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経営者は孤独

「経営者って、孤独だ」って言われることがありますよね。
私自身も、パン屋を始める前の修行時代には「オーナーは一人で考えることが多いから、孤独なんだろうな」と他人事のように思っていました。
でも、いざ自分がお店を構えて5年が経った今、不思議と「孤独」って感じたことがないんです。
もちろん、大きな決断をしなくちゃいけないときや、誰にも相談できない悩みを抱えるときもあります。
でも、気づけばスタッフやお客様が私の話を聞いてくれて、いつの間にか一緒になってアイディアを出したり、解決策を考えてくれたりするんですよね。

たとえば、新しいパンの企画。
私一人でひらめくときもあれば、店頭でお客様と雑談しているときに「こんなパンがあったら嬉しいのに」と何気なく言われて、それがきっかけで生まれることもあります。
それに、スタッフから「これをやってみたらどうでしょう?」って提案されて、そのまま新しいサービスにつながったこともありました。
そうやって一緒に汗をかきながら形にしていく過程が、私にとっては何より楽しくて、孤独どころか常に誰かとワイワイ動いている感覚です。

振り返れば、修行していた頃のオーナーはほとんど挨拶くらいしか会話がなくて、あのときの私は「パンづくりって黙々とやるものなんだな」なんて、疑うことなく思っていました。
でも今になって考えると、もしかしたらあのときオーナーはずっと心の中で葛藤していて、私たちにどう声を掛けたらいいかわからなかったのかもしれません。
立場が変わると、見える景色がまったく違うものになるんだなぁと実感します。

経営って、一人で突っ走るだけじゃ成立しないんだなと日々思います。
それなのに「雇う側が上」「雇われる側が下」みたいな雰囲気が自然と生まれてしまうことも、正直感じるんです。
でも私は、そこを壊したいというか、みんなと対等に意見を交わしたい。
それが結局はお店の成長にもつながると信じているからです。

経営に正解なんてないとも言われますが、私はだからこそおもしろいと思っています。

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