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初回TKA患者のスポーツと身体活動量:システマティックレビュー・メタアナリシス

本日の論文は、2020年にCarola Hanreich先生らが執筆され、The Journal of Arthroplastyに掲載されたものです。こちらの論文を要約し、批判的吟味をしてみました!

Introduction

本研究の目的は、初回TKA患者を対象にとして、①妥当性のある身体活動スコアを用いて、術後のスポーツ活動レベルが改善するのか、②年齢がスポーツ活動レベルの改善に影響するのか、③術前と術後のスポーツ参加率と復帰率を明らかにすることとした。*目的は4つありますが、割愛しています。

Methods

研究デザインはシステマティック・レビューとした。包含基準は、初回TKA患者を対象とし、術前後の身体活動スコアの変化を報告した論文、もしくは、術前後のスポーツ習慣を調査した論文とした。フォローアップ期間は限定しなかった。これ以前に報告されたレビューやメタアナリシス、術前後に統一された評価がなされていない報告は除外した。データベースは、Medline、Scopusを用いた。論文の選定作業は2名で行い、論文のバイアスはMINORSを用いてチェックされた。アウトカムは、術前後の身体活動スコア、スポーツ参加率・復帰率、スポーツ活動の詳細とした。統計解析は、ランダム効果モデルを用いて、統合された術前後の身体活動スコアの平均差(95%CI)と、統合された術前後のスポーツ参加率の差(95%CI)を算出した。

Results

検索された1101編のうち、25編(単一コホート研究21編、比較研究4編)が取り込まれた。対象者数は5149名(手術時年齢22-93歳、フォローアップ期間2M-25Y)であった。論文の質は、単一コホート研究が平均11/16点、比較研究が平均18/24点であった。術前後の身体活動スコアの平均差は、UCLAスコアで1.55(0.35-2.79)点、そのうち56歳以上は1.90(-0.89-4.69)点、55歳以下は3.12(-1.79-8.00)点であり、Tegnerスコアで1.14(-0.48-2.76)点、そのうち56歳以上は1.06(-1.91-4.02)点、55歳以下は1.01(-5.75-7.76)点であった。術前後のスポーツ参加率の差は-0.08(-0.14-0.02)であった。スポーツ復帰率の中央値は71.2(範囲:12-100)%であった。

Conclusions

初回TKA後の身体活動スコアは有意に増加する。スポーツ参加率は減少し、高インパクトスポーツを避け、低インパクトスポーツにシフトする者が多かった。

Critical Appraisal

結果の解釈が間違っている!?

  1. 本文では術前後のスポーツ参加率の差に統計学的有意差は認めなかったと記載されているが、結果の95%CIを見ると0をまたいでいない。

  2. 年齢はスポーツ活動レベルの増加に影響しない(95%CIが0をまたいでいる)のに、結論には55歳以下が56歳以上よりも身体活動スコアが増加したと記載されいている。

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