少女よ、種を撒け
2週間前に私は誕生日を迎え、ハタチになった。その翌日が成人式だったので、一気に大人の世界にぶち込まれた心地である。
誕生日の前夜、高校時代の親友らと担任で酒を酌み交わし、終電が迫っているにも拘らず日付が超えるまで私と一緒にいてくれる友達もいた。この子達とは一生付き合っていく。本当に大好きな友達である。
そんなほくほくした温かい気持ちを他所に、はぁ、形だけ大人になってしまった、と思う自分もいる。私には自己がない。坂本龍一氏が大学時代に友達に会うことばかりに時間を裂いていたことに対して、理由をそのように回想していた。まさにその通りだと思う。
去年の夏、一人の時間が辛くて寂しくて堪らなかった。自己がないから、孤独を楽しむことが出来ない。友達と会うことは、自己のない自分への焦りを忘れる行為だった。
人生の夏休みはもう少しで折り返し地点になる。
刹那に夢中になってはいけない。
これからあと60年は続くであろう私の人生に種を撒いてやらねばならない。
これまでの20年で土壌は形成した。大事なのはいま。いくつの種を知り、手に入れ、撒くか。
たかが7000円の給料に目を眩ませ、種を捨てるなんて、そんなもったいないお話はない。
私は知らない世界が多すぎる。
脳も心も柔軟なうちに、たくさんの芸術に触れなくては。
私の理想とする私に、近づくために。