![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17773571/rectangle_large_type_2_6b58b6822a4d9afa6e60334956fa3dc0.jpeg?width=1200)
ミーシャ・ジー インタビュー(前編)「カズキとは、たくさんの話をしてきました。」
全日本選手権から2週間半、ICE EXPLOSION 2020のためにミーシャ・ジーさんが再来日しています。そこで、色々なお話をうかがってきました。
―スケートに関していろいろなことをしていますが、今は、主にどんなことをしていますか?
コーチ業、振付け、セミナー(主にスケートの普及など目的のもの)の3つがメインです。とはいっても時期によって配分は違っています。ただここ数ヶ月は試合のシーズンなので、コーチとして選手を教える時間が一番多かったかな。練習したり試合に帯同したり。僕の中では、コーチ業と振付師としての仕事への思いが、今、強いです。
―今、直接教えている選手は?
シニアの国際大会に出ている選手だと、カズキ(友野一希選手)と、イム・ウンス(韓国)、ホンイー・チェン(中国)、ハンナ・ハレル(田村花亜/アメリカ)、ペアのアシュリー・ケイン=グリブル&ティモシー・ルデュク(アメリカ)です。
Because these guys i didn’t sleep for the days, because these guys i stayed at the rink from morning till night.
— Misha Ge (@mishageofficial) October 21, 2019
But I like that, and I like them”#Students#Team pic.twitter.com/Gj9hml4AUq
―ほかにもたくさんの選手たちに振付けをしていますね。ミーシャはロサンゼルスに住んでいますが、様々な国の選手たちを、どう指導しているんでしょう。
僕は今挙げた選手たちのセカンドコーチなので、彼らのホームにはメインコーチがいます。たとえばアメリカで試合がある時には、少し早めに来てもらってそこで一緒に練習したり、先月の全日本選手権の時には、僕が早めに来日して、カズキの練習を見たりしました。チームとしてのバランスが大事ですよね。それぞれの選手たちのこともコーチたちのこともリスペクトしているし、折に触れて「今の環境や状況はどう?」とか、いろいろ話をしています。
―スケートにまつわることで、この1年で一番嬉しかったことは?
2つでもいい?
―もちろん。
1つめは、カズキの全日本のフリーです。
―素晴らしかったです!
カズキとは、彼の内面をもっと見せる演技を、と2シーズン頑張ってきましたから。カズキも前から頭では理解はしていた。でも、それを実際の試合で見せられてこなかったんですよね。
でもあの日、彼と練習をしてきたなかで一番、彼の内面の強さを見せてもらいました。コーチとして幸せな瞬間でした。順位や点数や小さなミスとかは関係ない。彼の内側にある炎とパワー、自信が感じられて、それがとっても嬉しかったんだ。
―彼はインタビューのなかで、「2018年世界選手権で5位になってからの2年、とても苦しかった」と話していました。
あの演技の裏には、彼やチームがやってきたいろいろなことがたくさんあるんです。技術について練習するのはもちろんだけど、そのほかに、「僕がどう五輪に向かっていったか」、「どう世界選手権に向かっていったか」、「チャンピオンたちはどんな風だったか」といったことを、氷上でもオフアイスでも、いろいろ伝えてきたんです。
カズキとは、たくさんの話をしてきました。時には、大阪のカフェでね。「今、どんな気持ちでいるの?」とか「最近の練習はどう?」とか。そういう1つ1つのことをすごく細かく深いところまで話をしました。そういうこともあって、心からの演技というものがどういうものか、カズキはわかっていたんです。でもそれを実際に試合で見せるのは、本当に大変。特に今の日本の男子シングルの状況を見ると、若手も活躍していて、肩に重石が乗っているようなものすごいプレッシャーがかかっているから。でも、そうしたものも、1つ1つ話して、改善策を考えてトライしてきたんです、少しずつ少しずつ。
―それが、あの全日本のフリーという場でできたのは、なぜなのでしょうか。
どのジャンプを跳ぶか、といった戦略もあるけど、さまざまなアップダウンに遭うたびに、調整を重ねてきたからですね。
―ミーシャは、コーチ、振付師であり、さらにメンタルトレーナー的な存在でもあるんですね。
そうともいえるかもしれないですね。メンタルトレーナーについても、勉強してもしつくせない。だから今も学んでいるところです。僕にはメンタル面でのメンターが2人いて、1人は、トトミナニーナ&マリニンやプルシェンコたちのメンタルトレーナーの女性です。現役時代、「ミーシャ、君はシーズンを通して安定した演技ができるよね、すごいね」って言われることが多かったんだけど、それには、第一に練習したから、その次に、すごく詳細にわたって考え尽くしてきたから、というちゃんとした根拠があるんです。
―なるほど。
全日本のフリーでのカズキは、そうしたすべてのものがかみ合ったんですね。僕のコーチの1人でもあるラファエル・アルトゥニアンが、コーチと生徒がうまくいくのには、少なくとも1年半くらいの時間はかかる、と言っていました。カズキともだいたいそのくらいの時間が経ったところですよね。
最初の夏にカズキと話したとき、『プログラムを1つ振付けて終わり、ではないよ。長い目でやっていく。そして長くやっていくのなら、僕に頼りきりになるのではなくて、一緒にやっていくよ』って話したんです。その通り、一歩一歩やってきました。
―では、もう1つの、この1年で嬉しかったことは?
ダイスケ(髙橋大輔選手)のショートプログラムの振付けですね。
▶後編へ
▼これまでの、ミーシャ・ジーさんインタビュー
●2019年4月のもの(さいたまの世界選手権にて) / ● / ●2017年5月のもの(ヘルシンキの世界選手権にて&成田空港にて) / ●2017年2月のもの「フィギュア選手の「最後のシーズンかも」との言葉から」 / ●2014年3月のもの「男子フィギュア、ミーシャ・ジー「変化のときが来た」
いいなと思ったら応援しよう!
![長谷川仁美/文筆家、ライター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119770205/profile_b17de948dc3a450398da3fc41d96a763.jpg?width=600&crop=1:1,smart)