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今年聴いたもの2023年

毎年恒例、今年聴いたものです。
ベストと書いてもいいのですが、順位をつけることが難しいので、よく聴いて好きだったものを挙げていきます。

過去年のものは、下部に貼っておきますね。



人間椅子『色即是空』

作品の完成度、メッセージ、時代に向き合った精神、全てにおいて、今年一番心が熱くなりました。いろんなところで書きましたので、Mikiki https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/35305 など、ぜひご覧下さい。


BRIAN BLADE & THE FELLOWSHIP BAND『Kings Highway』

いつものといえばいつものなんですけど、成熟することで視点がマクロになるというか、景色が大きくなる、そんな強さを感じました。そして、アンサンブルの信頼感が本当に素晴らしい。こんな関係と練度で音楽を続けていくことができたら理想だなあ、他に何も要らないなあと思います。ジャズで一番印象に残り、好きでよく聴いたのは、この作品です。


Sleep Token『Take Me Back To Eden』

今年出会ったバンドで一番衝撃が大きかったです。過去作も聴きたいと夢中で遡ったのも、久しぶりかな。なんだか不思議なことに、聴いていて「救済される感じ」があるんですよ。20代の時、大阪でコンテンポラリー・ゴスペルの曲ばかり演奏するコーラスグループの伴奏をしていた期間があるのですが、その時の身体的な感覚を思い出しました。
Mikikiに書いています。https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/36200


Sigur Rós『Átta』

しっかり向き合って聴くのではなく、なんとなく流して聴いている時間が長かったです。ドラムがいなくなったことで、この境界線の曖昧さが心地良く、賛美歌のような鎮魂歌のような、穏やかな気持ちになります。ジャケットも話題になりました。


MIRE lll『Island Song』

エンジニアのステファノ・アメリオのSNSをフォローしていたら、以前好きでよく聴いていたヨーナ・トイヴァネン参加のアルバムを録音したと。透明感のある音と厳しさは健在。やっぱり私このピアニスト、大好きです。


Bobo Stenson Trio『Sphere』

いつものボボ・ステンソンです。いよいよ、質感のみを楽しむ感じになってきました、私が。良いメロディを探そうとか、良いアイデアを探そうとか、驚きが欲しいとか、新しいものが聴きたいとか、ボボ・ステンソンにそれは望まないですね。このトリオの空気に触れたい、それだけです。


Code Orange『The Above』

前作が非常に素晴らしかったので、同じようなものを期待してたんですけど、蓋を開けてみたらポップに開かれたものになっていて、嬉しい驚きでした。Mikikiに書いています。https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/35655


Avenged Sevenfold『Life Is But A Dream』

大作でしたね。「叙情がこっち向いて全速力で走ってくるよ!」と思いました。これがとても有機的にプログレッシブに様々な要素と絡んでいって、でもやっぱり叙情が牽引する感じで、同世代の感覚として非常に共感したところがあります。よくこんなの一つの物語にまとめたなと。最高傑作。
Mikikiに書いています。https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/36200


Joey Alexander『Continuance』

20歳でこの成熟したタッチですよ、凄いなあ。デビューから年月が経つにつれ、とても良い感じで深めていっており、どこまでいくんだろうと思いました。打算的なところを感じない。現代ジャズ第一線でありながら開かれたポップミュージックとして成り立つ、素晴らしいリアルジャズだと思いました。聴き手との心の距離が近いんですよね。


Metallica『72 Seasons』

Mikikiに書きましたが、最初ほんとにピンとこなくて、どうしようかなと思ったんですよ。いや、メタリカわからないとか言えないし。
でも、しつこく長く聴いていたら好きになったパターンです。それだけ音楽に強度があるということでしょうね。やっぱりメタリカは凄いや。
Mikikiに書いています。https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/36200


番外編

ジョニー・グリーンウッドの今年の作品で、Dudu Tassaとのユニットのアルバムは楽しみにしていましたし興味深く聴いてはいたのですが、その後、Dudu Tassaは10月の早い時期からイスラエル軍に慰問に行って演奏している動画を投稿しており、なんとも言えない気持ちになりました。少なくとももう聴きたいと思わず、放置してしまっています。音源も貼りません。
これに限らず2023年末の今、イスラエルのジャズは心情的に聴けなくなっており、全く聴いていません。
ジャズの場合、イスラエルのミュージシャン本人が何かを発信しているのを全く見ないので、何か言える状況ではないことも想像できますが、今のあまりにも非対称な虐殺を止めることにNoを言えないという多くの欧米の態度は、私たちが憧れ、目標としていた芸術やエンターテイメントの目指す方向ではないと思います。

こんな状況の中、自分が気をつけたいなと思うことは、安易にわかったつもりにならないことです。自分も他者を排斥する側に回るかもしれないし、加害する側になるかもしれない。音楽は社会と繋がります。確実に。下手に音楽の構造がわかってしまったり、バックストーリーを知ったりすると、決めつけたり、わかった気分になったりしそうなので、そういう自分に警戒しないといけないなと、そんな風に考えています。


結局一番聴いていたもの

自分の作品なんですよ。
2月のライブのために自分のライブ音源を聴いて、頭で鳴らしてアレンジしていき、7月のレコーディングのためにまたライブ音源を聴いて、頭で鳴らして準備していく。そしてレコーディングが終わったら、選曲のため、ミックスダウンのためにまた何度も何度も聴く。脳内で鳴らす、実際に聴く、両方を足すと、圧倒的な時間、自分の音源を聴いていました。
ということで、一番回数聴いたのは今年リリースした自分のアルバム、『Dot』の曲たちです。


何度も言ってるし書いていましたが、もう大掛かりな録音を好き勝手やれるのは最後かもしれないと思って(CD市場の変化、物価高騰、その他色々のため)、悔いの残らないように100%自分のために作りました。
ですので、完成した時、「私は好きにした。君らも好きにしろ」というシン・ゴジラのあれが、真っ先に頭に浮かびました。それぐらい、好きにしました。
ありがたいことに、沢山聴いて頂いております。
来年はこの作品の後編もリリースしますので、そちらもぜひ聴いて頂ければ幸いです。

映画は、今年はチョイスできるほど本数を観ていませんので、書かないでおきます。月末にアップする12月のまとめの方に、少し書くかも。



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Hitomi Nishiyama 西山瞳
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