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ピンクの世界が魅せるものへの考察、アートが現実に繋げるもの
多分8年くらい前、わたしの住む街にあるフォトミュージアムで衝撃的な写真と出会った。
アイルランド出身のドキュメンタリーフォトグラファー Richard Mosse (リチャード モス) によってキャプチャーされた眩しいくらいのピンクの世界。楽園にも見えるし、なにか隠された秘密がある様にも見える。いったいここはどこなんだろう、実在するなら行ってみたい。。。
エキシビションを見て進むうちに更なる衝撃が。実はここは紛争が絶えないアフリカ大陸中央に位置するコンゴで、(コンゴはかつてベルギーの植民地であったという事実もある) 一面に広がるピンクは、もともと軍事監視用に開発された航空写真用赤外線フィルム‘Kodak Aerochrome’ (コダックエアロクローム) による技術だそう。
植物に含まれるクロロフィル(葉緑素)が細かい光の粒子に反射する事によってピンクやマゼンタとして浮かび上がる仕組みで、軍服や枯れた草木はそのままの色として残り、カモフラージュした敵を可視化、識別するために開発されたそうだ。
モス本人のインタビュー
https://vimeo.com/67115692
このなんとも皮肉な技術を使い、リチャードモスは全く逆の視点から、紛争写真のありかたを私たちに訴えかけた。目を背けたくなるような惨状は、本当に目を背けられたら誰の目にも留まらない。
アート=必ずしも美しいもの、である必要はない。でも、このいたいたしい現状を大勢に伝えるためには、人々のこころにきざむ為には、それは美しくなくてはならなかった。
一生忘れられないくらい印象的なかたちで。