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エディスリマンの後継者への考察、空気読むベルギー人デザイナーたち
ディオールオムとサンローラン、この2ブランドを支えたのはエディスリマン。
個人的にエディスリマンのビッグファンではないのだけれど、すのれぱ通信さんが非常に興味深い記事を投稿されていたので、追記の考察をしようと思った。
むしろエディではなく、彼が上記2大ブランドを去った後のそれぞれの後継者について。
エディがディオールオムを2007年に去り、翌年にアーティスティックダイレクターに就任したのはクリスヴァンアッシュ。
すのれぱ通信さんの投稿より、クリスヴァンアッシュは在籍中の11年間で、売上高は1億ユーロから3億5000万ユーロへと成長させたとある。
2016年にエディがサンローランを去り、後を継いだのがアンソニーヴァカレッロ。彼もエディ退任時のメゾン全体の売り上げ約1.2億ユーロから約3年で2億ユーロの大台にのせた、という。
この2人の共通点は、ベルギー人デザイナーだという事。
(正確には、ヴァカレッロはイタリア人の両親のもとベルギーで育った)
ベルギーは九州ほどの面積(日本の約1/12)で、
人口は1150万人ほど(日本の約1/10、ちなみに東京の人口は約1396万人)。
公用語は3つあってフランス語、オランダ語、ドイツ語。英語は大きな街ではほぼ通じる。
EUの本部がブリュッセルにあるのは、フランスやドイツなど各国間に起こった大戦の歴史から、もっとも中立的な立地と言語を話す場所におく事によって、加盟国の均一を保つという意味がある。
でも実は国内の政治はかなり複雑に絡み合っていて、2018年12月以来、1年9ヶ月という長い間、政府不在の状況が続いた。
2020年10月1日にようやく社会党、リベラル系中心の七党連立政権が発足した。コロナ禍の第一波の時は、代理首相と大臣たちで乗り切った。
これは今に始まったことではなくて、言語による地域対立は大きく、2010年から2011年にも、正式な政権が541日間不在だったことがある。
要するに、こんな環境で育ったベルギー人は、ある意味、とてつもなく空気を読む力が優れている場合がある。
自分の意見を無理矢理推し通すんじゃなくて、何が求められているのかを察する能力を、お国柄から学んできた、みたいな。
だから彼らは“スーパー雇われデザイナー”(褒め言葉)としてやっていけるのだと思う。
会社が何を求めているのかと、自分のアイデンティティの擦り合わせがうまいのだ。
というベルギー人デザイナー空気読む説を、
現場のベルギーよりお届け。