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荒野にいざなわれて――ゲルハルト・テルステーゲンの信仰詩



それゆえ、見よ、わたしは彼女をいざなって、荒野に導いて行き、、、その所でわたしは彼女にそのぶどう畑を与え、アコルの谷を望みの門として与える。

ホセア書2章14-15節



荒野に いざなわれた。

神と二人きり、

人里離れた所で。


そこでは 霊と霊が

邂逅(かいこう)し、

心と心が

互いに 言葉を交わし合う。



はるか遠くにある 

あの人跡のない岸で

私は、秘められし聖なる庵をみつけた。



最も近しい人をも後にし

ただ独り 

黄金色のその戸をくぐり抜ける。


そこには神と私以外――他に誰もいない。


雑踏から 遠く離れて。

否、たとい喧噪のさなかにあっても、

主よ、私は汝とのみ 共にいます。



汝の御胸に寄りかかりつつ、

野でも、市(いち)でも、道ばたでも、


全きその安息

わが内の 甘美な孤絶は 

乱されることがない。


おお神よ、

汝は人が夢想したり、教示してきた神像とは

まるで異なるお方です。



どんな言葉で言い表すこともできず、

どんなに高尚な思想でもっても

描き出すことができない。


神を想い 歓喜する心が

彼のうちに燃えるとき、

人ははじめて

汝のその偉大な御名のまことを

知ることができるでしょう。


なぜなら、

彼は汝と共に歩んでいるからです。



麗しきご臨在、

いとも優しきその抱擁により

心静められ、


こうして

永いながい憧憬の旅が

ついにおわり、

私たちは

汝の御顔を仰ぐのです。



私たちは汝がくださるものの他、

何も求めません。

優美な幻も求めません。


尊い血潮により、

天は開かれ、

私たちはそこに

汝を見い出すからです。



憔悴した魂よ、

主の近くにおいでなさい。



私があなたに

差し上げることのできるものは、

あの偉大な海洋の一滴、

春から摘む 

一輪の花きり他にありません。



主の口づけにより 

私の唇は封じられ

崇敬の思いに満たされし わが魂には 

静けさがあります。



渇いている人は来なさい。

そして主の杯から

心ゆくまでお飲みなさい。



Gerhard Tersteegen, Allured into the Desert(私訳)

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