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西江仁德の2024年まとめ



■〈新・動物記〉シリーズ第10巻刊行!

2021年6月に第1巻・第2巻を刊行して3年で第10巻刊行までたどり着きました!

私はシリーズ共編者として企画からずっと関わっていますが、何より執筆を引き受けてくれた著者の皆さん、ていねいかつテキパキと本づくりを進めてくださっている京都大学学術出版会編集室の永野祥子さん、目を引く装丁や口絵、本全体のデザインを請け負ってくださっているデザイナーの森華さん、そして本シリーズを読んでくださっている読者の皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

2024年に刊行したのはこちらの2冊です。

●〈新・動物記〉第9巻 『ヒト心あれば魚心:釣られた魚は忘れない』(高橋宏司 著、京都大学学術出版会)

●〈新・動物記〉第10巻 『密かにヒメイカ:最小イカが教える恋と墨の秘密』(佐藤成祥 著、京都大学学術出版会)


●シリーズ第10巻刊行記念書店フェア

各地の書店さんで〈新・動物記〉シリーズ10巻刊行フェアをさせていただきました。ご協力いただいた書店の皆さま、ありがとうございました!


●〈新・動物記〉シリーズ10巻突破記念企画インタビュー動画「著者と読む」

〈新・動物記〉シリーズ10巻刊行記念企画として、既刊の著者の皆さんに本の見どころや裏話を聞くインタビュー動画「著者と読む」を公開しました。

各巻の著者の〈顔〉が見える貴重なインタビューです!


また番外編として、本シリーズの〈顔〉となる装丁やブックデザインをしていただいているデザイナーの森華さんにもご登場していただきました。
森さんのデザインへのアツいこだわりの数々を語っていただいています!! 
アートやデザインに関心のある方も必見です!!!


〈新・動物記〉は今後も続々と新しい動物/フィールド/研究テーマ/人間の織りなす物語をお届けしていきます! ご期待ください!!


■論文

●「生態的参与観察の来し方と行く末:フィールド動物研究の観察実践」

2023年の日本科学史学会生物学史分科会夏の学校での発表の要旨が「生物学史研究」No.104に掲載されました。

動物研究者の現場での観察の技法について、黒田末壽の「生態的参与観察」を参照しつつ議論しました。

生物学史研究 No.104 2024年10月

この他に、

●チンパンジーの死と「別れ」(のなさ)に関する論文

を書きました。2025年前半には出版されると思います。


■学会・研究会での発表

●「身体の環境化、環境の身体化:動物を追う身体の変容」

2024年2月に、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の床呂郁哉さん主宰の研究会「身体性の人類学―「もの」の人類学的研究(4)」にて上記タイトルの発表をしました。

〈新・動物記〉シリーズのテキストを参照しつつ、動物研究者の身体性について、それぞれのフィールドの環境をどのように身体化し、また自らの身体をどのように
動物の生活環境へと拡張するのか
、という視点から議論しました。

2025年中に論文化する予定です。


●「動物研究の知の産出装置としての観察者の身体とその変容」

2024年10月に、京都大学人文科学研究所の瀬戸口明久さん主宰の共同研究会「モノ・知識・環境」にて、上記タイトルの発表をしました。

科学史/生物学史の側面から、動物研究の観察実践の身体技法について議論しました。


■西表島でのフィールドワーク(9月)

2024年9月に、西表島での短期フィールドワークをしてきました。

京都工芸繊維大学の同僚の村上久さん都丸武宜さん、東京大学のフェリシャーニ・クラウディオさんらと一緒に、オキナワハクセンシオマネキ、ヤドカリ、ミナミコメツキガニの調査の助手として働いてきました。

初めての西表島、初めてのカニの調査で、西表島の風土、食べ物、生き物を満喫してきました。

二重の虹
西表野生生物保護センターの展示
カンピレーの滝

■京都新聞コラム「現代のことば」寄稿

2024年8月から、京都新聞夕刊「現代のことば」欄にて、隔月でコラムを執筆しています。


●「待つことの覚悟」(2024年8月20日掲載)


●「あるがままに見る」(2024年10月21日掲載)


●「クリスマスの光と影」(2024年12月24日掲載)


隔月で1200字の原稿を書く、というのは、なかなか〆切を守れずダラダラ長く書いてしまう私にとってはとても良いトレーニングになっています。


■京都新聞取材記事「本という道しるべ あなたの読書遍歴」

京都新聞記者の広瀬一隆さんに、読書遍歴について取材記事を書いてもらいました。

これまでの私のライフヒストリーの折々に深く関わってきた本を取り上げて記事にしていただきました。


■イベント

●「ベルクソンと動物たち」@マキコミヤの祭り2024

今年もマキコミヤの祭り2024に巻き込み/巻き込まれてきました。

2023年のマキコミヤのVerbFes(逆卷しとねさん主宰)に参戦して初めてお目にかかった、哲学者の藤田尚史さん平井靖史さん米田翼さんと、動物の集団現象について研究している村上久さんとで、2023年冬頃からオンライン研究会をしてきた流れで、2024年のマキコミヤでも何かできたら、ということでイベントを企画しました。

村上久さんからカニの知覚と記憶をめぐる実験について、米田翼さんから宇宙生物学とベルクソン哲学の接点について、それぞれ話題提供してもらい、平井靖史さんと西江がそれぞれベルクソン哲学、動物研究の観点からコメントしました。

「ベルクソンと動物たち」全然違うバックグラウンドの人たちで取っ組み合いをする楽しさがあるので、2025年も何らかのかたちで続けていけたらと思っています。


●アカデミックプログラム「本のカバーを描いてみよう!」@京都大学キッズコミュニティKuSuKu

2024年12月の暮れに、デザイナーの森華さんと一緒に〈新・動物記〉シリーズ初のお絵描きイベント学童保育所 京都大学キッズコミュニティ(KuSuKu)にて開催しました。

西江が動物の研究者として、森華さんがデザイナーとして講師をつとめ、35名の小学生の参加者と一緒に、動物のデザインのオリジナル・ブックカバーを製作しました。

どの子もいろんな工夫を施して、自分好みのデザインのブックカバーを熱心に作っていました。

個人的には、唯一チンパンジーをあしらったブックカバーを作ってくれた子が、カバーデザインだけでは飽き足らず、「中身も書く!」と言ってカバーの中の単行本ノートを開いて、チンパンジーの生態や特徴を思い出しながら(図鑑も見ずに!)書いてくれたのがとくに印象に残りました。


■2025年の予定

  • 家事と育児

  • チンパンジーの死の論文(2025年前半出版予定)

  • 動物研究者の身体性論文執筆(2025年夏頃〆切?)

  • ジェーン・グドールに関する論文執筆(2025年夏頃〆切?)

  • タンザニア・マハレのチンパンジー長期調査と新植民地主義の論文執筆(2025年3月〆切)

  • チンパンジーの本2冊の執筆(〆切は…)

  • 〈新・動物記〉続巻の編集(2025年は3〜4巻刊行を目指す)

  • 「人と動物」に関する論集の編集と執筆(2025年夏頃〆切?)


2025年も大切な人たちが健康に過ごせますように…


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