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グランギニョルと心の救い
生きとし生けるものの繋がり、愛、葛藤。
とてもいいですね〜!好みです!
LILIUM→マリーゴールド→TRUMP(TRUTH/REVERSE)→COCOON(月の翳り/星ひとつ)→ヴェラキッカ→SPECTER→グランギニョル
と見てきました。以降はこれらの作品のネタバレありで感想を残していくので、ご理解の上お読み進めていただけますと幸いです。
クッション代わりの前回までの感想↓
まえがき
この文章を書いている私は普段LILIUMのシルベチカ役、モーニング娘。‘24(2024.08.28.現在)小田さくらさんのオタクをやっています。
ですので視聴方針は『小田さくらさんが演じられたシルベチカの解像度をあげたい』というのがメインです。よって感想でもシルベチカ関連の情報を多く拾う傾向にあると思います。ご承知おきを。
物語
前回『SPECTER』を見た人間なのでそこと比較すると、とてもわかりやすく相反する設定を持ってきたなと感じました。
ですが、基本的な構図は変わらずでしたね。
ヴァンプとヴァンパイアハンターが共に連続事件を追う。原初信仰が事件の元凶。実行犯と内部の癒着。同じ名前を受け継ぐ。父から息子に思いを託す。
対照的だったのはネブラ村は環境や価値観も閉鎖的で余所者は排斥が基本姿勢だったのに対し、本作はフリーダに代表されるように吸血種と人間種の共存共和を考えるシーンが多く取り入れられていました。ここは時系列からも考えるに、意図した対比だったと考えます。
人間と共同生活を送る貴族の名門デリコ家。原初主義で繋がる吸血種と人間種。ダンピールと元人間のヴァンパイアハンター。
種族としての光と影を描写する意図があったのだと考えます。階級主義に根差した差別と、排他された者の遺恨と執着。
TRUMPシリーズ見始めのころは人間がメインで、TRUMPを語るただのヴァンプ(ダンピール)が教祖として原初主義を説き、いずれ永遠の命を与えると嘯いて高貴な方向けに人間を血袋にするシステムを描いたやつとかあるだろうな〜と思ってたんです。動機は実は永遠の命ではなく、親に捨てられた過去から「愛されたかった」という承認欲求を満たすためだった、みたいなオチで。それを原初主義の偉い人に利用された捨て駒扱いで、「黒幕はまだいる!?」の引きを残す感じの。そうです、マリーゴールドを見た後の『グランギニョル』の最初の私の予想ですね笑
ですがここまで見て、あくまでもベースに語りたいのはヴァンプの世界なんだなと感じました。そもそも、ヴァンプの特徴では真っ先に挙げられそうな吸血衝動に関してTRUMPシリーズはあっさりしているんですよ。それよりも噛むではイニシアチブで、血だと血縁者、家族がシナリオの根幹にあります。
もしも今後人間世界についてフォーカスされることがあるなら、クラウスが元人間だったパターンにおいてのみかな。これ以上の踏み込みはないような気がしていますね。
『グランギニョル』を情報のブロックで分けると以下のようになります。
・血盟議会と原初信仰
・イニシアチブと呪い
・特級貴族の血の継承
今後も使っていく大事なものが多いので順に整理していきましょう。
血盟議会と原初信仰
黒薔薇館の後ろ盾は血盟議会だ
黒薔薇館は血盟議会と人間種の政府との間で取り決められた密約組織
その存在は一部の間にしか知らされてない
これはタブーなんだよ
血盟議会は表では原初信仰を禁じ裏では原初信仰を支持している
矛盾を抱えた組織だ
血盟議会の内部は腐敗しており、実態は原初信仰者を多く抱えたダブスタ組織だった。
世界観としてここを明かされたのが個人的に大きかったです。血盟議会を伏魔殿というのは言い得て妙ですね。李春林の武闘スタイルからも中華系っぽかったですが、基本的に洋風なモチーフが多い『TRUMP』シリーズで『水滸伝』が元ネタのこの表現を持ってくるのが面白かったです。これ聞いたときに「108匹ダミアンか」ってなって一人でおかしくなってました(『SPECTER』と対になってると思っていたので内部犯がいることが前提の見方をしています)。
そして今までTRUMPシリーズの組織構造が曖昧なまま見進めていってましたが、これで大方整理できました。
血盟議会
ヴァンプの最高司令組織。三権全部持ってる。
血盟警察
犯罪の取り締まり。不可侵条約や現諸主義にも対応。血盟議会の決定の実働。
ヴラド機関
血盟議会の特務組織。TRUMPの平穏を保つ。上二つとは独立した運営がされている(っぽい)。
今までヴラド機関は血盟議会の下部組織で、血盟警察とはまた違う所属SATのような立ち位置なのかなと思っていましたが、『グランギニョル』を見るに血盟議会の上層部の原初主義の意向とは相反する理念を持っているので全員にはその存在が明かされない組織のようです。
すまなかった
本意ではなかったとはいえ
彼らの事件に加担して君には
謝罪しきれないことのことをしてしまった
あなたのせいではありませんよ
私を殺さないのかね
どうして私があなたを殺さなくちゃならない
私の中にダミアン・ストーンの人格が残っているかもしれない
ヨハネス卿はイニシアチブによってダミアン・ストーンの人格が植え付けられていて本作ではダリと敵対することになっていましたが、最後は卿によってダリ、ゲルハルトがヴラド機関に任命されることになります。
原初信仰をしている血盟機関の幹部にヴラド機関のことがバレてしまったら色々大変ですもんね。黒薔薇館の存在といい、かなり規模も大きく、COCOONの服用からも裏社会や人間社会と同盟までして広がっているので事態はなかなか深刻そうです。
今宵は黒き夜
血と肉を分かち合おう
黒薔薇館で歌われたものの一節ですが、ここから謝肉祭をイメージしたのかな(道化・滑稽・歓楽が許されて仮面劇などが催されることからもグランギニョルが連想される)と思っていたのですが、その直後にゲルハルトが祈るシーンでは指組んでるんですよね。それでカトリック由来なのかプロテスタント由来なのか判断しかねる形となってしまいました。モチーフとして意識してない偶然かもしれない。なのでこの線の考察は不完全だから放棄しようかと過ったのですが、せっかくなので一応書き残しておきます。
個人的にはもっと詳細な組織構造の説明が欲しいですね。トップ(歴代)の存在や、幹部の人数、行使できる権利等。もう少し情報を詰めたいな。
そして期待のダミアン・ストーンが出てきましたけど私が想像していたほどの効果は今回はもたらしませんでしたね。
ダミアンは1000年も前からイニシアチブによって脈々と受け継がれてきた人格だけの不死者だ
この世にいる全てのダミアンはグランギニョルを生み出すために存在している
強いて言えばグランギニョルの装置の役割なんでしょう。『SPECTER』で起こったグランギニョルもそうだったようです。
あんたらが調査を始めたのと同じころある辺境の村が全滅する事件が起こった
そいつはクランから脱走した4人の繭期のガキどもがしでかしたんだが
そのガキどもの脱走にもダミアンストーンが一噛みしてるって噂だ
ヴラド機関とイタチごっこってところですか。ややこしいのは全てのダミアン・ストーンが原初信仰者からなるわけではなく、ヨハネス卿のようにイニシアチブを掌握されて元の人格の本意ではない行動を取らされた場合もあることは留意しておきたいです。
キャラクターとして一見しただけでは判断できないというのはミステリーの要素としては美味しいですが、読者や観客からすると明かされないまま物語が進行しているかもしれない気念を抱え続けるのはモヤります。それこそスティグマとかいって体のどこかに刺青刻んでるとかぐらいあっても良さそうだけど、メタ的に見ればシナリオとして必要のあるダミアン・ストーンは正体が明かされるものだと信じておきます。今回のように。
空の星が美しく輝くのは
そこに暗闇があるからだ
人が生きていると実感できるのは
やがて必ず訪れる死という永劫の闇があるからだ
だが永遠に生き続けるTRUMPは
自分の生を感じることができるのか
だから僕たちダミアンコピーは
この世に暗闇をもたらさなきゃならない
TRUMPが生きてることを実感できるように
この世に暗澹たる残酷を用意する
僕たちはそれをグランギニョルと呼ぶ
吸血種の神であるTRUMPに捧げるための供物だよ
TRUMPに捧げるグランギニョルは美しくなきゃならない
ただダミアンの口から目的を語らせて情報が確定したのは大きな収穫となりました。
イニシアチブと呪い
『ヴェラキッカ』を見た後にイニシアチブの説明をくれと思ってたらここでしていたとは!とても助かりました。
私が事実誤認をしていたのもあり、正確な情報を押さえておきたいです。
吸血種は人間と同じように普段は潜在能力の30%ほどしか使えません
ですがイニシアチブによって脳に誤作動を起こさせ
残りの潜在能力の70%を引き出すことができるんだ
半端モンの吸血種だからイニシアチブの効果は1時間しか持たない
イニシアチブは一度かけたら半永久的に持つのかと思いきや、個体差がかなりあるんですね。
歌麿は後天的にヴァンプになったので効果が薄いのか。『月の翳り』でディエゴがクランにいる間もグラント家当主のイニシアシブが続いていたことから一度かければ大丈夫なものだとばかり。案外勝手が悪いようです。
あとはキキが説明してくれたものです。
・相反する命令を下されたときにより意思の強い命令が優先される
・「空を飛べ」など無理なイニシアチブを命じられた場合何も起こらないか運が悪ければ発狂死
・重複したイニシアチブの命令は効力を増す
私は相反する命令は階級が上のヴァンプが優位になると考えていましたが、正しくは意志の強さでした。脳内情報を訂正しておこう。そしてイニシアチブの重複です。今回はここが大きくフォーカスされました。
オズ 96人 超人的な第六感の予知
キキ 186人 高い戦闘能力
アンリ 666人 不老不死の力を目覚めさせよ
イニシアチブの重複は諸刃の剣とありましたが、それを成功させたのがこの三人でしたね。少年少女失踪事件の真相はこの人体実験のモルモットの調達だったようです。
しかも繭期の間だけしかこの特殊能力は維持できずCOCOONの薬で繭期を引き起こしているのは大変そうです。
そして“ウル”に刻まれたイニシアチブの呪いですね。
生きることは必ず死に至る呪いだ
だから君は死の影に怯えて生きろ
その命が尽きるまで絶望し続けるんだ
ですが、ダリは彼の名前に込められた希望をまた、イニシアチブで刻みました。
ですが同時にこのダリの存在が呪いにもなってしまうのです。
家の名前など俺にとっては呪いと同じだよ
お次はこの家について見ていきましょう。
特級貴族の血の継承
『SPECTER』がソフィの誕生の話なら、『グランギニョル』はウルの誕生の話でした。
と同時にデリコ、フラと、特級貴族の象徴的な家名にも焦点が当てられています。
デリコ家は代々筆頭審問官を務めているんですね。ということは、マリーゴールドでヤン・フラの審問をしたのもデリコなのかな。しかも今思えば『フラ』だし……。
今回のグランギニョルもマルコもといダミアン・ストーンの復讐からでした。この復讐というのはダリの父親が処罰した原初信仰の教団にダミアンやスー・ウォルセンの親族がいたためです。親の仇ってやつですね。そこでスーをデリコの屋敷に潜入させて情報を集めながら、自分はマルコ・ヴァニタスになり変わって血盟議会でグランギニョルの手筈を整えた。
ある没落貴族の屋敷が火災により焼失した事件だ
一人を残して家族全員が死んでいる
その後その貴族に関わる者が次々と不審な死を遂げている
まるでその家族に関わる者たちをこの世から消すかのように
マリアの遺書に書かれていたことが確かなら
あいつはすり替わってる
じゃああれは一体誰なんだ
だから俺はヴァニタスという下級貴族を皆殺しにし、その家督継承者であったマルコとすり替わったんだ
このマルコを名乗っていた人物の元の名は『ウル』。「僕はウルじゃない。ウルという人格は僕の中で溶けて消えた」と言っていましたが、最後に「逃げろスー。生きてくれ」と意識が一瞬取り戻されるシーンもありましたね。ウルとスー・オールセンの子どもが“ウル”になります。
ウル 私たちの故郷で希望を意味する言葉
父親と同じ名前を与えてスーは息を引き取りました。
そしてダリの妻であるフリーダもまた、託します。
ダリ ラファエロをおねがい
あの子があなたみたいに立派な貴族になれるように
あとねスーの赤ちゃん
あの子も守ってあげて
あの子が呪いに負けないようにたくさん愛してあげて
ダリ 私もあなたを愛してるわ
両親から絶望と希望。相反する宿命を与えられてウル・デリコは生まれました。
後のダリがラファエロとウルにどう接するかを見ていると感じ入るものがありますね。
デリコデリコデリコデリコ
俺は別に好きでデリコ家に生まれたわけじゃない
親子揃って同じこと言ってるのに、どうしてダリはあんな態度だったのかを考えたとき。
「せめてあの子の前では厳格な父親であってください」
「もちろんだとも」
フリーダとのこの約束を果たそうとしてたのだとしたら、不器用で健気ですね。
フラ家は監査官の家系なんでしょうか。
『グランギニョル』では、ゲルハルトの秘密が重大な要素です。
マリア
「あの子を殺して もう耐えられないわ」
ゲルハルト
「アンジェリコはゆくゆくはこのフラ家を継ぐ者だ」
「あの子はフラ家の未来なんだ」
マリア
「憎いのよあんな子生まれてこなければよかったんだわ」
「フラ家はもうおしまいよ」
ゲルハルト
「大丈夫だ 何も終わらせやしない」
「僕はこのフラ家の当主だ いずれは偉大な父上より立派な貴族になって」
マリア
「立派な貴族 笑わせないでよ」
「あなたは父親の影に怯えているだけ」
「空っぽのハリボテ貴族」
「あなたはこの家の名前に呪われてるのよ」
精神異常を起こした妻マリアをなだめる夫ゲルハルトですが、この夫婦の会話は真相を知ってみると何も狂ってないのが精巧ですね。そして「この家の名前に呪われている」というのが重い。ゲルハルトもこれを聞いてマリアの首を絞めます(のちにマリアが縊死するのにも繋がるのがまた罪深いよな)。
デリコとフラを対比するように描写されていて、ダリが「自分の理想を俺に押し付けるつもりか」と言ったのにゲルハルトは「君は僕の理想だ僕は君になりたかったのかもしれない」と語るのです。これは夫婦仲にも及んでいるのかと推察します。
生まれてこなければよかった者など
一人もいないわ
吸血種にも人間種にも
この世に生まれた者たちはみな
それぞれの呪いを抱えて生きているわ
でも皆がその呪いに抗いながら
それでも幸せになろうともがいて生きている
幸せであろうと努力しているわ
マリアとフリーダの対比はこのセリフからも顕著です。
僕とマリアさんが不貞を働くように仕向けたのはゲルハルト卿 あなたじゃありませんか
名門フラ家の家系ながら子をなすことができない体だったんだ
性的不能者なんだよ
ゲルハルトは幼少期に父からの厳しい躾と称した虐待によって心の傷を深く負い、子をなすことができない体になってしまいました。
画家!
— ひとのこ (@hitonoko421) August 18, 2024
今の今まで気づきませんでした、よくある名前だしくらいに思ってて……。
ラファエロ、ダリ、有名どころもあったのに。
フラ・アンジェリコのサンマルコにあるあの絵のあれがこうで仮説と合わせると、ええ!?
ありがとうございます。すごく捗りました。https://t.co/CjMehCSWfT
この情報を持ってると察することができるんですよね……どこまで繋げてくるんだ。恐ろしい(マシュマロくださった方ありがとうございました。おかげで心の受け身が取れました)。
少々解説を入れると、画家のフラ・アンジェリコの代表作が『受胎告知』なんですね。これは作者がこのタイトル!ってしたというよりも宗教画なので受胎告知のシーンを描いたものを後からそう呼ぶようになったやつです。
じゃあ受胎告知ってなんぞやというと(知ってる方にはくどい文章になって申し訳ない)、処女マリアに天使が、マリアが聖霊によってキリストを妊娠したことを告げ、マリアがそれを受け入れるという出来事です。
ゲルハルトの妻の名前が『マリア』だと知った時点で「あっ……」となりますよね。
アンジェリコはマルコとマリアの子でした。そこにフラの血はありません。そしてアンジェリコとウルがいわゆる腹違いの兄弟になります。うわー、本当にそうなったか……。
あの空に浮かぶ星を手にするように
尽きることのない永遠の命を手にすることができれば
僕は特別な貴族でいられる
そしてマリアとこのフラ家を守るんだ
我は守護者なり
ゲルハルトが永遠の命を望んだのはフラの血を絶やしたくなかったのもあると思います。
家名、血の繋がりが大事にされるヴァンプ社会の中で、そうではない者がかくあるべき者として生きる因果が呪いのようです。
家という呪い。血という呪いがグランギニョルを起こした今回の一件。凄惨でしたが、救いがありました。フリーダの共存主義です。原初主義がヴァンプと人を繋ぐのなら、共存主義もまたヴァンプと人間を繋げようとしています。
吸血種の間ではどうしても人間への差別が拭えません
ですがそれは改めなければならない慣習です
我々吸血種の祖先は人間であったとする学者もいますから
私は吸血種と人間種が共存する社会の実現こそが両種族の歩むべき道なのではないかと思っています
そのためには保守的な吸血種の社会において声をあげていかなくてはいけません
いずれは種族を隔てる不可侵条約などというものも無くなってしまえばいいのにね
血の縁の因果に決着が着くとしたら、ここかなと感じましたね。デリコ家にあったのは自分のことだけを想うのではない、愛しい存在、他者に向けた愛です。『月の翳り』のアンジェリコからもわかるようにゲルハルトは目に見える形で愛を注いでやれていないのでしょう。共存共栄、あとは解放運動かな。ダリのことをフェミニストなんて言ってましたが、ある意味で吸血種の平等をフリーダの遺志を継いで説いていたらとても熱い展開です。
吸血種の社会では栄養摂取用に調整した家畜の血が出回ってるのよ
あと血のアロマの詳しい解説もくれたフリーダさん、ありがとうございました。
伏線と分岐、謎
心的描写はとても好みだったんですが、全体的に物語の情報の散らばりが見えたのは伏線張りまくり回だったからですかね。
印象的だったのは『マリーゴールド』へのルート。
私はねもう泣かないって決めたの
何かがあるたびに泣いていたら 体が枯れて萎れちゃうわ
先にマリーゴールドを見ていたので「うわぁ〜!」と嬉しくなりました。『もう泣かないと決めた』はLILIUMでも屈指の名曲ですからね。
遠い未来が見える
これは君じゃないよく似ているけど君の子孫かもしれない
花に囲まれて暮らしている
とてもきれいな花たちだ
花は嫌いよ
すぐに枯れちゃうから
でも花は枯れてしまうから愛おしく思えるんだ
キキ役の田村芽実さんは元スマイレージで『LILIUM』ではマリーゴールド役、『マリーゴールド』ではガーベラ役を演じてらっしゃいました。例のごとく私は演者の皆さんを碌に知らない状態で見ているのでお顔とお名前が一致するのが田村さんくらいのものなので、出てきたときに「あっ!」となりました。ちゃんとキャストに意味付けがしてあってすごいですね。先入観を持たないように今まであえて詳しく調べたりなどせずに見ていたのですが黒世界が終わったらちゃんと学び直したいと思います。演技が好きだった演者さんもいたので。
そして『COCOON』へのルート。
息子世代への因果の継承と黒薔薇館でのCOCOONが伏線になっていました。
これはウルの出生の秘密を知ってるかそうでないかで受ける印象がだいぶ異なりそうです。ダリのあのシーンも趣深いですね。女性の声もフリーダだと知って聞けばウルの部分をあえて描かなかったのがわかりました。なるほど。
さらに『ヴェラキッカ』へのルート。
物語の装置となるイニシアチブの理解の下地も作ってますね。抜け目ない。
ここまで見てきてだいぶ伏線が収束してきた感覚になりました。
劇は残すところ黒世界のみとなりましたが、一度ここまでの個人的な謎と疑問を整理しておきたいです。
①ヤン・フラとマギー・デリコ
フラとデリコの無駄遣いはしないと思うんですよね。
どこかでもう少し踏み込んだ二人が描かれるだろうと予想しています。一番思い当たる節があるのは今季のアニメでやってるデリコズナーサリーなんだけれども。
②ニコの遺志
ヴラド機関の創設者らしきニコという人物。クラウスと近しい仲だったようだし、もっと語られていいはず。そうなるとほぼセットでオリジナルのダミアン・ストーンも見られるはずと踏んでいます。
個人的には三人は友人だった〜のような過去があると面白いですね。
TRUMPのクラウス、特級貴族のニコ、そしてダンピールのダミアンの立場で。因果の三すくみ、原点を観測したいところです。
ダミアン・ストーンがグランギニョルでスティグマを刻むのは烙印と落胤をかけてるんじゃないかと推察します。
③ドブネズミ
そもそもになっちゃうんですけどダンピールをドブネズミの臭いがするとしたのはなんででしょうね。高貴な方の言葉を使うと下等生物の匂いだからとかでも十分理由にはなるんですけど、ダンピールの判別という役割でこうも何度も出てくると何か深い理由があった場合、明かされたときのカタルシスがすごいだろうなと思っちゃうんです。まあ、疫病を運ぶ(永遠の命を望みやすく原初信仰を過激化させやすい)とかでもしっかり理由にはなっているので、わずかばかりの期待の意味も込めて。
④ファルスのサナトリウム
LILIUMで集められた少年少女たちは今回のように無差別だったのか、という疑問です。マリーゴールドでは完全に狙ってましたが、あれを全員分やったのでしょうか。気になります。理由があるならけっこうな新事実なんだよな。
『blossom』という短編集があのサナトリウムにくるまでのみんなを描いてくれてりするんですかね。手に入らないので想いを馳せるほかないのですが、いつか読んでみたいな。
⑤チェリーがダンピールであった理由
LILIUMにおいてドブネズミの匂いでファルスがダンピールであることの伏線を張るならマリーゴールドだけで十分その役割を果たせます。そして、マーガレットがドブネズミの匂いを嗅ぎ分けられたなら他のヴァンプたちもそうだったと思うんですよ。なのにマリーゴールドはダンピールであることで避けられてたのに、チェリーはそうならなかった。これはファルスのイニシアチブによってそうさせていたのでしょうか。だとしたらなぜわざわざそんなことを。
あのサナトリウムにいた子たちはマリーゴールド以外(マリーゴールドも不確かですけど)家名が明かされてないんですよね。今後これは効いてくる余地だと思ってます。
この謎は二輪咲きで明かしてくれているんでしょうか。
個人的には『リコリス』というキャラが出ているらしいので、名前からしてそっちがメインに語られそうなんだよな。
感想
さて、やっとグランギニョル見ていこうかな……自分のメンタルは大丈夫なのだろうか
— ひとのこ (@hitonoko421) August 23, 2024
グランギニョルみてきた
— ひとのこ (@hitonoko421) August 23, 2024
みてきた、ぐっうぅぅ……幸せになろうとする人たちの姿は美しいな
アイデンティティが胸ぐら掴んで「気高くあれ」「汝隣人を愛せよ」と揺さぶってくるような話だった
とても好みです
シルベチカを弔いながら頑張れダリちゃんが私の鑑賞の基本姿勢になってるな
— ひとのこ (@hitonoko421) August 23, 2024
そして大体の情報が収束してきた感じがする
おそらくシナリオ書いてる方は諫山先生パターンで、もう話の筋を全部完成させて出してるように感じるんだよな
どこを話の終点にするかだけど3か4、ピースが足りない
『グランギニョル』はダリ・デリコが好きになる話ですよね。
生粋のシルベチカ溺愛派閥ですけど、ダリちゃんにはもう生きてくれの気持ちでいっぱいです。
キャラ的な人気が高いから頻出するようになったのか、それとも物語の根幹にいる重要人物だからかなのは判断できませんが応援していきたいです。デリコズナーサリーはタイトルからもダリちゃん育児奮闘記だと思うので注目していきたいですね。
あとはダミアン・ストーン(蛍光髪)の方がLOVEマシーンの振りをやってくれたのが個人的に嬉しかったです。LILIUM知らない人だったらなんで?ってなるネタだよな……。こんなところでもモーニング娘。さん、ハロー!プロジェクトと作ってくださった舞台を大切にしてくださって頭が上がらないや。縁が続いていて感動してました。
そしてタイトルにもしましたが「汝孤独を愛せよ さすれば心の救いあらん」ここを「うら」と読ませるのがおっ、と引っかかりました。「うら」の音だけだと『裏』『心』『占』『末』といろんな読みができます。ここからまた連想ゲームができちゃうので個人的には一番興味深い言葉の扱いでした。
ですが脚本的には
ウルという吸血種が原案を書き
ダミアンストーンが脚本と演出を務め
ダリデリコが主演する
グランギニョルだ
ここをノリノリで書いたんだろうなという気がしています笑
あとがき
次回は黒世界を見ようとしていたのですが、予定を変更してTRUMPの漫画版を読みたいと思います。一度ソフィとウルの過去を知ってからのTRUMPを復習したくなりました。せっかくなので別の媒体でといったところです。
そしてデリコの情報はおおかた集まったと見たので私もデリコズナーサリーリアタイ勢になります(やったー!)。明日の木曜で4話のはずだから今から見ても追いつける……はず!
終わりが少しずつ見えてきましたが、最後まで油断せずに行きましょう。
今回もここまで読んでいただきありがとうございました!