親子関係とメンタルヘルス
関係性から生じるメンタルヘルスの問題とは
就学前までの子どもの精神保健として、親子関係性があります。人格、とくに後天的 に形成されるといわれる特徴(意思や感情表現)は主に乳幼児期に形成されるので、 養育者や養育態度は人格形成にきわめて重要と言われています。スキンシップによって愛情の保障があって初めて安定した精神発達に、さらにしつけによる行動制限や多くの欲求不満を感じる経験をするがこのような関わりが、親の愛情のもとで繰り返されれば、 時には自分の欲求を制し、時には欲求不満に耐えるという耐性が高まっていきます。
過保護、 放任、過干渉などの養育は、その後の人格形成に影響を及ぼし、この時期の異常行動(指しゃぶり、過度のかんしゃく、自傷、チックなど)、睡眠障害(夜驚、悪夢など)、 摂食(偏食、拒食など)、言語(どもりなど)に関連すると言われています。
関係性の発達について
2か月ころまでに養育者と子どもはアイコンタクトみられ4か月時には、クーイ ングが盛んになり声を出してコミュニケ―ションすることが多くなるため育児がより楽しくなる時期です。6か月になると相互のやりとりができるようになり、見知らぬ人とよく知っている人を区別し養育者と一緒にいることをより好むようになります。9~10か月になると活動範囲が広がり、主張が強くなるので、ダメという枠組みを両親で確認しながら作っていく必要があります。
1歳を過ぎるとより自立心が高まり、1歳半を過ぎるとさらに積極的に行動し自分の欲求にこだわり意思表示が増えますが、それを明確に伝えるほどの言語能力に乏しく、甘えてきたりかんしゃくを起こすなどの情動面での子どもが強くなります。また、養育者の悩みや不安も増大する傾向にある時期です。 安全を確保しながら、子どもの良い行動とよくない行動の枠組みのレパートリーをさらに増やしていく必要があります。
2歳~3歳にかけては排泄など基本的生活習慣の獲得時期であり、何でも自分でやりたがる子どもの意欲を尊重しながら枠組のある選択肢を提示し子どもが意思決定する場を作ることが必要となります。兄弟けんかも増える時期でもあり家族全体をとらえながらの支援を要する時期になります。
4歳~5歳は集団生活が始まる次期であり、他人とどう関わるかなどの心の理論に基づいた対人コミュニケーションスキルがみられる時期です。子どもに対して敬意をもって接しているか、拙いが表現しようとする子どもの声に耳を傾けているか、表現する ことを親としてサポートできているか、地域などでの集団遊びの場に参加する機会をもっているか、などが重要なポイントとなります。
観察のポイント(検診を行う側の視点)
1か月半検診や3か月検診などの際にみられる親子の関係性を確認することも子どもの健全なヘルスプロモーションには重要と言われています。
・健康診察時の子どもの反応に対する親の言動(無関心、過干渉など)
・あやし笑いにおける相互反応 ・玩具を親に与えて子どもとの親との相互反応(言語的、非言語的に)をみる
・衣服着脱などを親に行っていただき介助行動の適切さなどの行動観察を行う
・計測の際に、親から離れた時の子どもの反応、親の反応(親同室の際の愛着行動、 親再会時の親子の反応:身体接触、子どもの混乱、攻撃、関心の度合いなど)
・健康診査時の家族の状況(夫婦関係性、兄弟関係や、養育者の子どもの状況の把握 状況など)
・母子健康手帳の記入状況