TKA後の高い身体活動量は再置換術のリスクを増加させるか?
本日の論文は、2022年にA Kornuijt先生らが執筆され、The Kneeに掲載されたものです。こちらの論文を要約し、批判的吟味をしてみました!
Introduction
本研究の目的は初回TKA患者を対象として活動レベルと中期・長期の再置換術(Revision)との関連を明らかにすることとした。
Methods
研究デザインはシステマティック・レビューとした。論文の包含基準は、TKA患者を対象とした活動レベルとRevisionとの関連を検討した論文のうち、レクリエーション・スポーツ活動レベルで層別化されているもの、中期(3-10年)・長期(10年以上)の調査がなされているもの、英語・オランダ語・ドイツ語で執筆されているものとした。骨切り術後・骨折後のTKA患者や両側同時TKA患者を対象としたもの、活動レベルがADLのみのものは除外した。検索データベースは、PubMed、Embaseを利用し、検索期間は2021年10月21日までとした。論文の選定作業は2名で行い、意見の相違があった場合は相談して解決した。論文のバイアスはCASPのコホート研究とケースコントロール研究のチェックリストを用いた。主要アウトカムは低い活動量(LPA)と高い活動量(HPA)で比較した中・長期のRevisionのリスク比、副次アウトカムはLPAとHPAで比較したlooseningによるRevisionのリスク比とし、メタアナリシス(ランダム効果)した。エビデンスの質はAnna Huguet, et al. 2013を参考にGRADEを決定した。
Results
検索された2265編のうち、選択基準を満たした論文は6編(統合された対象者数4263名)であり、4/6編が中程度の質のコホート研究、1/6編が中程度の質のケースコントロール研究、1/6編が低い質のコホート研究であった。HPAの定義は論文ごとで異なっていた(例1:低インパクトスポーツを高頻度で実施している者、例2:ジョギング・テニス・水上スキー等を実施している者)。活動レベルとRevisionに有意な関連はなかった(RR=0.62, 95%CI=0.24-1.63, GRADE=Very low)。活動レベルとゆるみによるRevisionにも有意な関連はなかった(1.33, 0.34-5.24, Moderate)。
Conclusions
TKA後12年間、HPAとLPAでRevisionのリスクに有意な差はなかった。メタアナリシスの結果、HPAとRevisionとの関連は示されなかった。この結果は、4263名のTKA患者のデータに基づいており、方法論の質は低から中程度であった。
Critical Appraisal
査読で相違があれば第三者を交えた方がよかった?
HPAの定義が研究ごとに異なるので解釈する際は要注意!
コメントでディスカッションできるとうれしいです。よろしくお願いいたします!
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