【短編】流行り病
一種の流行り病みたいなものである。
私には何が何だかわからないのだが、巷ではそれが流行しているとのこと。
どうやら、目には見えないが確実に存在しているようだ。なぜなら、人々は実際にそれを感知し意図的に避け、排除するような行動をとる。
私にはさっぱりだ。理解できないからといって排除しようとするというのはどうなんだろうか。
そもそも、見えもしないものをどうやって避けるというのだ。
当事者には自覚がさっぱりないらしい。
不思議なものだと思いながら、私は血の付いた刃物をポケットにしまい込み、その場を後にした。
「だから、得体の知れないものは嫌いなのだ」
縦書き版
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