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エモーショナル・ダイナマイト(ダニーロ・ゴメス):2024 J1 第28節 アルビレックス新潟×町田ゼルビア

俺たちのダニーロ!俺たちのダニーロが大活躍だ!

絶対に負けられない戦いで感情を剥き出しにしてピッチで躍動した俺たちのダニーロについて語らずにはいられない。

なお、ダニーロについては以前書いているのだが、その後は出場機会を思ったように得られない日々を送っていた。そんな日々でもしっかりと準備してコンディションを上げていたからこそのこの躍動である。俺たちのダニーロ!

残り10試合あたりになってから存在感を大きくしてきたダニーロが本当に素晴らしい。新潟のサッカーの中では異質な存在かもしれないが、この感情第一でプレーする姿はサッカー観てるなという感じがして本当に面白い。

そんな素晴らしいダニーロの魅力が凝縮された試合の振り返り、まずはプロットから確認していこう。

ダニーロのボールタッチ。基本は大外で藤原とのレーン交換を行う。
パスはあまり特徴がない。パスするくらいならドリブル仕掛けるわ!みたいな。
とにかく敵陣でドリブル縦突破を仕掛けるダニーロ。実直な縦突破ではなくカットインを匂わせながら縦に抜けていくのが特徴。

大外でボールタッチしつつ敵陣では積極的に縦突破していくのがダニーロの特徴となる。が、プロットからは見えない感情大爆発のエモーショナルなプレーがダニーロの一番の魅力である。

個別のプレイを見ていこう。

前半3:30のシーン。マイケルから供給されるボールを敵陣右サイド大外で受けるダニーロ。内側にカットインする雰囲気を撒き散らすことで対面守備に迷いを生じさせてからの縦突破。守備がついてこれないことを確認してから右足でクロスを上げるもディフレクションで未遂に終わる。それでもボールを奪いに噛み付くダニーロが熱い。たまらず前方に蹴飛ばして難を逃れる町田だがこのボールをマイケルが対応して新潟のターンを継続させる。諦めないダニーロの気持ちで奪ったマイボールである。

前半5:15のシーン。競り合いで溢れたセカンドボールにいち早く反応してハーフウェイラインのあたりで確保するダニーロ。そのまま縦に突破を試みるが中山雄太に防がれて転んでしまう。しかしながらタッチラインを割ったボールは気合いのマイボールに。

前半6:15のシーン。最後方のデンが蹴ったダイナミックなサイドチェンジを敵陣深くで胸トラップするダニーロ。この場面で町田の最終ラインはスカスカで盤面だけ見ればとんでもないビッグチャンスを作り出す。デンからこのボールが出てくることを信じてポジショニングしていたダニーロが偉いしピンポイントで蹴ったデンも凄い。ボールを受けたあとは内側に切り込んでから中央の宮本に預けて展開してもらう。

前半15:20のシーン。自陣深くに押し込まれてからの町田スローインだったが甘く入ったスローインを見逃さず、もの凄い勢いでボールを奪いにいくダニーロ。無理矢理ボールにタッチして相手のクロスを防ぐだけではなくゴールキックの判定までゲットするダニーロ。その後の16:00にもとんでもないスピードで町田ビルドアップの後ろからボールを奪いにいくダニーロ。その後の25:45や前半終了間際の45+3分、後半60:10なんかにも、とにかく奪えると思ったら突っ込んでいって町田のボールホルダーを怯ませる守備をするダニーロ。後半65:50にはゴール前で一息ついている町田のボールホルダーに後ろから忍び寄って奪ってしまうという場面や、交代直前のワンプレーではクロスを上げられてしまうピンチに気合いのノーファウル・スライディングでピンチを凌いでくれたりした。激しすぎる!

前半17:10のシーン。マイケルから大外にポジショニングしていた藤原へボールが通ると前方ハーフスペースに走り込んでいるのはダニーロ。どうせ大外でまってるだけだろと町田の誰もが思っていたであろうタイミングにおける藤原とのレーン交換は見事だった。基本に忠実な動きで新潟のサッカーを体現するダニーロ。そのままボディフェイントを織り交ぜながらあれよあれよとゴール前正面までドリブルで運んでしまい、最後は町田の守備が3人掛かりで止めるしかない状況という圧巻のプレイを見せる。その後も新潟のターンが継続し、試合の流れを一気に新潟に傾けるというインパクトを与えてくれた。その後の時間帯でも藤原が外側ならダニーロは内側というセオリーを忠実に守り抜くダニーロ。

前半29:10のシーン。ゴール前で宮本が倒されてゲットしたフリーキック。ハセモと並んで左右の蹴り分けを匂わせる2人。ダニーロが助走の距離を取り低い弾道でニアポスト目掛けて蹴り込んだ左足のキックは残念ながらキーパー正面となってしまう。キッカーとしても活躍できるダニーロ。

前半31:20のシーン。自陣でのクリアミスを町田に回収されてしまうがここにとんでもない勢いで飛び出してくるのがダニーロである。そりゃ間に合わんだろ!というようなボールにも反応してアタックを仕掛けるダニーロ。このシーンでは最終的に左サイドにボールを逃して新潟のターンを安定させる。

前半32:40のシーン。マイケルのロブをペナルティエリア手前において頭で弾くダニーロ。セカンドボールを孝司の兄貴が収めてシュートを放つもディフレクション発生で枠を捉えきれず。長倉っぽいポストプレイもできてしまうんじゃないだろうかと思わせてくれるダニーロがいた。このプレイで発生したコーナーキックを左足インスイングでゴール前中央に蹴るダニーロだったが後ろから飛び出してくる藤原に僅かに合わず。町田キーパーの谷が前に出れないポイントに蹴ることができていればそのままズドン!となる鋭いコーナーキックだった。

前半34:50のシーン。大外をスピードに乗った状態でボールを受けるダニーロ。ハーフウェイラインからドリブルでぶっちぎってペナルティエリアよりも深い場所まで運ぶという40mドリブルを披露する。途中でボディフェイントを織り交ぜるのだがカットインをチラつかせる絶妙なものでみんな足が一瞬とまる。この止まった一瞬を見逃さずに縦に突破するというのがダニーロの大きな特徴のひとつとなる。最後はクロスを上げるまでに至り、ハーフウェイラインから1人で完結させてしまいそうになった圧巻のプレイだった。

前半36:00のシーン。カウンターっぽくボールを運ぶ新潟。偽9番で落ちてきていた孝司にボールが入るとペナルティエリア内ポケット目掛けて走り込むダニーロ。孝司の出したボールを左のアウトサイドで受けると脅威のキープ力を発揮してペナルティエリア内でシュートコースを探し始める。

前半38:05のシーン。ハーフウェイラインのあたりでルーズボールを拾ったダニーロ。大きなストライドで懐にボールを入れてドリブルをするとマークにつくのは昌子と杉岡。ヌルッとした動きで縦に抜くと見せかけてから内側にカットインして守備2人を外すことに成功する。庄司と杉岡を相手にこのプレイができるダニーロが素晴らしい。前半終了間際の44:50には同じくハーフウェイラインのあたりから縦、縦と読み勝ちながらゴールライン付近まで運んでクロスを上げるところまで完結させてしまう。圧倒的な突破力を持っているダニーロである。

後半48:05のシーン。大外で張っていたら宮本からボールを供給されたダニーロ。町田の守備スライドが間に合っていないこともあり余裕でボールをコントロールすることができるダニーロ。跨いで跨いで跨いで5回くらい跨いだだろうか。最後はヤケクソ気味にクロスを上げる。派手なドリブルモーションで守備を威嚇し続けるダニーロが頼もしい。後半58:10にも縦とカットインの2択を突きつけながら強気に攻めていたりする。

後半54:10のシーン。ゴール前でボールを持つとゆっくり守備に向かって駆け引きをするダニーロ。ジリジリと内側に入って行ってドリブル突破と見せかけてからの強振シュートをぶっ放す。勢い抜群のダニーロ。

後半65:10のシーン。町田のスローインのミスを見逃さずに敵陣でボールを奪う俺たちの新潟。島田→孝司→長倉と繋いで最後はゴール前正面にポジショニングしていたダニーロへボールが収まる。右にステップを踏んでから右足を振り抜くとボールは低い弾道でゴールへ直線を描くが町田キーパー谷の腕の中に収まってしまう。無念ではあるが右足で蹴るしかなかったのが悔やまれるシュートではあった。今後似たようなシーンがあったらその時には豪快に決めてくれよな!

感情を爆発させるエモーショナル・ダイナマイトなダニーロ・ゴメス。新潟のサッカーにおいて変化を出せる貴重なサイドアタッカーなのです。

試合雑感

とにもかくにもこのチームだけには絶対に負けたくない指数ぶっちぎりナンバーワンの町田である。名古屋戦が台風で中止になったのでリアル3連戦になってしまったが結果はスコアレスのドロー。内容では新潟が勝ってた(あちらさんも同じこと思ってるはず)。

内容としては町田がヒールキャラじゃ無ければ純粋に楽しめる前半となった。非常に良い前半だった。

先発キャプテン・ゴメスの意図はかなり明確。この感情溢れる試合にはキャプテン・ゴメスの経験値と感情は欠かせない。島田の経緯はわからないが島田の経験値も良い形でチームに影響を与えている(秋山は家庭の事情で欠場だったと後でリリースがあった)。

ダニーロについては誰が見てもわかる光景を見せてくれた。感情剥き出しにするダニーロがマジカッコイイ!。ダニーロがボールを持つと欧州か南米のスタジアムを見ている気分にさせてくれる。まさにギラーン!という感じなのだが、後半途中から出てくるであろう小見もダニーロ以上にギラギラしてくれることだろう。

とにかく理論に感情が追いついた凄く良い状態の新潟である。ベンチには小野もいるので感情を爆発させて勝利してくれることだろう。

一方の町田のサッカーは相変わらずわかりやすくシンプルでロングボールをとにかくセフンに蹴り込んで弾いてからヨーイドンというもの。あとはカウンターの絶対に決め切ってやるという猛獣らしさがかなり怖い。これだけ強いのにヒールキャラを演じきっているというのが本当にもったいない町田である。黒田監督がやりすぎてるだけなんだが。

で、町田の守備がちょっと面白くて前回対戦時よりもプレスの強度が強い。加えて自陣に押し込まれても新潟が止まるとプレスを仕掛けてくる。これはかなりリスキーな守備だと思うのだが特に崩れていないということは自信を持ってやっていることなのだろう。そんな自信満々のプレスを新潟に破壊してもらいたい。

繰り返しとなるが、新潟は理論と技術に感情が追いついているサッカーを繰り広げている。これは新潟の歴史のターニングポイントとなる試合になるかもしれない(と思ったが最終的にはそんなことにはならなかった。ルヴァンでそのターニングポイントを迎えてくれることだろう)。

前半終了間際のマイケルのやらかし、あれは前半のあのタイミングで結果オーライ。ハーフタイムに意識を改めて統一できたことだろう。

そして試合終了。最後までお互い譲らずのドローで終了。

終盤はかなり押し込まれてヒヤヒヤしたが町田のストロング押し付けに屈しなかったのは素晴らしいことだ。なんだかんだでロングスローの圧力は凄く嫌だ。

新潟は決定機外してのスタジアムが溜息みたいなシーンもほとんど無かったし、首位相手に引かずに引き分けという結果だけなら十分ではないだろうか。勝ちたかったし途中で町田がプレスに来れなくなるほどの脅威を与えていた時間も長かったので勝ち筋は十分あったんだけどな。

町田戦はルヴァンを本番と捉えて町田をボコボコにして俺たちの正義を見せつけてもらいたい。


「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。