モ〜カンゲキ！！ 『くるみ割り人形』感想文大特集（いちご新聞が見たサンリオ映画②）
『いちご新聞』1979年六月号には、同年の三月に公開された人形アニメーション映画『くるみ割り人形』の、読者たちによる感想文が寄せられました。今週はその文章を記載いたします。なお、投稿者の名前は実名で記載されているため、匿名に変更いたしました。
「愛・ほんとうの愛って？」
私は3月27日 「くるみ割り人形」の映画を見ました。この映画は前から見たいなあと思っていたのでとてもうれしかったです。見終わったあと、ほんとうに見てよかったと心から思いました。
私はやさしさと思いやりがあり、他の人のため、ほんとうに愛したもののためなら自分の命までも犠牲にできる勇気を持っているクララに感動しました。私だったら、たくさんのネズミにかこまれたふたつ頭の白ネズミに「なにをグズグズしている。さっさとそのくるみ割りをお渡し」などと大声で言われたら、人形をおいてすたこら逃げてしまうでしょう。意識がなくなるまで、人形を守ったクララに感心しました。また大時計の中の人形の城で、クララそっくりのマリー姫が二つ頭のネズミののろいで、みにくいネズミにされてしまっていることを知ると、なんとかしてのろいを解く方法を考えようとするなんて。私なら、知らない世界へ来てしまった悲しみで、そんなことまで考えてあげなかったでしょう。姫ののろいを解くために、クルミを割ったフランツは、ネズミの最後ののろいで、みにくい〝くるみ割り人形〟にされてしまいました。その時も自分のことのように悲しんだクララ。生きのこったネズミにおそわれ、人形をバラバラにされそうになった時、「お願い！ 許してあげて……その変わり私を、私はこのくるみ割りさんをほんとうに愛しているの！」と身をもってクルミ割り人形をかばいました。クララはなんて美しい心を持っているのでしょう。
クララは、この世の中で一番大事な、人間の心の中で一番大切な〝ほんとうの愛〟…勇気・やさしさを私に教えてくれたような気がします。
東京都港区 K・K
いつかむくわれる日が……
クララは、自分の命にかえたっていいぐらい 〝くるみ割り人形〟を〝フランツ〟を愛していたんです。
王女様のように外見だけでなく、心から愛していたんです。
フランツは、王女様のためにくるみ割り人形になってしまったのに………外見だけで人を好きになったり、きらいになったり、あまりにもむごすぎます。王女様は自分勝手です。クララはやさしい思いやりのある心で、王女様がもとの美しい姿にもどれるように、その方法をさがしてあげました。でも、マリー姫はそのことには知らん顔をして真剣に考えなかった名士たちにだけ楽しんでもらうなんてかわいそうなクララ。でも、この映画は私に「いつもやさしい心と思いやりをもっていれば、いつかむくわれる日がくる」という希望と「ほんとうの愛」を教えてくれた気がします。
埼玉県所沢市 H・M
フランツはぼくの理想
ぼくはあの映画の中で、一番カッコよかったと思ったのは、あのフランツだったと思う。だっていつもりりしかったから。ぼくもあのフランツのようになりたい。
でも、あのマリー王女はとってもすきになれるような子じゃない。王女さまってみんなわがままなのかな？ でも、白雪姫はとってもやさしいのになあ……クララは顔は王女ににているけど、心は正反対だ。ぼくはクララみたいな子が好きだな。でもクララとフランツがむすばれて、とてもうれしかった。話はかわるけど、ぼく実は登場人物の名前を、全然おぼえてなかったんだ。いっしょにみに行ったおねえちゃんとその友だちにおしえてもらったんだ。でも、名前ちがってるかもしれないって。だって、みんなこうふんして、名前なんておぼえられなかったんだ〜ごめんなさい！
東京都江戸川区 H・T
美しくなければいけないところ
クララは、何てやさしく勇気があって、おまけに人をいたわる心の美しい人なのでしょう。でもクララとうりふたつのマリー姫は、人を思いやる心がありません。
「すがたは同じでも心の中はちがうんだなあ」 映画が終わった時そう思いました。
愛………愛って何ですか？ 美しくなければならないのはどこですか？ 私は今、一生けん命考えています。一つはわかりました。それは 「心」 じゃないかと思います。いくら、マリー姫のようにみかけがきれいでも、美しい心がなければ〝本当に人を愛すること〟はできません。私は心の中を、もっと美しくしようと思います。
東京都台東区 H・A
感想文のなかから……
私がもし男の子だったら、マリー姫とはぜったい結婚しません！クララと結婚します。
東京都中野区 S・E
愛について教えてくれたドロッセルマイヤーおじさん、とっても不思議な人です。「♬ギッチョンギー」のメロディは、ファンタジーの歌。私はこの歌を気味悪いとは思いません。
神奈川県横浜市 M・A
くるみ割り人形って、くるみを歯で割ると思っていたらちがっていました。また、ジャンカリンのことをこじきだとおおまちがいしていました。
東京都練馬区 S・T
アメ人形が10人ぐらいでてきて、かわいくおどりだしました。するときゅうに2匹の虫に変身しました。私もアメ人形を4つ持っています。家に帰って1人ずつポーズをつけてみました。とてもかわいいですよ。
福岡県福岡市 T・Y
夢いっぱいのお菓子の国。おいしそうないちごの王様ののっているケーキ、かわいいグラスに入ったお菓子、私もそんな国へ行きたいなー。 でもくいしんぼうの私だから食べちゃうかも！ みなさんは行ってみたいと思いませんか？
東京都江戸川区 H・I
不思議姿さん、森の人形使い、時計商人は、みんなドロッセルマイヤーおじさんがクララのようすを途中で見るために、ばけていたんだと思いました。
神奈川県川崎市 Y・T
それぞれの名士でその声の出演者は、人形に似ているなあと思った。
東京都練馬区 U・H
映画の最後でフリッツが言ったことば「クララ、みちがえるくらいきれいになったね。マルチパン城の王女さまにピッタリだよ。」すごく感激しました。
K・K
1日に3秒くらいしか製作できなかったなんて、2400日ぐらいかかったのでしょう。それも、製作してくださった大ぜいの人々の愛のあふれた2400日ですね。
投稿者名不詳
ふたつ頭の白ネズミは気持ち悪いなあと思いました。だって1つの口で食べ物を食べてもう1つの口でワインを飲んでいるのですもの。
Y・Y
クララがあのみにくいくるみ割り人形を、どうして命をかけて愛したかわかりません。私はいつも、美しい人形でも命をかけて好きにはなれません。だけどいつかは、あの心のやさしいクララのようになってみたいと思います。
投稿者名不詳
「自分はどうなってもいい。相手の人が自分より幸せになってくれれば。ほんとうにその人のことを好いているから自分は犠牲になってもいい。」私の感じとった愛はこんな感じです。私は〝愛〟と〝夢〟という言葉がいちばん好きだし、大切なものだと思っています。私も心から愛せる人と私も心から愛せる人とめぐり会いたいと思っています。
東京都東村山市 H・A
お菓子の国や人形の城やクララの家もそうだけど、ほんとうの家のようなさっかくさえおこるくらい！ 小道具も手がこんでいてまるで本物そっくり。シャンデリアや食器などこまかい物まであって、とても大変だったろうなと思いました。
東京都中央区 H・T
マリー姫は現代人の心、クララは忘れかけていた心。映画ではその忘れかけていた心が勝ったのです。夢をかなえたいと思っている人は、今いる所から一歩一歩前進するのです。どのような結果になろうとも。映画からは、〝人は常に 夢と愛とを持って生きていく〟ということを、あらためて感じさせられました。
大阪府大阪市 F・K