今の私を支えているもの
気がつくと私は笑わなくなっていた。
昔はテレビが大好きだった。寝るときも友達と遊ぶときも全てテレビが中心にあった。そんなテレビが私から遠ざかる。鬼ごっこやかくれんぼをやらなくなるように私はテレビから自然に離れていった。
あれだけ好きだったテレビを見ても笑えない。CMで伸ばしに伸ばして、次週〇〇と期待を弄ばれた。後から足したような笑い声に無理やりこちらの感情をコントロールされている気がした。私のテレビ離れは不快な気持ちがきっかけだったのかもしれない。
大好きなテレビが受け入れられなくなってから、私の中から娯楽が消えた。音楽、ゲームをしてその埋め合わせを試みる。だけどポツンと開いた空白は簡単には埋まらなかった。
さらに仕事や人間関係で追い込まれ精神的にも落ち込んだ。どこにも拠り所がなかった。そんなときに子守唄変わりに流したラジオが私を救ってくれた。
映像では伝えられない音だけの世界。シンプルなように見えてすごく複雑な世界に私はのめり込んだ。あれだけ笑えなかった私の口角は自然と上を向いていた。時には声を出してしまうこともあった。
今ではラジオは生活の一部になっている。ラジオを聴くために掃除をして、料理をして、ランニングをして、朝早く起きる。生活のすべてはラジオを中心に回るようになった。
もしもラジオが何かの法律で禁止されたら、私の世界から笑顔は消えて、モノクロの世界にひとり取り残されることになる。それくらい、かけがえのないない存在になっている。