『死後の世界』あらすじ

　ありふれた街並み。軽口をたたいて笑う人々。
　ゲートを抜けた私は、あたりを見回しながら、どこか拍子抜けしていた。
　
　死後の世界なんて、こんなもんか――。

　銃弾によって命を落とした少女は、自分の運命を呪うこともなく、軽い足取りで進んでいく。
　自分が死んだとき、一緒に死んだ人たちに会ってみたい。
　そう、考えたのだ。

　一方その頃、生者の世界では、ある男がひどく打ちひしがれていた。
　テレビに映った凄惨な通り魔事件のニュースの中で、彼は自分の愛娘の名前を見つけてしまったのだ。
　彼はついに究極の選択をする。それが、平穏な死後の世界にひどい混沌をもたらすとは、今はまだ誰も知る由がなかった。

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