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深谷正子ダンス公演 鑑賞
江古田には何度も訪れているのに、廃墟スタジオというところがあるのを知らなかった。
駅前のファッションパークべべの上だった。
そこで、深谷正子さんのソロダンス公演があるというので観に行った。
70代で新型コロナに感染し、肺が真っ白になり、年始2ヶ月寝込んでいたそうだ。医者に診てもらったとき、「生きてかえってくださいね」と言われ家に帰されたそうだ。
ようやく身体が回復し、このまま生きていてもつまらないから、やっぱり踊ることにしたそうだ。
仄かな照明が首筋を照らす。どんなことがあっても森にじっと佇んでいる大木のようにも思えた。目に見えないものが身の周りに近づき、疎ましく、束縛が続いているようにも思える。次第に束縛から抜け出し、生きる瑞々しさを求める。瑞々しさを求め取り込むことは生々しい。生きることは生々しく、様々なものを排出し、取りこぼし、また求めて生きていく。生きることへの逞しさの中に希望を見出す。天地がひっくりかえるような出来事があっても、暗闇を足で探り、背筋を伸ばして、立つということ。
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