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愛と哀しみのボレロへの考察、2時間45分の前振り後の圧巻のダンス

ずっと見たかった約三時間の超大作映画、
『愛と哀しみのボレロ』
1981年公開、クロードルルーシュ監督によるフランス映画。
1930年代から1980年代まで、パリ、ベルリン、モスクワ、ニューヨークの4都市間で、4家族の2世代に渡る物語。
これだけでなんかもうお腹いっぱいな情報量。
注意書きとして最初にいうと、これは映画の感想ではなく、ボレロ好きのわたしにとっては、ただひたすらに、最後のボレロを踊るアルゼンチンバレエダンサーのジョルジュドンのシーンを理解するために、映画のストーリーを理解したという、2時間45分の超前振りの長いバレエ作品ということ。あくまでも、わたしにとって。

そして、この超絶長い前振りは、やっぱり最後の15分のボレロを理解するのに必要だった。

パリのエッフェル塔を背景に圧巻のパフォーマンス

ジョルジュドンは、二役で、劇中前半はモスクワのボリショイ劇場の関係者、後に第二次世界大戦で戦死するボリスという役柄。劇中後半は、ボリスの息子でソ連からフランスに亡命したモスクワ人ダンサー、セルゲイ イトヴィッチを演じている。

ボレロはいつみてもそうなんだけれど、というのも、フランス人振り付け家のモーリスベジャールのボレロは、踊って良いダンサーが限られているというのもあって、どのボレロも強烈に迫力があって、クオリティが高くて、美しい。

映画を通して、自分が戦争というものを知らない世代に生まれ、これまで時代を築き上げてきた人たちや、バレエ、オーケストラ等の芸術家たちが、自由な表現を求めて亡命したりして生まれてきた作品の数々には、相当な重みがある、と実感した。それこそが、表現者としての使命なんだろう。

ちなみに、セルゲイのモデルになった人物とされているのが、ルドルフ ヌレエフ。
ソ連生まれのダンサーで1961年の海外公演中に亡命。80年代にパリオペラ座バレエの芸術監督に就任し、のちに彼は、わたしの永遠のミューズであるバレエダンサーのシルヴィギエムを見いだす。

あ、なんか、追いかけていたものが繋がった。

ここでわたしの点と点が短い線につながった様に、これから先、たくさんの点がつながったとき、その図形は人それぞれ、個人を表すとっても面白いシェイプになっているんだろう。
みんな誰もが表現者。
ユニークなシェイプがたくさん集まる世界はきっととても美しい。


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