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間違い電話

朝、めざましテレビを観ていたら、スマホが鳴った。
この時間に電話をかけてくるとしたら、夜勤明けの家人しかいない。
「これから帰る」の電話だろう。
そう思って、名前も見ずに電話をとった。
「はいはーい」
「……あ」と向こうの人。
あっ、これ、家人じゃない! と気づき、
あわてて画面を見直すと……「支倉常長」の表示。
(は、はせくらつねながっ?)
一瞬の沈黙ののち、
「佐々木ひとみ殿でござるか?」
「あ、はい、佐々木です」
「拙者、支倉常長でござる!」
「……あ、おはようございます」
「申し訳ございません。間違えました!」
「あ、はい」
「仲間にかけたつもりが、佐々木殿につながってしまいました」
「ああ、そうでしたか(笑)」
「佐々木殿はお屋敷ですか?」
「はい」
「それは失礼仕りました」
「いえ」
「それではこれにて」
「あ、あの、ご武運をお祈りしております!」
「ありがとう存じまする。それではこれにて」
礼儀正しく、電話は切れた。
あらためてスマホの着信履歴を見直す。
そこには……やっぱり「支倉常長」とあった。
「今、どのあたりを航海中ですか?」とか、
「ローマ法王にはもう謁見なさいましたか?」とか、
「慶長遣欧使節のお仲間によろしくお伝えださい」とか、
もっと気の利いたことを言えればよかった。
悔やみながらも、ちょっと嬉しくなった。

……と、いうことがつい先ほどありました(笑)
創作じゃあないんです。
杜の都仙台では、ときどきこんなことが起こるのです。
戦国時代の侍から、間違い電話がかかって来るような、
そんなことが(*^。^*)

今日から「仙台青葉まつり」です。
この仙台の礎を築いた伊達政宗公のおまつりです。
目玉は、甲冑武者や鉄砲隊が練り歩く古色蒼然とした時代行列。
先頭は仙台伊達家18代ご当主が扮する、甲冑騎馬姿の伊達政宗公。
新緑の杜の都で、400年前と現代とがつながるような、
不思議な感覚を味わえるお祭りです。

――今朝の、間違い電話みたいな。

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