#3 きっと忘れないだろうこと


" 残る体温に安心していたんだ "



経験する別れにはいろいろある


今まで私が経験したものとしては

死別、卒業、引退、脱退、恋人との別れ、

その他 言葉にしづらいものもあるかもしれない


悲しさに尺度を設けるのはあれかもだけど飼ってた犬が死んでしまった時は今思い出しても泣いてしまうくらい苦しかった


バイト先に兄から電話がかかってきた

「さっき、死んだよ」って

癌だったのでもうすぐってわかってたけどまさか今日だとは思わないからそれを聞いた瞬間、号泣した

店長がびっくりしてたけど(そりゃそう)事情話したら落ち着くまで部屋で休ませてくれた

それからすぐ帰らせてもらって家の中は今までにないくらい静まり返っていて

まだほんのりあたたかい身体が横たわっていて

冷たく、硬くなるまでずっと触ってた


物心ついてから近しいもの何かがこの世から消えるという経験をもったことがなかったこともあって状況が信じられなかった


何より動物霊園で焼いてもらう、そのさよならのときがどうしても苦しかった


この世界から、昨日まで生きてたこの子の肉体そのものがなくなってしまう


「火葬」という方法に対して疑問をもってしまうほどだった

いや、疑問といえるものではない

焼かなければ無くならないんじゃないの?とかどうにもならないことを思った


こんなに悲しいことがあっていいのかと思った



小児喘息だった私がどうしてもほしいといって絶対一緒に寝ないことを約束に飼い始めた子

約束が守れなくて一緒にうたた寝しちゃって何度か発作を起こしたことがある

病気ってどうにもならないんだなと学んだりした


また一緒に大和川を散歩してふたりで座ってゆっくり考え事したいなあとか

今でも思う

思ってもどうしようもない



ずっとお骨をカプセルに入れて持ち歩いている



神社で買うどんなお守りよりも私を守ってくれている気がする




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瞳
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