ワンピース×考察:海軍社会の変容!?コビーという”少数派の影響”【Ep41】
こんにちは、ひとかどさんです。
前回紹介した”少数派の影響”はいかがでしたか?
社会は既存の伝統に従いますが、”少数派”が声を上げることで、その基盤が揺らぎ、社会が変容するということを学びました。
今回は、このテーマを漫画『ONE PIECE』を読み解いて深掘りしたいと思います。
場面背景
今回取り上げる場面は、「頂上戦争においてコビーが大将赤犬に立ち向かう」シーンです。
背景を簡単に説明すると、漫画『ONE PIECE』の世界では、「頂上戦争」と呼ばれる戦いが描かれます。
これは、大海賊時代の幕開けとなった海賊王・ゴールド・ロジャーの実の息子であるポートガス・D・エース(名字は母方)を、海軍が処刑すると発表したことで、エースが所属する海賊団の船長であり、当時の「世界最強の海賊」、エドワード・ニューゲート(通称:白ひげ)が、海軍の全勢力と激突した戦いです。
この戦いで、海軍は当初の目的を達成したものの(正確には、エース処刑はルフィが阻止しましたが、その後、エースは白ひげを侮辱した海軍大将・赤犬に立ち向かい戦死)、海軍は「海賊という悪を許さない」という多数派の伝統的思想によって、”戦いの止め時”を見失っていくのですが…。
ポイントとなるのは、海軍は元々、戦争を起こそうとしたわけでなく、エースを処刑したかっただけだということです。結果的に、エースを救いに来た白ひげと対決することになり戦争に発展したわけですが、本来、エースが死んだ段階で、海軍に戦う理由はないはずなのです。
それでは、海軍大佐・コビーの行動を見てみましょう。
コビーの行動
エースの死後、白ひげ海賊団は、戦場から退散しようとしますが、それを許さない海軍。
徹底的な正義を掲げる大将赤犬の「海賊という“悪”を許すな!!!」という号令の下、既に戦意のない海賊を追い詰め、その横では今手当てすれば助かるであろう大勢の海兵がどんどん倒れていくのです。
「”正義”も”悪”も、勝ってなお、渇くばかり」
その場に居て、「悲しい…」と口にするコビーは…
大将赤犬の前に立ちはだかり、涙ながらに次のように抗議するのです…!
これこそ、コビーという海軍の“少数派“が、多数派の伝統に対して抗議した瞬間であり、この“勇気ある数秒”は、ある人物によって称賛されるのです。
シャンクスの称賛
この時のシャンクスの意味深なセリフは、漫画のコマ割りを見る限り、コビーが勇気を出して声を上げたことで、ルフィが戦場から立ち退く一瞬の隙を海軍に与えたと解釈ができます。
その場合、「世界の運命を大きく変えた」とは「ルフィが生き延びたことで、ルフィが将来に何かを成し遂げること」だと読み取ることができるでしょう。
一方で、社会心理学的に言えば、コビーという「少数派(マイノリティ)」が、海軍の伝統(マジョリティ)に抗い、声を上げたことが、海軍はどうあるべきか(海賊を倒すのは目的ではなく、市民の平和を守るための手段のはず)を根本から問い正し、未来の海軍のあり方を変えるきっかけとなり、そのことが「未来、世界政府の運命を変える」暗示であるとも解釈できるかもしれません。
いずれにせよ、この壮大な漫画『ONE PIECE』の奥深さと共に、こうした謎(シャンクスの発言の意図)が解ける日を楽しみにしたいと思います。
7月23日配信予定のEp45では、そんな長編漫画『ONE PIECE』の世界観を、MAP(現代応用心理学)的視点から総括したいと思いますのでお楽しみに!
【参考資料】
巻五十九 “ポートガス・D・エース死す”
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