ニーダーボルンの電気実験 #冒頭3行選手権
「実験の責任は私が持ちます。あなたはこの実験について一切の法的、道義的責任を負うことはありません。書面でお約束した通りです。あなたのせいでこの重要な実験がストップしてしまっているのです。さあ、早くボタンを押してください」
ハインリッヒ博士は実験棟の入り口で迎えてくれた時とは別人のような剣幕で私に怒鳴る。その背後には何人もの研究員がずらりと並んでいて、ボタンを押すことを躊躇している私を無言で責め立てているようだった。
耐えかねて手元に目を落とす。そこには「750ボルト ※生命に関わる電撃」と書かれた小さなボタンがあった。
——『ニーダーボルンの電気実験』冒頭より
最近noteを更新していなかったのもあり、「#冒頭3行選手権」に参加させていただきました。
未完結の作品はウナるほど抱えているのですが、最初の3行をピックアップするとなると難しく、結局、夏の清涼感や爽やかさが一切ないドイツの陰鬱な実験棟の話をチョイスしました。
お察しの方もいらっしゃるかと思いますが、ミルグラム実験に着想を得た……というより、そのままの話です。
この後、ビーネフェルト君というやさしい研究員が登場したりもします。題材が面白いから、どう書いても面白くなっちゃうね。
それにしても、こうやって書くことのハードルを下げてくれるような企画は大好きです。
僕も小学校や中学校の頃は作文や読書感想文が苦手でした。
めちゃくちゃ考えながら書くから遅筆だったし(今もですが)、筆圧が強いので鉛筆で手が汚れて嫌な気持ちになるだけの時間でした。
テーマもあらかじめ決められちゃっているので、想像の入り込む余地もあまりありません。「遠足の思い出」の作文や、課題図書の読書感想文とかね。
論理性を養ったり説明力を身に付けるためには欠かせないのかも知れませんが、「書かされている感」がどうにも拭えないまま大人になり、今あなたが読んでいるようなテキスト(つまりこの文章のこと!)を好き勝手に書くようになったのは本当に最近のことです。
自由に書けるって楽しいし、活字になっちゃえばどんなくだらない内容でもちょっとは格好付くので面白いですよ。
「書くこと」についての向き合い方は、下の記事にちょっと書いてありますので、お時間あったら読んでやってください。喜びます。僕が。
最近はスマホアプリで執筆したりしてるんですが、またnoteも更新します。ふう!
自己投資します……!なんて書くと嘘っぽいので、正直に言うと好きなだけアポロチョコを買います!!食べさせてください!!