前向かなきゃ、だめ?
はじめに
「病院の壁に写真と言葉をかざります。」と聞いたとき、応援の言葉を、書こうと思ったんだ。
今ここへ、このnoteへふらっと立ち止まってくれたあなたが、読み終えた時にまた一歩を踏み出せるような。
でもね、わたしは、このnoteに出会ってくれた「あなた」のこと、何も知らない。
今、あなたはどんな場所にいて、
時計は何時くらいを指していて、
どんなテンションでこの文章を読んでくれているの?
もっといえば。
最近おいしかった食べものはなに?
だれと過ごしている時が楽しい?
夜はちゃんと眠れてる?
今年に入っていちばん笑ったことはなに?
うんうん。
そっかぁ。
それはよかったね、とか。
あぁ、それは、かなしいね、とか、言いたい。
わたしの周りのあなたでも、はじめましてのあなたでも、それは変わらない。知りたい。
1つ1つのあなたの声を、小さくても大きくても発されるその声を、聴きたいんだけど。知ってから、目を合わせて、あなただけに向けての応援をしたいんだけど。
今はそれができないから、ここに立ち止まってくれたあなたを想って、わたしたちなりの応援を、一歩の後押しを、させてください。
これは、わたしともりはるちゃん(写真に写っている、素敵な女の子)がふたりで不器用なりに考えた、あなたに伝えたいメッセージです。わかりにくいかもしれないけど、応援の言葉だから。そっと受け取ってくれたら嬉しいです。
前、向かなきゃだめ?
いまは、前を向くためのメッセージがこれでもかと溢れる時代だ。
そんな時代に生きているわたしたちは、結構な頻度で、夢を語らされたり、希望を求められたりする。
「あなたのやりたいことはなんですか?」という言葉に頭を抱えることは少なくない。
将来の夢があることが正義で、それはわかりやすければわかりやすいほど「善いこと」だと評価される。ときには評価してしまう。
「こうあるべき」正しさとか、前を向かせようとする言葉とか、そういうものを、わたしたちは持ちすぎている。
そしてなにより、そういう世の中にはびこる正しさや価値観は、簡単には揺るがない。
でもね、思うんだ。
夢や希望は、そんなに持たなきゃいけないもの?
前って向かなきゃだめなの?
だって、ちょっと立ち止まって、考えてみてよ。
後ろ歩きでも、横道それても、休憩してても、必死に生きてるじゃん、わたしたち。
毎日がんばって、必死に前向こうとしてるじゃん。
明けない夜はない、とか言われるけれど、希望がないまま夜が明けても、大丈夫だと思うんだよ。
無理に明るくしなくていいし、笑わなくてもいい。
ただ、そこにあなたがいるだけで、今これを読みながら生きてるだけで、それだけで、充分すぎると思うんだよ。
病院もそう。
治して明るくいなきゃいけないとか、お見舞いは泣いちゃだめとか、あげたらきっとキリがない「こうあるべき」たちを、誰に言われた訳でもないのに信じて、縛られて。
わたしはね、病院って、治すだけの場所じゃなくて、ちょっと立ち止まる場所だと思うんだ。
焦って前向くための場所じゃなくて、今は止まってもいいよ、ゆっくりほぐしていこうよ、って言ってもらう場所でもあると思うんだ。
ひとりひとりにちゃんと向き合ってくれる場所だから。そこには、みんな、も、普通、もない。
それぞれの抱えていることを、それぞれに見てくれる場所。みんなちがう、からこそ、個の存在を感じられる場所。
だからね、
どんなあなたも、認めてあげてほしいなって、心から思う。
苦しくても、つかれても、他人には見せられないような感情も、全部、あっていいものだから。
誰よりも、あなたが、あなたに優しくしてほしんだ。
その肯定だけで立ち直れるあなたがいるから。
生きることはきっと、前だけじゃないよ。
横にも後ろにもななめにも、道はある。そして、続いてくから。
ほら、もう一度言わせて?
「前向かなきゃ、だめ?」
答えはきっと、あなたの中にあるから。
むずひにかえて
どれだけ時代が進化しても、文章は薬にはならないから。読んでくれたあなたが、どんな気持ちになってくれたのかはわからないけど。
最後まで読んでくれて、ありがとう。
あなたの1日が、いつもよりちょっとだけ輝きますようにと、願って。
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ひとみ&もりはるペアより