感染症対策マニアが、新型コロナについて雑に語る⑤ 「武漢での初動①」

中国は、武漢で新型コロナウイルスが発生した初動の段階で、どう対処するべきだったのか①


さて、今回からいよいよ本題です。


前回までは、寄り道です。


初回でも少し述べましたが、この連載コラムは、新型コロナウイルス発生から現在まで、各国政府が様々な対応策を講じてきましたが、それが果たして良かったのか悪かったのかということを、公衆衛生学的観点から、政治的観点から、経済学的観点から、総合的に考察して、専門家でも無いただの一マニアが雑に語りたいだけのコラムなのです!


お酒の場でうっとおしく思われながらもどうにか聞いてもらえるだけのような戯言を、今はお酒も場も無くなってしまったので、こんなところで吐き出しているだけの自己満足全開のコラムなのです。


しかし、それだけではあまりにも読んでくださる方を置き去りにしてしまいますので、まずは「そもそもウイルスって何?」といった基礎知識や「手洗いはどのくらいすれば良いの?」といった実用的な話から始めてきたわけです。


そして、今日からようやく本番です。


ここからは時系列順に話を進めていきたいと思います。


なのでまず最初は、中国の武漢市において、新型コロナウイルスが発生し、感染拡大が始まった時、この初動に焦点を当てて、お話していきたいと思います。


発生初期における、中国政府の対応が、良かったのか悪かったのか、という結論からまず述べるなら、前半は最悪、後半は最善、と言えると思います。


今回はその前半部分について述べ、次回、後半の話をします。


なぜ、中国政府の前半の対応が最悪だったと言えるのかと言うと、感染症対策をする上で、最もしてはならない、最悪なことをしてしまったからです。


それは、隠蔽です。


今回の新型コロナウイルスが原因と考えられる症状(COVID‐19)の、最初の症例は、2019年11月17日のものであったと、現在は考えられています。


しかし、この時点ではこれが新種のウイルスによるものだとは分かりませんし、その判断をする為には、時間がかかってしまうのは致し方ないことなのです。


12月8日、初めて、武漢市の保健機関によって、原因不明の肺炎の患者が居る、ということが報告されます。


しかし、この報告が公に発表されることはありませんでした。


本来ならばこのタイミングから、感染症対策に向かっていくべきだったのです。


そして12月30日、ニュースなどで話題となっているので知っている方も多いかと思いますが、李文亮という33才の若い医師が、隠蔽されていた原因不明の肺炎について書かれた文書を、同級生のチャットグループに公開しました。


これにより、原因不明の肺炎は初めて日の目を見ることになります。


翌日の12月31日、中国はようやく、原因不明の肺炎患者が27人いる、と、WHOに報告します(しかしこの時には既に100人を優に超えており、またそのことを当局も把握していたようです)。


しかし、この公開を行った李医師は、「デマを流した」として当局に呼び出され、訓戒処分が下され、情報の一切を外に漏らすことを禁じられてしまいます。


その後も治療を続けた李医師は、新型肺炎に感染、2月7日、亡くなられてしまいます。


感染拡大が公になった今では、英雄として語られていますね。


しかし李医師の思いも空しく、中国は依然として隠ぺいを続けます。


1月5日、中国政府は公表の感染者数を59人に増やします。


が、翌6日から10日まで、武漢では「人民代表大会」などのとても重要な政治行事がありました。


それを成功させたイメージを持たせるために、この期間中、新型肺炎のことを武漢市は徹底して隠蔽します。


終わって1月11日、1名の死亡者が出たことのみを公表します。


しかし次は武漢市が所属する湖北省の「人民代表大会」などの諸行事が、11日から17日まで続きます。


この間も、やはり新型肺炎のことは徹底して隠蔽されました。


終わって1月18日、武漢市では4万世帯以上が料理を持ち寄って行う「万家宴」という行事を行う日でしたが、新型肺炎のことなど知らされてもいない武漢市の人々は、予定通りに何の心配もしないまま、この万家宴を開催しました。


しかしある論文によると、この時には既に武漢市での感染者数は、5000人を超えていたのです。


この間、1月13日にはタイで、16日には日本、19日には韓国でも感染者が見つかります。


海を越えて感染が拡大しているわけですから、発生源である中国では、もうとっくに感染拡大が起こっていることは間違いありません。


しかし、当の中国では、この時点に至ってさえ、一般の人にはこの新型肺炎のことは知らされていませんでした。


初めて中国の国営放送が新型肺炎の存在を公表したのは1月20日、あまりにも遅い公表でした。


覚えておられるか分かりませんが、この時点では既に日本のニュース番組では頻繁にこの新型肺炎のことを報道していました。


日本でも報道していることが、どうして当の中国で報道されていないのか、そして、どうして中国の人々はそのことに疑問を発しないのか、その理由は、中国の政治体制と、大きく関係しています。


中華人民共和国は、共産主義国家です。


共産主義とは何か、みたいな話は、話し始めるととても長くなりますし、以前、選挙を分かりやすく解説した「選挙の話~右と左で考える~」で扱いましたので、今回は省きたいと思います。


共産主義国家では、基本的に政府の持つ権限がとても大きく、管理国家になりがちです。


中国もまさにそうで、ここ数年では最新技術を駆使した、徹底した情報統制が敷かれていました。


中国では、SNSなどでの自由な発言は認められていません


全て、政府が監視をしています。


そして、今の私のように、少しでも中国政府を批判するようなことをネット上に書き込むと、すぐに本人が割り出され、その本人はすぐに要注意人物としてマークされ、そして、減点されます。


そう、中国では今、全国民が点数化されています。


そして一定以上の減点を超えると、銀行からの融資が受けにくくなるなど、様々な公的サービスが受け難くなります。


ですから、国民は、本当は政府に不満を持っていたとしても、それを表明することは、したくてもできないのです。


また、中国では、他国の情報を独自に手に入れることも禁止されていますから、いくら日本で新型肺炎のことを報道していたとしても、中国人が、そのことを知ることは難しいのです。


いえ、本当は、ネットには抜け穴など無数にありますし、それこそ日本にいる中国人から教えてもらうこともできるわけですから、1月20日以前でも、多くの中国人は、新型肺炎のことを知っていました。


しかし、知らないふりをしていなければならなかったのです。


印象的なニュースがありました。


おそらくこの1月20日前後の放送だったと思います。


日本のテレビ局が、日本に観光に来ていた中国人の親子連れにこう質問しました。


「武漢で起こっている肺炎について、何か知っていますか?」と。


父親は答えます。


「いや、何も知りません」と。


しかし、その直後、まだ幼稚園児くらいの無邪気な子供が言いました。


「ぼく知ってるよ!肺炎で人が死んだんだって!」と。


父親は慌てて、「お前何を言っているんだ!」と、息子の口を塞ぎます。


なかなかに衝撃的な映像でした。


しかし、これが今の中国なのです。


今回の新型コロナウイルスの感染拡大では、この中国共産党の、情報統制体質が、完全に裏目に出ました。


発生した場所が中国で無ければ、これほど初動が遅れることは無かったでしょう。


感染症対策は、何と言っても最初期の初動が何よりも大切なのです。


今、世界各国(特に欧米諸国)が、この新型コロナウイルスの感染拡大について、中国に責任があるとして、糾弾しています。


私自身も、この中国の責任は重いと感じています。


また、宗教家という立場から申せば、今回の新型コロナウイルスによって、神様が中国にブレーキをかけたんだな、とも感じました。


このことが起こる以前の中国は、あきらかにやりすぎていました。


アメリカと貿易戦争を起こし、発展途上のアジア・アフリカ諸国を金で物を言わせて傘下に引き入れ、またAI開発を進めてそれを兵器に技術転用しようとするなど、このまま行けば、確実に世界戦争の火種となるようなことばかりしていました。


これではいけない、何とかして中国を止めなければ、ということを、私も宗教家として常日頃から憂慮していました。


そこに起こってきたのが、この新型コロナウイルスです。


中国の横暴を可能にしていたのは、共産主義国家であることによる、人民や企業の徹底的な統制です。


それによって有無を言わせず、約14憶人の人民とその金を、一つの目標に向かって自由に政府が使うことができていたのです。


そしてそのことに対して誰も文句が言えなかった。


しかし、今回の新型コロナウイルスによって、絶対的だと思われていたこの支配体制にヒビが入りました。


今まで文句を言えなかった人民も、諸外国も、今一斉に中国に怒りの矛先を向けています。


これによって、中国がブレーキをかけて留まってくれることを、切に願います。


しかし、当の中国は、「新型コロナウイルスについて、世界は中国に感謝しなければいけない」などということを、平気で言っています。


そして、国際機関であるWHO(世界保健機構)も、中国のこの姿勢を支持していることは、ニュースなどでもよく取り上げられていますよね。


でも、「これってWHOの局長の国が中国からお金いっぱいもらってるから、忖度してるだけなんでしょ?」と、ニュースの言うことを鵜呑みにしてしまっていませんか?


実は、この中国やWHOの言い分にも、一理あるのです。


そのことについては、また次回、「武漢での初動その②」にて、お話したいと思います。


ではでは。

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