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NTTコミュニケーションズが「開発の腕をグッとあげる」ために作ったLABとは!

オフィス移転のやり方ひとつで会社は変わり、そこに集う人たちの働き方も変わる。ヒトカラメディアは、「ただのオフィス移転」を「会社の成長の好機」に変えるサービスを提供しています。

今回ご紹介するのはNTTコミュニケーションズ株式会社さんのアジャイルオフィス構築プロジェクト。ソフトウェアエンジニアがプロダクト開発に集中できる場として作られたオフィス「Lean Agile Base 」(略してLAB)。社内横断プロジェクト発足の背景から実際に場ができてからの様子にいたるまでお話を伺ってきました。

<プロフィール>
水嶋 彬貴(みずしま よしき)さん:NTTコミニケーションズ株式会社 UX Researcher 兼LAB管理人

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個人向けオンラインストレージサービスのマーケティングやR&D組織でのソフトウェアエンジニア、プロダクトマネージャーを経て、現在は開発者向けのWebRTCプラットフォームSkyWayのUX Researcherを担当。良いプロダクトは良いチームから生まれると考え、チームビルディングや開発合宿などチームの生産性や心理的安全性の向上にも取り組んでいる。

八塚裕太郎(やつづかゆうたろう):株式会社ヒトカラメディア プランニング事業部・プランナー

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家具メーカーで商品開発やマーケティング、2007年から京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センター(NEO)へ参画するなどワークスタイルのリサーチを担当。2016年10月よりヒトカラメディアへ移り、チームワークを育むための新しいオフィスづくりのプロセスづくりに奮闘中。

斎絢矢(さいあや):株式会社ヒトカラメディア・プランニング事業部・プランナー

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岡山県岡山市出身。名古屋大学経済学部を8年かけて卒業。(4年休学) 休学中の経験から「働く」や「人/組織」への興味が強くなり、復学後は人的資源管理論を専攻。トヨタ自動車へ入社後は人事部にて福利厚生制度設計を担当。その後、新卒人材紹介ベンチャーへ転職し、ベンチャー企業の採用支援を行ったのち、ヒトカラメディアに参画。現在は、組織に漢方薬のように効くオフィスづくりを追及中。

開発に集中できる+ノウハウや文化を共有する場が欲しかった

:早速なのですが、どういった経緯で今回のオフィスを作ることになったのでしょうか。

水嶋:理由はふたつありました。一つはメンバーが開発に集中できる場所が欲しかったということ。もう一つは、新規事業やソフトウェア開発の文化を醸成していきたいという狙いからです。

この先はソフトウェア分野をもっと伸ばしていきたいと考えていますが、元々の強みは電話やインターネット回線のサービスなので、フットワークが軽いソフトウェア分野のアジャイル(※1)という考え方との相性がよくはないんです。さらにソフトウェア周りを構築できるメンバーがそれぞれの部署に少人数しかいない中で、文化やノウハウの共有がされづらい状況はもったいないと感じていました。

少しでも状況を良くするには、一同に集まって「共有できる場」を設けたらいいのではと思ったんです。これは、個々人のスキルアップにも繋がりますからね。自分たちの開発に集中できる部屋がほしい、それに加えて、せっかくならそこにみんなが集まってこれるような場所にしようというのが当初の想いでした。
※1:早く失敗し、早く学び、軌道修正していく

:今回のプロジェクトは有志のメンバーで発足されたものだったと聞いています。実現するにあたって、社内への発信はされていたのでしょうか?

水嶋:そうですね。円滑に進めるためにも味方づくり大切ですから、色々な部署に話を持っていきました。新しく場所を借りて場を作るか、それとも既存のオフィスの場所を一部借りるか・・・ちょうどそんな話をしている時に、グループ会社から、プロジェクトが終わってオフィスを出るので場所を使ってみませんかというお話をいただきました。

八塚:トップダウンではなくボトムアップからのプロジェクトだと思うのですが、新しいオフィスを作るにあたって、実現したい理念や目的に対して会社からの理解は得やすかったのでしょうか?

水嶋:「エンジニアが働きやすい環境整えたい」「ソフトウェア分野を強化していきたい」という点は一致していたと思います。会社としてもこの点をどう実現しようかという状況だったので、エンジニアの僕らがやりたい!と声を上げた時にも、ぜひぜひと歓迎してくれましたね(笑)

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プロジェクトのプロセスをオープンに。メンバーを巻き込んだワークショップも!

:ある程度コンセプトは決まっていたものの、「どう実現しようか」といったタイミングで弊社にご相談いただいたんですね。

水嶋:はい。チームでもどんな空間がよいかというのは考えてみましたが、空間に落とし込むというのが想像以上に難しくて。空間デザインによってそこから自然と引き出される動作が変わってくるので、自分たちじゃ手に負えないなと。コンセプトから相談できるところはないだろうかと思ってFacebook上で相談したところ、ヒトカラメディアさんを紹介してもらいました。

:今回コンセプトづくりの部分はメンバーみなさんを巻き込んでワークショップしましょう!とご提案をさせていただきました。率直なご感想をお聞きしてもよろしいでしょうか?

水嶋:とても良かったです!メンバーがやりたいことと、会社としてやったほうがいい部分に折り合いをつけるのって、なかなか簡単にはいきません。初めは「チームが快適な場所」というのに目が行きがちでしたが、ワークショップを通して会社全体で「横のつながりの大切さ」や「エンジニアに対する育成の課題」をじっくり共有できたので、視点が「会社全体」に変化しました。
「この会社の中にこんな空間を作って、エンジニアたちが集まれる場所を作ろう!」と、気持ちが一つになったのでとても良かったですね。

八塚:今回オモシロいなと思ったのが、対面だけではなくオンライン上からもワークショップに参加するメンバーがいたことですね。ビデオチャットツール「SkyWay Conference」でつなぎながら、Slackで展開された資料に対してコメントがどんどんついていくんです!オフライン/オンラインの2チームで空間を検討したことで、全体の方針がクリアになっていきましたね。
 
水嶋:僕らのチームは心理的安全性をすごく大事にしていて、普段からメンバー同士がお互いに発信しやすい雰囲気だったり、みんなの意見をちゃんと集約して形にしていくことを大事にしていたりします。普段からテレワークOKで、みんな遠隔でチームmtgすることにも慣れているということもあり、今回のワークショップも、オフラインとオンラインで同時にやろうという話になったんです。

八塚:出来上がった施設の名前も、社内で公開募集したんですよね。最初はうまく決まるのかなってドキドキしていたのですが(笑)

水嶋:みんなで投票しよう!と盛り上がって、かなりたくさんの案がでましたね。最終的には、LeanにAgileに挑戦していくプロダクトやサービスのメンバが集まる場という意味を込めて「Lean Agile Base 」に決まりました。

:よくあるのが、多くの人に意見を求めると収集がつかずにまとまらなくなってしまう状況。採用されなかったアイデアが出るとよくないかな、なんてせっかくのアイデアも閉じてしまいがちです。あえてオープンにして、実際に面白い状況が作れているのは、普段からのカルチャーが影響しているのかもしれませんね。

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オフィスコンセプトを決めるワークショップの模様

メンバーみんなで改善!常に開発途中なオフィス

:実際に場が出来てからはいかがでしょうか。当初の目的は実現できていますか?

水嶋:この場所を作るときのコンセプトの一つとして「永遠のWIP(Work In Progressの略)」というワードを掲げていました。エンジニアの言葉で、意味としては「常に開発中」とか、「ずっと進行中」という意味を持ちます。僕らはこの場所を「永遠にWIPだよね」と、よく言っていますね。この場所を与えられたものではなくて、自分たちの空間。ちょっと使いづらいなと思ったら自分ごととして改善してほしいと思っています。実際、運用ルールは全部自分たちで作っていて、不便が生じると、都度みんなで話し合って少しずつ変えていきます。

:みなさんで空間を作っていく、作り続けていくのは凄くいいことですね。

水嶋:一般的に、オフィスはレイアウトを変えられないことが多いと思います。例えば、集中スペースに会議の雑音が入ってくると「うるさい」という不満しか出てこないでしょうけれど、ここでは「じゃあミーティングスペースの場所をちょっと遠ざけようか」という会話が自然と生まれます。次の日にはみんなでテーブルを持ってレイアウト変更したことも(笑)

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開発に集中できるスペース

:設計側としては動かしやすさを空間に入れる意図はあったのでしょうか?
  
八塚:そうですね。仮設計はしたものの、何がそのチームにとってベストなのかは状況によって変わってくることも多いので、あえて作り込みすぎずに余白を残しました。

水嶋:あらかじめ、自分たちの空間として作っていく部分は大事にしたいという旨を伝えさせていただいていたんですよね。コンセプトと空間だけがあって、場の使い方や仕掛けを固定しないことで自分たちの部屋を作っていきたかったんです。

八塚:そうした気持ちを妨げないよう、随所に工夫を施しました。きちっと揃えてしまうと「そこから動かすのはマズいよな」と無意識に思ってしまうので、どう動かしてもおかしくないように「空間の境界」を決めきらないのがポイントです。例えば、デスクもカーペットのラインからあえてはみ出るように設置するとか、照明とデスクのラインも直線で交わらないように意識しましたね。


:空間としての自由度があることで、横の繋がりや事業、プロダクトには貢献している部分はありますか?

水嶋:横のつながりが太くなった実感があって、複数の部署やグループ会社のプロダクトマネージャーたちが集まって自分たちのノウハウを話しあうLT大会を開催したりすることもあります。今僕らが座っているこの芝生で寝転がりながらLTをして、ご飯を食べてなんてシーンもありましたよ。
   
:実は抱えている悩みは似ているのに、同じ会社でも部署が異なると、組織の壁を超えてシェアされないとう状況はよくあります。本来協力しあうべきグループ会社であっても情報共有が意外と難しかったりするのですが、そのような状況があれば障壁はかなり低くなりそうですね。

水嶋:中には初対面の方もいるのですが、ぱっと集まって自分たちのプロダクトの課題感だけでなく、チームビルディングの課題感などについても踏み込んで話せたので、凄くいい時間でした。チーム内でも雑談がしやすくなったとか、中には雑談の重要性に気づいたという声も。自然と雑談が起こったり、そこから人が集まる光景をよく見るようになりました。

八塚:ふと生まれた雑談が、人に伝染して、また人を惹きつけるんですね。

水嶋:そうです、プロダクトの話とかをしていると、どんどん人が寄ってきて。横に座りつつ作業するメンバーもいたり、わらわらと集まってくるんですよ。笑

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:雑談できるスペースをつくりたいというご要望はよくある一方で、作ったはいいものの使われないという場合もあります。実際その点はどうでしょうか。

水嶋:一般的なオフィスだと集中スペースが8割、1〜2割が雑談できるスペースといった作りが多いと思いますが、ここでは逆に大部分がオープンな空間となっています。基本的に雑談していいスペースになっているんですよね。なので、人に話しかけるハードルが低いんです。
   
八塚:そうしたスペースが少なく、オフィスの一部にしかない場合は、なかなか雑談が生まれにくいですよね。オープンな空間が多いと、話していいんだって気持ちになれますし、わざわざ場所を移動して話す必要もありません。

:今後どういう場所にしていきたいですか?

水嶋:自分たちが使いやすいように空間をどんどん変えていってもらいたいのは引き続きなのと、横のつながりをもっと増やしていきたいなと思っていますね。
現在も社内の勉強会や社外向けのイベントとかでも使っているので、そのような機会はもっと増やしていきたいと考えています。集中できる空間は守りつつも、自然とコミュニティができてくる広がりを楽しみたいです!

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チームメンバーとヒトカラメンバーの集合写真