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ピアノを購入しました

5月21日、自宅のグランドピアノを入れ替えました。
この楽器が、おそらく最後のピアノ購入になると思います。
ここに至る道のりを、記録として書いておきます。



検討


2024年1月、自宅のピアノの調律をお願いした時に、調律師さんとお話をしていました。
もう弦が古くなった音をしているのはわかっており、そろそろ弦の交換かなと思いつつ、ハンマーの動きも良くないので、アクション入れ替え+弦張り替えのオーバーホールになるなと。
しかし、弦を張り替えた後のピアノは本当に耳にしんどいんですよ。2年ぐらいはキンキンしちゃいます。
そして、それだけオーバーホールをするのならば作業に一定期間必要で、ピアノを一度工房に出さないといけないし、ピアノがない期間ができてしまうと困るので、代車を入れないといけない。
ということで、オーバーホールよりも購入した方が良いのではないかと、購入の検討を始めました。
購入となると、ヤマハ一択でした。高温多湿になる自宅の環境では、ヨーロッパの楽器を維持するのは不可能です。製品として一番頑丈なのは、圧倒的にヤマハ。散々あちこちの店で、良い環境から劣悪な環境まで様々なピアノを弾いていますから、ヤマハの信頼感は抜群です。

ピアノの価格は、随分上がっています。
つい最近、ヤマハのアップライトピアノが値上げになったので、グランドピアノも時間の問題、おそらく半年以内には上がるのではないか、と踏んだのもあります。

というわけで、1月から暇があればピアノショールームのある楽器店に行き、試弾していました。
C3X espressivoという機種が良いであろうと思って、それを弾きに行っていたのですが、銀座のヤマハに行ったのが決め打ちでした。銀座ヤマハではC3X、C3X espressivo、S3Xがあり、S3Xはモノが違いました。別の楽器店でもS3Xがあり、弾いたのですが、銀座ヤマハのものに比べたら調整が全然できていませんでした。もちろん価格は全然違うのですが、あと30年弾くことを考えたらそんなに高い買い物でもないですし、自分を育ててくれる楽器にしたいと思って、S3Xを購入することに決めました。それが2月頭。


相談

その後、普段録音その他で長年お世話になっており大信頼する技術者さんに、ヤマハのS3Xを買おうと思っていると相談したら、それではこちらでアシストしましょうかとご提案を頂いて、その後が早かったんです。
購入するヤマハの特約店をご紹介下さり、運送屋さんをご紹介下さり、下取りもあちこち打診して一番良いところをご紹介下さり、という感じで、技術者さんのネットワークで最善の手配をして下さいました。

普通は、購入する業者で下取りも運送も一括で手配するものなので、全部別業者に頼むのは全く想像が及ばなかったのですが、これが新しい出会いがありとても楽しかったので、ご紹介頂いて本当に良かったなと思っています。

選定


特約店で担当して下さったベテラン技術者さんは、とても楽しく素晴らしい方で、2月末に購入契約をした後、3月中旬に一緒に掛川工場での選定に付き添って下さいました。

ヤマハ掛川工場横のハーモニープラザにある選定室は5部屋ぐらいあったのですが、私の通された部屋にはS3Xが3台置いてありました。
20分ほど弾いたところで、付き添って下さった技術者さんにどうですかと聞かれた際に、「これからコンサートで使うと考えたら、手前の楽器を選びます。でも、これが何年持つキャラクターなのか、30年使うことを考えたら、どれがいいかわからない」と伝えたところ、「一番可能性があるのは、手前の楽器です」とのことで、最初から意見が一致していました。
結局この個体を迎えることになるのですが、3台の意見交換をして、とても勉強になりました。
勉強といえば、掛川工場の見学が非常に興味深かったです。安定した製品を大量に作る現場、色々考えさせられました。


調整

選定の次は、すぐ自宅に入れるのではなくて、色んな方をご紹介して下さった大元の技術者さんのところに運び、調整して頂きました。これが4月。


搬入

いよいよ5月21日に搬入。
運送屋さんも朗らかでユーモア溢れる方で、この道50年。ピアノが一番売れていた時期は、1日5件も運送していたそうです。
以前のC3を搬入する際、6人乗りエレベーターがあるのでエレベーター作業ができるはずが、クレーンで入れました。どうしてだったか覚えていないので、事前に下見に来て下さいました。鍵盤を下にすればエレベーターに入るのですが、下にするのは技術が要るので、できない業者だったんでしょうとのことでした。
搬入の日は、11:30に作業開始して終了したのが15:30ぐらい。エレベーターで搬入するはずが、新品を傷つけたくないからと、クレーン作業に切り替えて頂きました。
ピアノを搬入してから自宅の現場復帰をするのに2時間はかかって、結構くたくたになりました。


今までのピアノ


2009年に中古で購入して14年、ありがとうございました。

まさか、コロナ禍で自宅から配信するようになって、人に聴かれるピアノになるとは思ってもみませんでした。よく付き合ってくれました。
2024年5月12日、旧ピアノで最後の配信。

前の楽器の音、置いておきます。


ヤマハC3 製造番号 3360383(1981年製造)

ちなみに、大阪で使っていた最初のピアノは、
ディアパソン183 製造番号 81433(1978年製造)
今もどこかで弾かれているでしょうか。
誰かが検索した時に、この記事が引っ掛かったらいいなと思います。




新しい楽器



これからお世話になります。
一緒に成長していくのが楽しみです。



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Hitomi Nishiyama 西山瞳
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