バリ島の夏休み vol.9
いつも泊まっているホテルのすぐ近くに、「タンジュンサリ」という老舗ホテルがある。こじんまりしたホテルで、ミックジャガーやオノヨーコ、先日亡くなったばかりのデビットボウイ等の著名人に愛された、バリ島では有名な宿だ。
宿泊しているホテルからすぐなので、ビーチ沿いを散歩していると前を通ることになり、何度もホテルの前を通っている。遊歩道からはホテルのプールやレストラン、それから海側にはレストランのビーチ席を見ることができて、通る度にうーん、なんて素敵と思っていた。砂浜も、ここだけすごくキレイ。他所から砂を運んでいるのか、裸足で砂浜を歩いていくと、タンジュンサリの前だけ砂の粒が細かくサラサラとして足に心地よい。ビーチサイドのホテルはどこも、朝、砂浜を掃くのだけど、それでもここだけ飛びぬけてキレイなのだ。
常宿に比べると少し高いのと、ちょっとまだ敷居が高い気がして宿泊したことはないのだけど、いつか泊まってみたい宿のひとつ。常宿も十分に素敵で快適だし、そこにしかないアットホームな雰囲気があるのだけど、タンジュンサリにはどことも違う、独特の空気があると思う。
夕方散歩していたら、タンジュンサリの灯りがともった砂浜のテラス席があまりに素敵で、夕食に行ってみることにした。
どういうわけだか(暗かったからかな)食べたものの写真が全然ないのだけど、盛り付けが多少上品で量的に物足りない感じはあったものの、そのどれもがとても美味しかった。父の「今まで食べた中で一番美味しいミーゴレンだった。値段なりだなぁ。」という言葉が印象的だった(笑)。
砂浜のテラスで潮風を感じながらの席はとても素敵で、憧れのリゾートそのものなのだけど、潮風ってずっと当たってるとびっくりするくらい寒いのね。景観的にはイマイチだけど、常宿が砂浜の席にビニールの覆いを付けた意味がよく分かる。常宿は風避けがあってソファー席で、ゆっくりくつろぐには最適なのだった(笑)。あまりに寒くて熱いコーヒーを注文し、飲み終わったら我慢できずに席を後にした。
それでも、帰り際に振り返ってみたその景色はやっぱり素敵で、タンジュンサリで食事できて満足したし、いつか必ず泊まりたい。
いやでもやっぱり、いつまでたっても常宿を予約してしまうんだろうか。