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内なる庵――ゲルハルト・テルステーゲンの信仰詩
主よ、あなたは代々に 私たちの宿るところ。
愛する御方。
喧しき地上の声から、
われを 甘美なる汝の隔絶へと
迎え入れ給へ。
静穏、やすらぎ、憧憬。
御足元に、マリアと共に
座りつつ。
汝の隠れ場で、
ただひとり
汝と憩う。
聞くは 御声、
仰ぐは ただ御顔のみ。
湿原や荒地を照らす
彷徨い光に導かれ、
疲労困憊したわれわれが
そこに在る。
この世の幻惑のただ中にあって、
心はひたすらに
神を渇望し、
安らぎを求む。
神とやすらぎ。
その他すべては、
いつ果てるともしれぬ
路上人の
うつろなる重荷に過ぎぬ。
幸いなるかな、
喧騒の世界より離れ、
永久(とこしえ)なる神の
やすけき麗国に
入りし者は。
遠くの 巨大な世界で
混雑音が
どよめいている。
寂々たる荒野。
川辺には 癒しの木があり、
天的果実が
たわわに生っている。
油注がれし眼に
映る この御方を
霊とまことにて
欣慕する。
神とのみ 宿る人に、
聖なる隠れ家の驚異は
顕される。
かの地にて
孤独な心は、
主の甘美さを知り、
覆われた翼の下に
かくまわれる。
隠れし安寧の奥は、
天的なことがらの
優しき耀きに
包まれている。
あゝこの世の
わびしき歓楽の只中にあり
神の中に
宿ることの
秘義を知るもの、
誰かあらんや。
Gerhard Ter Steegen, The Inner Chamber(私訳)