隣の駅は青く見える/Woche 1 Mittwoch 27.02.2019 - Dienstag 05.03.2019
海外の駅ではしばしばその国の土地柄がよく現れている出来事に遭遇するので、旅に出たら駅を観察することにしている。
2018年に行った台湾では、改札を通る方法として日本と同様のICカードが主流だったが、現金で切符を購入する人に与えられるのは紙ではなく、ICチップが埋め込まれたコイン型のプラスチック片だったことが印象に残っている。紙片より失くしづらそうだし、紙のゴミは出ないし、回収して何度でも使えるのは合理的だなと感心させられた。
ところ変わってフランクフルト中央駅では、至るところに飼い犬を連れて歩いている人がいることに真っ先に驚いた。家の周りを散歩するのとなんら変わらぬ姿で、飼い主とリードを付けた犬が歩いている。
その光景はすでに空港から始まっていて(スーツケースを受け取って出口を出ただけの場所でも)、駅の構内でも、電車やバスの中でも必ず見かけたのだが、ペットを飼ったことがない私にとっては慣れない状況で、見かける度にいちいち驚いてしまった。
加えて、どの犬も吠えるということは全くなく、涼しい顔をしてスマートに公共の場へとけ込み、気を張ることなくのびのびと過ごしているように映り、こちらも安心してそばにいられる。混雑している状況だと、犬がそばにいることすら全く気が付かないこともあるほど。
聞くところによると、ドイツにはペットショップがなく、犬を飼うにはブリーダーさんと直接交渉したり、犬を飼うための審査や手続きが厳格なんだそう。EU圏で利用できる犬用のパスポートの発行まであるらしい。
犬と暮らし始めるプロセスが「買いもの」ではなく、社会があたかも犬を市民として認めているかのような扱いが、飼い主と犬とその周りの人の暮らしの在り方に大きな影響を与えていそうだなと感じた。
私の生活圏である東京は、公共交通機関で窮屈な思いをすることが多く、それは人間だけじゃなく、犬や猫といったペットも同じ。狭くて暗いケージの中でじっとしていなければならないのはきっと苦痛だろう。命ある者は等しく尊い。日本がもっとペットにも敬意を払えるような環境になったら、人間も公共交通機関でより過ごしやすくなるんじゃないかな。
※ 後日、高級感のあるデパート内のフロアやレストランでも見かけて、また驚いてしまった。「犬アレルギーの人もいるだろうに、そういう人との共存はどうしているんだろう」とゆうちゃんと話したこともあった。