから抜けて彼女とは一度も連絡を取っていない。時折,彼女のほうからメッセージが届いていたが1年ほど私はそれを無視し続けていた。

彼女から送られてくるメッセージのどれもが,私に対する心配ではなく彼女が私に免罪

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電球

電球

パチンという音がして電球が切れた。

直接目を向けると目が焼かれるくらい細く強い光を放っていたフィラメントは,丸い電球の中でプツンと切れてゆらゆらと揺れている。

蛍光灯やLED灯が主流で今では雰囲気づくりの長物になってしまっている白熱灯。また電球を買いに行かなければいけないと思い,ホームセンターに行くというリマインダーを設定する。

電気を発明したのはかの有名な発明王,エジソン。フィラメントが熱

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