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中央封鎖442ブロック守備:2024 J1 第26節 アルビレックス新潟×京都サンガ

これは完勝と言って良い京都戦だった。今回の京都は非常に良い京都だったので、この京都にキチンと勝ったというのは大きな自信になることだろう。

この試合の新潟は非常に守備的なサッカーを展開しており、その守備は442ブロックによる中央封鎖というものだった。

守備が良いときの新潟は442プレスを使う印象が多く中央ブロックを中心にするというのはあまり記憶にないのだが、この守備が機能していたので記録に残しておきたい。

ちなみに調子が良い時の新潟442守備はこういうもの。

それでは確認していこう。試合開始序盤のワチャワチャタイムを経て実際にブロックを敷き始めたのは前半10分過ぎくらいから。

中央を固める新潟の守備ブロック。京都は大外両翼で2人浮いた状態に。

前半11分のシーンでは狭いスペースを狙った裏抜けロブを上げられて裏抜けまで成功されてしまうが中央ブロックを素早くそのまま後ろに下げることでボールを絡め取る。ペナルティエリア内に8人もの人数を入れて壁を作るのだが、サイドにプレスに走っていたりすると8人を瞬時に固めるのは難しくなる。奪った後にカウンター発動まで繋ぐことができれば最高の形になるだろう。

前半13分のシーンではサイドでボールを持たれてしまうが、ブロックをコンパクトに保ったままスライドしてスペースを埋める守備をする新潟。決して飛び出さず、しかしパスコースを限定させるという守備で京都の選択肢を潰しておいてから無理矢理だした縦パスを奪うということに成功している。

サイドにボールが入りそうでもプレスではなくブロックで対応する新潟。このあと京都は9番に縦パスを差し込むもゴメスがピンポイントで奪い取ってカウンターを当てようとする。

押し込まれてからだけでなく京都のビルドアップに対しても442のブロックを徹底して敷く新潟。ビルドアップの術を持たない京都はマルコトゥーリオに裏抜けを狙って蹴飛ばすしかないが予測できるボールなら最終ラインがキッチリと対応することでリスクを軽減させる。この日の京都は最終ラインやサイドの外側で意図なくグルグルとボールを回すほかなく、痺れを切らして縦に蹴飛ばしというパターンが散見されたのだが、この形になるようにブロックを敷いていた新潟の守備なのである。

京都ビルドアップ時においてもコンパクトなブロックで構える新潟。裏抜けされても飛んでくるボールが予測できれば最終ラインで十分に対応できる。

前半はこのやり取りがずっと続いていたが京都の甘いバックパスを見逃さずにピンポイントで奪いに行ったダニーロがPKをゲットして小野がしっかりと決めて先制する。後半京都が何か手を打ってくるかと思ったらキーパーを含めたハーフタイム3人交代で流れを変えようとしてくる、この交代の意図は京都サポでない俺にはちょっと理解できないのだが流れを変えたいのだろうという意図は伝わってきた。

広範に入っても新潟の守備方法は変わらず442ブロックによる中央封鎖だが、新潟が勝ち切る時に見せるゴール前のバス停めブロックも良く機能していた。京都がどんなにゴール前で圧を高めようともペナルティエリア内に人を8人置くことでどんなシュートも誰かに当たって止まるだろうという守備である。欧州サッカーでも良く見るやつなのでセオリーになっている守備補法なのだろう。新潟式穴熊。

ペナルティエリア内に8人を入れてシュートブロック用の壁を作る新潟。長倉とダニーロはカウンター要員として前線に待機する。

後半は守備のやり方と強度はそのままに、ビルドアップやカウンターなどの攻撃力を上げてきた俺たちの新潟。前半はただの様子見だったのかよ!と思わずにはいられない仕込み万全の戦術的な試合となった。これは準備もピッチ上も完勝と言って良い試合だろう。試合終盤に差し掛かっていつもの3人同時交代を繰り出した松橋監督、その3人だけで決め切ったゴールは今シーズンのハイライトのひとつとなることだろう。

今の時代にビルドアップを仕込まないチームがあるとは思えないが、ビルドアップが仕込み切れていない対戦相手に対してはこの中央封鎖442ブロックで全部勝ててしまうんじゃないだろうかと思わせてくれるほどに完璧な試合だった。

「良い攻撃は良い守備から」というのはサッカーにおいて真理である。今シーズンの失点しまくりだった時期の結果と悔しさを忘れずにシーズン終盤に向けて連勝を重ねていってほしい。

試合雑感

基本は前節から変わらず松田の代わりにダニーロがスタメン。ダニーロが楽しそうに大活躍する姿を見たいのでこのチャンスをものにしてほしい。

相手は京都ということで守備が改善されているとも思えないので磐田戦で刺さりまくっていた小野ハセモの裏ポンから長倉のロングスプリントが今日も見れるような気がする。鳥栖戦の時みたいに相手がヤケクソ気味な守備で突っ込んできても慌てずに対応してもらいたい。

鳥栖戦や磐田戦の結果が本当に酷かっただけに今日こそは勝ち点3が絶対必要なシーズンの中でも非常に重要な一戦となる。残留争いとしての6ポイントマッチ。とにかく勝ってもらおうか。

前半終了時の感想としては予想外に京都が良い。京都に何があったのか知らないのですが非常に良いチームだ。

京都はハイプレスを基本としながら新潟がビルドアップの一環で行うサイドへのロブを確実に回収してくる。最終ライン、特にサイドバックはこのために我慢し続けているのだろう。セカンドボールはほとんど京都に拾われてしまったのではないだろうか。途中からスクランブルで出てきた佐藤響の攻撃力が相変わらずなのだが、それを逆手に取って裏に蹴り込んで長倉ロングスプリント爆走をキメてほしい。

京都はさらに新潟の偽9番に対して絶対潰す覚悟でセンターバックが当たってくる。ここは我慢と思い切りの良さのコントラストが素晴らしく、結果としてもノーファウルで止めているので良い守備をしていると言えるだろう。京都の攻撃面ではアタッキングサードのアイデアが豊富でコンビネーションが非常にスムーズだし右サイド奥からのサイドチェンジも良く通っている。これは良い京都だ。

一方の新潟は徹底した442ブロックという守備に特徴のあるサッカーをしていた。いつもなら追い込み式の442ゾーンプレスを使う新潟なのだが今日は中央封鎖を意識した442ブロックとなっている。京都に押し込まれてもギリギリで耐えることができているのはこの守備だからこそな気がする。最初からセットされているので壁を作りやすいのかもしれない。とにかく動いて飛び出す守備がかなり控えめの新潟である。

そしてダニーロ。熱量が半端なくて良い。俺の見たいダニーロがそこにいる。熱量でPKゲットしたようなもんだろう。甘いバックパスに対してギラーン!っていう擬音が聞こえてきそう。

ダニーロ、後半はドリブルでブチ抜いてゴールを決めてくれるだろうか。サッカーはこういう熱量があってこそ面白いし、その上での戦術云々ということなんじゃないだろうか。後半も集中した守備を基本にダニーロ大爆発に期待したい。

そして試合終了。

最後まで守備意識を高く保って無事に勝ち点3ゲットだぜ。スワンでの勝利は3ヶ月ぶりだったのか。長かったな。孝司と松田と谷口の交代三銃士によるゴールは素晴らしすぎた。

後半は前半よりも攻撃意識を高めた新潟だったのだが守備のやり方と強度を変えずに攻撃的にシフトチェンジしたのは賞賛に値する。これは完勝という言葉以外に見当たらない。

マイケルやデンのシュートブロックも最後まで素晴らしかった。なんでもできる原大智が凄すぎてハラハラしたものの、マイケルとデンをはじめ全員が良く守り抜いた。この守備ができる時の新潟は本当に強い。

残留ラインは混戦を考えると勝ち点43か44くらいになるだろうか。残り12試合で勝ち点12を積み重ねる計算になる。

試合終了後のスワンの演出が派手で良い。松橋監督も安堵していることだろう。


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。