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部屋に入ると電気がついていた。

 仕事から帰って家の扉を開けるといつもと雰囲気が違った。何か事件を期待した方にはごめんなさい。どうやら電気を消し忘れてしまったらしい。

 一人暮らしをしている私。当然、帰宅後に電気がついていることはありえない。だけど、たまたま消し忘れた電気が懐かしいような、安心するような気持ちを思い起こさせた。

 実家にいるときは帰宅すると必ず電気がついていて、食卓にはご飯、そして誰も見ていないテレビが独り言。そんな風景が時には嫌になって、家族が寝静まった頃に帰ることもあった。だけどこうやって1人で暮らすようになって、明るい部屋に帰れることがありがたいことだったんだと気づく。

 いつもだったら電気を消し忘れたことに少し落ち込んでいたけど、なぜかその日は、それすらも幸せに捉えられた。

 いつか、明るい部屋、誰かが待ってくれている部屋に帰れる日は来るのだろうか。

 

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