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化学の授業をはじめます
作:ボニー・ガルマスさん
訳:鈴木 美朋さん
読書家の友人の勧めで
1年前から図書館予約していた本。
やっと手にすることが出来た。
なんの予備知識もなく読み始め、
数ページで圧倒された。
主人公はエリザベス・ゾット。
1960年代のアメリカ。
「女性」だからという理由で
化学者と認めてもらえない。
セクハラ、レイプ、論文を盗まれ、
訴えても、相手にもしてもらえない。
唯一彼女の才能を認め、恋人となった
天才化学者キャルヴィン・エヴァンスは
不幸な事故でこの世を去ってしまう。
キャルヴィン亡き後、発覚した妊娠。
シングルマザーでの出産、
研究所からはクビになり
悪戦苦闘の育児をしながら
ひょんなことから
新しい仕事につくことになる。
テレビの料理番組
「午後六時に夕食を」で
料理を作ること。
「セクシーで、男性の気を引く料理を」
圧力をかけてくるテレビ局を無視して
化学的に料理を作るエリザベスの番組は
たくさんの視聴者に支持され、
ムーブメントを起こしていく。
こんなに勇気づけられる物語が
あるだろうか。
そして「女性」だから、という
「女性」の部分を他のものに入れ替えて
考えることもできる。
世の中は不公平だ。
1960年代ほどではないけれど、今も似たような話でニュースが騒いでいる。
それでも、少しずつ変化はしている。
女性から離婚を切り出せなかった時代に比べれば今はかなり守られている。
私自身、寡婦となり、娘と母を養っていること、生活は大変でも、やはり後悔はしていない。
「1日のうち、ひと息つく時間を持ち、
その時間に自分に必要なこと、
ほんとうに進むべき道を見極め、
またそれをはじめなさい」
アメリカ的ハッピーエンドだな
自己肯定感はんぱないな
そう思いつつ、
とても気持ちのよい読後。
まだ2月だけれど、控えめに言って、
私の今年の読書ベスト5に入りそう。
すすめてくれた友人に感謝した。
「化学入門の講義を終わります。解散」
といったエリザベスのかっこよさ。
犬のシックス=サーティ
聡明な娘マデリン
向かいの主婦ハリエット
周りも素晴らしいキャラクターだった。
女性に、ぜひおすすめしたい1冊。
そして男性の意見はどうなんだろう、
教えてほしいと思う1冊だった。