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ブロッコリー農園から学んだホワイト企業とブラック企業サイクル

服作り傍ら、この夏は農家さんにアルバイトに行っていた。
今流行のデイワークというやつだ。
個展や催事で長く会場に立ったり、自分の製作時間の確保を考えるとデイワークは好条件な働き方だった。


とはいえ15年ぶりに誰かの元で働く私。大丈夫なんだろうか。
緊張しながら迎えた初日。まだ暗い中支度をし、車で農園まで。
農家さんに挨拶をし早速畑へGo。
ブロッコリーの収穫は一つ一つ人の手で行われる。というか殆どの農作物はそうであろう。それを一言で言うと、果てしない。
果てしない上に、収穫時か見分けるポイント、大きさ、切り方、最適な茎の長さ、箱に入れたときに他のブロッコリーを傷つけないようにする切り口などなど、単純作業とはいえかなり繊細で奥深い。そして教えてくれたパートさんはものすごい速さと正確さでブロッコリーを収穫していく。もはや職人技である。
その日は覚えるのに精一杯であっという間に時間が過ぎていった。
朝ごはん休憩のときに、午後も仕事がある人はお弁当を注文する。
お弁当が出るのか!とちょっとびっくり。しかも美味しい。
おまけに休憩室は快適で、お茶やおやつ(ラインナップ豊か)、コーヒー等を自由にいただける。
そして時給は良い。仕事は確かにハードではあるが、しっかり2時間毎に休憩を入れてくれるし、暑い日はトラックでお茶〜〜〜!!とお母さんが給水に来てくれる。
これはこれは、働きやすい。

こうしてお天道様の下、週に数日働き続けたが、鳥頭なのか休日を挟むとブロッコリーの大きさがわからなくなってしまったり茎が短すぎたり列を間違えたりと、ちょくちょく何かしらミスをする私。
それに対しても農園の方は怒ったりせず丁寧に収穫していい規格最小のブロコッリーを私に持たせてくれたり、茎の長さのポイントを何度も教えてくれたり、迷ったときに確認を求めても嫌な顔ひとつせず対応。
論理的に冷静に根気よく仕事を教えてくれた。

こうして一ヶ月ほど働いて思ったこと。
どういった仕事であれ、人を大切にし育てようとする仕事場は、そこで働き続けたいと思えるようなることで人材が育ち仕事がしやすくなり、その結果生み出される利益も上がり、更に賃金は上がってと環境がどんどん良くなっていく。それはたとえ派遣やデイワーカーでも毎回同じ人が来れば仕事場にとっても最初から教えることが少なくなり効率も上がると思うし、丁寧で正確な仕事は損失も少なくなる。(ここでは正確なブロッコリーの収穫)
反対に、嫌な事が多く雑な仕事場だと、自分がされた嫌なことや劣悪環境が当たり前になり、それを他の人にもしてしまう負の連鎖によって離れていく人が増え、人が育たないと仕事の量も質も上がることはなく賃金も上がらないのでますます人がつかない。

自分は大切にされている、大切に扱われていると感じながら仕事ができた方が会社にとっても個人にとってももたらされる利益はとても大きい。
農園という小さくてシンプルな組織だからこそわかりやすく見せてくれたように思う。

15年ぶりに外に働きに出たら、大変わかりやすいホワイト企業サイクルのモデルケースに触れられるいい機会となった。

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