血ノ味ノスル奥歯
ぐぬぁーーーー!
ずっと血の味がする…右の奥歯。数年ぶりに抜歯したのですよ。右の上の親知らず。
前にも一回抜いたことがあるんだけど、その時は左の下の親知らず。横向きに生えててほとんど埋れてるくせに、その横の歯が虫歯になってきてしまったので、大学病院で抜歯の手術をしたのですよ。10年以上前のお話。
横向きに生えてる親知らずの歯茎を切開して、親知らずをいくつかに割って抜いたのだけど、もーーーー!それがもんのすんごく痛かったのよ!
基本的に麻酔が効いてるんだけど、下顎って硬いから抜くときにギリギリグリグリガリガリ凄くて、麻酔が効いてるはずなのにものすごく痛いのと、先生の力の圧とでパニック状態。
涙目がちょちょぎれもので(語彙が古い!)
その上手術を受けたのは大学病院。学生さんが見学とバキューム(ドリルから出る水やヨダレとかを吸うやつ)を扱う助手として参加してきたのよ。
初めは良かったんだけど、先生が色々やってる痛みよりも、バキュームの押し付けが痛い!
バキューム→唇→歯と、歯とバキュームに挟まれた唇がめっちゃ痛い!その上バキュームの先っちょが舌ベロの付け根に刺さってバカ痛い!
あまりにも酷くて、パニック状態の私は思わず手で払い除けて
「ぐっ…それ(バキューム指差して)がっ!痛いよっ!!」ってここでも語彙不足(笑)
そのあとは謎のベテランおばちゃんに助手が変わったので、バキュームが突き刺さることはなかったんだけど、歯があまりにも頑固でグリギリガリガリ体重をかけながらやったもんで、痛みで悶絶。なみだボロッボロこぼしながら、こころを無にして乗り切った。(ベテランおばちゃん、その間も『痛いよねー、頑張ってー』とベテラン応援。優しかった。)
終わって、「じゃあ口を軽くゆすいでください。」とイスが起き上がり、軽くクチュクチュペ。
うわぁ…血が混じってるわぁ…なんて思ってたら鏡とウエットティッシュを渡された。
ん?
鏡を覗くと、そこにはスプラッタよろしく顔面に飛び散った血…。何とも壮絶な抜歯でございました。
そのイメージがかなりあったから、「上の歯は全然簡単ですよ。上手くいけば15秒で抜けます」と今のかかりつけの先生の言葉に、(えー…それは流石に…)と若干不信気味。
ところが先生、本当に抜き始めて15秒くらいで抜いてくれたの!もーびっくり。
そして、出てきた歯を見てまたびっくり。見事な虫歯(恥)
奥歯の奥で半端に生えてて、一段下がった状態の歯だったので、歯ブラシが十分に届かず少し虫歯になってます。とは言われてたんだけど、見事な虫歯(笑)絵に描いたような虫歯!
「綺麗にして、ケースにいれてあげるから持って帰ります?」
え!?持って…面白いけど!自分の虫歯とか!またチャンスなかなかないけど!なぞのコレクター魂がふつふつと燃え上がりかけたけど!
いや!いらないよ!
いらないよね?
いや…逆に子供の教育の為に要るか?これを見りゃ歯磨き頑張るか?
いや!いらんやろ?
もし私が死んだ時に遺品整理してて虫歯の歯がいい感じのケースに入った状態で、何だか大事そうな雰囲気で出てきたら嫌じゃね?
捨て辛くね?
「いや…いらない…です…あはは。」
何だかこころの端っこではちょっと家族に見せてみたい気持ちもチリチリしつつ、
いや…見たくないっしょ?
と、思い直し
「じゃあ、こちらで処分しますねー」と助手さんがガーゼにくるんで裏に持っていくのを、何だかもうよくわからない感情で見送りました。
それから奥歯がじんわり血の味。
私の心もあの子(歯)を想ってじんわり…
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