#15 靴下に穴が空いた
わたしの職場には、
わたしが仕事に使っている部屋がある。
ゆかは木目調のクッションフロアになっているので、
靴を脱いで過ごしている。
なので、靴下のコンディションには十分気をつけている。
そのはずだったのだけど、
今日の午後、昼食をとって自室に戻り、
靴を脱ぐと
靴下に穴が空いていた。
親指の先が「こんにちは」している。
その日、わたしの部屋には人が尋ねてくる予定があった。
その人がにわたしの穴あき靴下に気づいて
気を使って口をつぐんでしまうなんてことになったら、
なんだか落ち着かない。
積極的に笑い飛ばすなんていう対応ができるとも思えない。
無駄にドギマギさせてしまうわけにはいかない。
なので、
わたしは来訪者に先手を打って
「靴下に穴が空いてしまった。」
と、言ってしまうことにした。
その人は口元を綻ばせて「2回目…」と呟いた。
前に、わたしの部屋に来た時
同じようなことがあった、と言う。
その時も、わたしは
同じような言い訳じみたことを言って、
穴の空いた靴下を見せたのかもしれない。
まぁ、なんにせよ、
ちょっとだけ、その場の空気もほぐれたので
結果オーライ、ということで。