自閉症児の母子分離といくつもの不安に母親はどう付き合うといいか
すべての自閉症のお子さんで母子分離が上手くいかないわけではないのですが、多かれ少なかれ、自閉症のお子さんは母子分離がしにくいと言われています。そして、自閉症のお子さんは集団に入れないことやこだわりが強い傾向にありますが、診断がつくまでに平均で1年以上もかかる場合もあり、母子ともに不安が蓄積されてしまいます。では、その不安にどう向き合うことがベストなのか一緒に考えてみたいと思います。
*すべての母親の皆さんへの育児不安を軽減するものではないことをご了承ください。
自閉症のお子さんと母親の不安の正体とは?
自閉症のお子さんが児童期を迎えるころ、分離不安,全般性の不安といった障害は有病率が高くなると言われています。分離不安の基本的特徴は「家や愛着をもつ人物からの分離に対する過剰な不安」になります。つまり、家庭または愛着をもっている重要人物からの分離に際して過剰な苦痛を反復経験するかもしれないこと、また家またはその慣れた場所から離れて一人で出かける際に不安になったり、家に一人でいることができなかったりするかもしれないとしている。就寝時には、自分が眠りにつくまで誰かが側にいるようにと主張することがあります。
一方、そんなお子さんの育児にあたる母親は、その診断までの期間大きな困難にぶつかっていることが考えられます。子どもの行動特徴を指標に診断を行う自閉症のような障害の場合、「自閉的傾向」という曖昧な言葉が使用されることが多く、そのような曖昧な言葉に惑わされてしまう母親は、結果的にお子さんへの障害受容が遅れることに繋がるケースが多いです。
入園・就学での母子分離で起きる現象を客観的に捉える
母親は、お子さんが保育園への登園渋り、不登園であった時期をみて、自分自身の子育てが悪いのか、と自分を責め、精神的に不安定になりやすいといわれています。「なぜ集団に入れないのか?」「なぜこだわりが強いのか?」「自分の子育てが原因なのか?」と自問自答することもあるかもしれません。その後、病院で診断を受け障害名がついたことはショックである反面、子育てが原因ではないと医師や支援者から伝えられホッとできます。
しかしながら、毎日の生活の中で子どもと向き合っていくことは大きなストレスであることを受け止めなければいけません。子育てが原因ではないとわかっていても不安になることはとても多いです。支援者からどんなに素晴らしく優れたアドバイスを受けても、子どもに対応していくのは母親、父親なのです。
就学は、親にとっても子どもにとっても緊張してストレスが高まる時期になります。知的に問題の無い自閉症のお子さんでも周りの人に理解されないことが多く、集団内での不適応を起してしまうことが多くみられます。そうなると母親の付添が必要になります。母親は、子どものためと思ってはいますが、毎日の学校への送迎と付添はかなりの負担になります。家事を行うためのエネルギーも無くなる程くたくたになり、子どもとうまく付き合えないぐらい疲れた状態となることもあります。
いくつもの不安とどう付き合うか
自閉症のお子さんの特徴的な行動がすぐに改善されることは少なく、時間をかけながら環境に慣れていきます。環境に慣れては新しいことにチャレンジして、また不安になり、環境や物事に慣れるを繰り返します。
母親はいくつもの不安、ストレスなどと長期間付き合うことなります。そのため、よく言われているかもしれませんが私からもお伝えします。
・独りで抱える必要はなく、その不安を話せる場やコミュニティに属することをお勧めします。「どうせ私の気持ちは理解されない」と思わず、同境遇にいる人からの言葉や想いは心が救われると思います。
・お子さんの「できないこと」ではなく「できること」に目を向け、その小さな変化やできるようになる過程を親子で楽しむことができる。日々の不安で忘れがちで、どうしても周囲と比べてしまうのかもしれませんが、親子でまずは目の前の日常を楽しむこと、それに尽きると思います。
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