バリ島の夏休み vol.6
バリ島には毎回両親を連れて行くので、大人数だし年寄だし、車をチャーターしてしまったりタクシーを使う方がよいかと思い、今までバイクを借りることをしていなかった。今回バイクを借りた大きな理由は、上の子を現地のサマースクールに行かせるため、送り迎えをしなければならなかったことが大きい。
サマースクールはウブドの友人が声をかけてくれた。彼らの子ども達が通っている学校で、夏休みの間、サマースクールが開かれている。ランチ付で、日本の学童クラブに比べると、音楽やスポーツ、ダンスなどとカリキュラムがあって、よりアクティビティ性が強い。短い旅行では1日しか体験させてあげられないのだけど、それでもせっかく行くのだし、バリ島には何度も行っているから、そろそろ「ただ行くだけ」を卒業してもいいかと思った。
荷物の盗難のおかげで朝をバタバタと過ごしたのだけど、息子を送らねばならない時間になった。さあ出ようとした矢先、物凄いスコール。乾季のバリ島では珍しいことだけど、最近は乾季でもスコールがあるし、雨季もスコールではなく日本の梅雨のようにダラダラ降ったりするそう。学校には遅れるけど、仕方なくしばらく待って小ぶりになってから出かけた。
息子はバイクに乗るのも初めて。最初はちょっとビクビクしてたけど、すぐに楽しくなったよう。私もバイクを運転するのは久しぶりだったけど、やっぱり身軽に動けるし気持ちが良い。ウブドは渋滞がひどいので、車よりバイクが便利。現地の人もバイクは生活必需品。初めて行くところで私も少々不安に思いながらだったけど、無事学校に到着して手続きをすると、可愛いブルーのTシャツをもらい、白人の優しそうな先生に導かれて教室に入って行った。
息子、とても内気で気が小さい。だから最初に学校のことを話す時、断られるだろうなって思ってた。だけど珍しく行ってみると言うので、それは良かったとすぐに申込みをした。この日はスコールのおかげで遅刻をしたのだけど、遅れて教室に入るなんて普段ならパニックになるくらい嫌がるのに、わりとケロッとしている。海外で学校の子達がいないことが、逆に少し気を大きくさせているのかもしれない。日本では決してできないことを、海外だとわりと大胆にやってしまう気持ちはちょっと分かる。知ってる人がいないということもあるし、日本で受け入れられないことが海外では歓迎されたりして、これは文化の違いだし行って直接感じるもので、やはり色んな国、土地、人に触れるのは大切なことだと思う。こっそり陰から教室の様子を伺っていたのだけど、この日は音楽のアクティビティで、竹でできたバリ島の楽器を持たされて何やら指導されている。ここはウブドにある外国人向けの学校なので、人種も様々だし言葉は英語。きっと先生が何話してるか全然分からないと思う。
さて、息子を残し私はホテルへ戻り、せっかくバイクがあるので旦那さんとテガラランの棚田を見に行くことにした。ウブド中心からバイクで30分のそこは、映画の舞台になったりしてかなり有名な観光地。何度もウブドを訪れているのに、なんと行ったことがなかったので、一度ちゃんと見てみたかった。旦那さんに運転してもらい、いざ出発。思えば旦那さんにバイクに乗せてもらうのは初めて。
テガラランまでは一本道なのだけど、ひたすら登り道で30分。自転車で…と思ったこともあるのだけど、こりゃ無理だったな。以前はテガラランを見るだけでお金がかかると言われたのだけど、この日行ったときは何もなく、バイクを路肩に停めて棚田に降りていくことができた。
初めてちゃんと見たテガラランは…やっぱりすごかった。グランドキャニオンとかもそうだけど、やっぱり有名な観光地ってそれなりにすごい。世界遺産のジャティルゥイは広大なエリア全体が棚田で、その用水技術とかが評価されているのだけど、ここは小規模なエリアながら深い渓谷がずっと棚田になっていて、迫力という点ではこちらの方に軍配が上がる。棚田を眺めながら食事ができるカフェがいくつかあるのだけど、中心地にあるようなこじゃれた店じゃなくて、まるで農家さんが休憩するための掘立小屋みたいな感じ。かなり急な谷なのだけど、棚田の下の方まで歩いて行かれて、ど真ん中にいるライブ感もこちらの方がスゴイです。ウブドのようなアクティビティの多い街では、観光スポットはいいや~ってなりがちなんだけど、ここは本当に行って良かった。
戻りがてら両替したりランチとったりしてたらあっという間にお迎えの時間。どうしているかと少しばかり心配だったのだけど、息子はにこやかに待っていた。あとで聞いたら、やはり話していることは全然分からなかったそう。そして英語ができない自分を、恥ずかしいと思ったという。ランチがすっごく美味しかったよ!と嬉しそうだった。これから英語を勉強していく上で、少しでも動機づけになったらよいな。英語ができるだけで、話せる人の数もぐっと多くなって、世界が広がるのだから。