妊婦最終日のはなし
我が子の出産時の備忘録として、書き残しておこうと思う。
ずっと下書きにいれていたが、なんだか公開できなかった。
丁度、親友が同じ帝王切開で出産した今日、わたしも忘れないようにと、公開する。
.......
2020.11.30の月曜日15:00過ぎ
わたしは産院のベットの上で自分の腕に付けられた患者IDリストバンドを眺めていた。バンドにはもう1本バンドが巻かれている。これは我が子が生まれた瞬間に細い足首に巻かれるものだと助産師さんが教えてくれた。
なるほどね、取り違い防止か、と合点したのを覚えてる。
さあ、遡ること、2020.4.19のお昼頃、なんだか最近異常に眠い、眠すぎる、という身体の異変から妊娠を軽く疑い始めた。
その月は生理が来てたと記憶していたから、まさかね〜という感覚で、人生で初めて、妊娠検査薬を使った。
勘というのは怖いもので、お腹に命が宿っていた。トイレで夫の名前を叫んで、泣いた。
嬉しくて泣いたのではない、驚きで泣いた。怖くて泣いた。
コロナ禍、仕事etc...
どうしよう、、という気持ちがあっという間に脳内を埋め尽くした。
そんな私を見て、夫は幸せなことだよと抱きしめてくれ、彼のはじめての涙を見た。その瞬間に私も幸せなことだと自覚できたのもはっきり覚えてる。
そして、母性本能というのは凄いもので、日に日にお腹が愛おしくて、同じくらい心配で、とにかく元気で産まれてきて欲しいと思う毎日だった。
24週頃、女の子だと判明した時、診察室で、まじでー!!!やったー!!と叫んでしまって、笑われたのも覚えてる。もちろんどっちでも良かったが、夫婦共に女の子がいいねと話していたから。
トイレで叫んで泣いたあの日から約10ヶ月。あれよあれよとお腹が大きくなり、ついに2020.12.01に予定帝王切開で逆子の我が子と初対面することになっていた。
ちなみに、コロナ禍ということもあり、妊婦検診の時から産院には常に一人で通い、普通分娩は立ち合いはNG、面会もNG。しかし、帝王切開は手術なのである。異常分娩の部類。万が一輸血の必要があったときの為に出産日当日だけは、手術の1時間ほど前から夫も入室許可が下りていた。
私も帝王切開で産まれていたし、何なら予定が立てられるから帝王切開であることをデメリットに感じてはいなかった。最後の数ヶ月は逆子直らないでいいよ〜とエコーの度に思ってた気がする。
とにかく、当たり前に私もこの日はソワソワしていたし、この大きなお腹が明日には無くなっていると思うと不思議な気持ちだったのを覚えている。
大きなお腹ではない自分がもはや想像できなくて、慣れって怖いな、と思った。
11:00頃、夫が産院に来た。コロナ禍のリモートワークで毎日一緒にいたし、昨日だって入院前までずっと一緒にいたのに、嬉しくて嬉しくて泣いた。これでもう2人だけの生活が終わるんだなと感じた。
12:00頃、名前が呼ばれた。
握っていた手を離して、夫がいってらっしゃい、待ってるからね。と、覚悟を決めた。
手術室に入ると、先生と助産師さんが5.6人もいて、こんなに!?と驚いたのも覚えている。台に上がり、私が最も恐怖だった、脊椎麻酔をする。痛いいいいい、と言ってしまった気がするけど、一瞬で終わって、あれま、もう下半身の感覚皆無。ただ、触られたり押されてる感覚は残ってる。けど、痛くない。麻酔ってすごい。
そこからは、助産師さんがずっと手を握ってくれて、お話をしてくれた。今、我が子がどんな状態なのか。あとどのくらいで産まれそうなのか、とかとか。とにかく心強かった。助産師さんってすごい。
そんなこんなで10分くらい?経ったとき、お腹をグッと押された。その瞬間、我が子が出た感覚がはっきり分かった。
そして、声が聞こえた。その瞬間、涙がでた。産まれたんだ、私の子どもが産まれた。
我が子の顔を見た瞬間、かわいいかわいい、かわいいって言いながら号泣してたのを覚えてる。私のほっぺにくっついた我が子は温かくて心がいっぱいになった。
お腹にいた我が子の産声、こうやって記録を書いている今も思い出せる。
そのあとは切腹したお腹を閉じてもらいリカバリー室に運ばれた。その間に我が子は夫と初対面していた。のちに動画を見せてもらったけど、夫のこんな優しい声を初めて聞いた。わたしにもそんな声出さないじゃないの。笑
そして、リカバリー室に夫と我が子も集合。新しい家族だけの時間。
嬉しくて幸せで、夫と何度も「こんにちは、よくきたね」って、かわいいねって。
今でもその時の動画を夫と夜ご飯を食べながら見てジーンとしている。あの時の我が子にまた会いたい。でも、動画が残せる時代で良かった、いつでも会えるし、思い出せる。
そんなこんなで、30分ほど経って、我が子は新生児室へ。夫もそのまま役所へ行って出生届を提出してきてくれた。
わたしはまずは体力回復が第一なので、一晩リカバリー室でとにかく寝て起きての繰り返し。
そして、後陣痛との戦い。泣くほどの痛みではないが、かなり痛い、痛み止めが恋しい。
そんなこんなで私の妊婦最終日はおわった。