残るもの消えるもの
数年前たまたま知り合った美術家の石田百合さんの個展、六本木ストライプハウスギャラリーに行ってきた。
人形や版画や楽器を海に見立てた作品などがあった。
人形は、雲や月をモチーフにしたもの。
版画は植物やレースや音をモチーフにしたものがあった。
サントゥールみたいな弦楽器を海に見立てたものがあり、弦が波のように見えて、海の上に天使のようなものがいて、その上にキラキラしたピアスのようなものが吊るしてあり、音を奏でると、上に吊るしてあるキラキラをひとつ、海の近くに下ろしてくるそうだ。
人形だと形に残ってしまうので、どこか空洞を作ったり、取り止めのない形のものを作り、ずっと同じ形ではないからという理由で、最近は版画作品を作ることが多いそうだ。
入口に4枚の版画があり、銅版を四つ使っていて、一つを版画したものから四つ重ねたものが並べられていて、その4枚が時間の流れを表しているようだった。
その瞬間で消えるものは、消えてしまうからこその尊さがある。
あとになっても残るものがいいのか、消えてしまうものがいいのか、どちらのほうがいいとも言えない。
子供の頃から、六本木にあるお寺に墓参りに定期的に行っていた。子供の頃からあった古い建物が軒並み空っぽになっていた。再開発されるようだ。消えてゆくものたち。
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