5月の観劇。



1 アマヤドリ、MU
2 趣向ジュニア
3 キコ/qui_co.
4 渡辺源四郎商店
5 姫路工業高校演劇部 ×3
6 地点
7 劇団ZTON、劇研アクターズラボ+あごうさとし、劇団ショウダウン
8 Display×Drama、劇団ショウダウン
9 うさぎストライプ
10 カクシンハン
11 Wけんじ企画
14 下鴨車窓、劇団くるめるシアター
15 DULL-COLORED POP(短編集)
20 がっかりアバター、遊劇舞台二月病
21 ホロロッカ、赤星マサノリ×坂口修一
22 ロロ
23 ゲキバカ
25 DULL-COLORED POP
28 隣屋
29 文学座附属演劇研究所、劇団5454

30本。1日平均ほぼ1本。
やりすぎたので自重しないといけません。

が、5月は本当に良い作品にたくさん出会えた。

特によかったのが、キコ/qui_co.、姫路工業高校演劇部、劇団ショウダウン、Wけんじ企画、がっかりアバター、ゲキバカ、隣屋、文学座附属演劇研究所。

3分の1近くも特にと挙げてしまうのは如何なものかと思いながら、それぐらい良かった。

そしてまた、他でもかなり良かった、というのを挙げると、趣向ジュニア、Display×Dramaの無名劇団、うさぎストライプ、カクシンハン、DULL-COLORED POP(短編集)、遊劇舞台二月病、ホロロッカ、赤星マサノリ×坂口修一、劇団5454。

これだけでもう半分ほどだけど、それでも他のが面白くなかったわけでも全然なく。

くるめるシアターだけは正直なところ、お世辞にも面白いとは言えなかったが……と、MUはイスが粗悪な上に客席の組み方が最悪だったのでこれだったら映像でいいや、とはなったものの……

何より、色んなジャンルで良い作品を観られたのがとても良かった。
とてもざっくりと感想とか。

○キコ/qui_co.「ラット13」
ネズミに死刑囚の記憶を移植するというSF的な世界観で、その中から生と死、そして非現実的な状況ながらも人間の根本に問いかけるような愛の叫びが溢れる。人間とネズミ、理性と本能が交錯した物語、そこに浮かび上がる問いかけは苦しいほどに胸を締め付ける。Twitterに長文を書いたのでここでそこまで詳しくは書かないが、傑作と言っていいと思う。はるかぜちゃんが出演しているというだけで観にいったけれど、本当に足を運んで良かった。劇団のこれからの活躍も非常に楽しみ。

○姫路工業高校演劇部「贋作マクベス」
昨年兵庫県大会で「ハイスクール天守物語」を観て惚れ込んだ演劇部。言わずと知れた高校演劇の名作を上演した。名作、とは言っても、正直この本を面白くやるのはなかなか難しいと思う。少し上手くやっただけでは、マクベス部分が多くて退屈になってしまうから。台本以上のネタをこれでもかというほど詰め込んで春季の全国大会にまで上り詰めた松江工業の上演はDVDで拝見したことがあって、それは文句なしに面白かった。で、今回、ちょっと笑いに関しては弱いと思っていた姫工がどう来るかと不安混じりだが楽しみにしていた。
で、結果としては、かなり良かった。ネタは決してキレがよいわけではなく、馬鹿馬鹿しく楽しめはするがシュールなだけだったりもした。しかし、マクベス部分の見応えがあったのだ。それは舞台美術と照明、役者の立ち姿が合わさった美しさ。グッと引き込まれる。役者は決してウマいわけではないが、舞台美術に助けられている、というよりは、舞台美術と共にその世界をしっかりと作り上げている。
そして最後もよかった。派手な装置をどんどんバラしていって、それを運ぶ途中で幕。前を見つめる彼らの目は、演劇というその空間を見つめている目そのもの。客席に立ち会えていることを幸せに感じた。良い上演だった。

○劇団ショウダウン「メビウス」
壊れかけのアンドロイドの男女が花を頼りに記憶の旅をする物語。アンドロイドが愛の感情など持つものだろうか。また、辿る記憶、人間だった頃の記憶、そんなものは本当にあるのだろうか。そんな疑問もあるだろう。
しかし、これは人間の、一生という限界における儚い願いに深く根ざしたものだと思う。悲劇的な結末を迎えたとき、理不尽な運命を辿ったとき、心のどこかで、来世での幸せを願うことがあるだろう。幸せに人生を共に歩むことが出来なかった二人も、いつかどこかで、別の誰かになって、巡り合うことが出来たら。そんな願いはきっとどこかにあるだろう。
アンドロイドは、もしかすると、そんな願いを受け継ぐものかもしれない。そんな愛のかたちを、繋ぐものかもしれない。そんな小さな願いも、美しい。

○Wけんじ企画
ユーモアな会話や展開がただただ面白かった。話としてはまあ、不倫相手との行為中におけるEDに悩む中年男の、なんともいえない話。ファザコンな息子がデモ活動をしていて、その仲間(男)と海外に行って結婚するだとか。会社で部下が妻のいる男と不倫していて、相談されたりだとか。会社でいきなりおっぱじめたりだとか。……いやなんか色々ありすぎてかくのがめんどくさくなってきた。何せクソ面白かった。

○がっかりアバター「THE KING OF THEATER」
space×dramaでの2作品を観て、どちらもあんまりピンと来なかった劇団。だから今回、このためだけに大阪に戻るのをかなりためらった。でも、行くと言っていたし、嘘はつけないので、なんとか決心して観に行くことに。
結果的に行って良かった。退屈になるところはあったが、というかむしろ以前に観た2作品に比べてあまり良く出来ていない部分もあるなと思ったぐらいだが、それにしても良かった。特にラストは圧巻。グダグダな崩しも、個人的にはとても好印象だった。なんだろう。もう彼の演劇とは関係のない人たちによって、もう彼と演じることをやめた人たちによって、舞台空間が壊されていく。それは演劇の終わりにとって当然のことではありながら、当然ではないかのように感じている。そんなことをかんがえながら。崩れていく舞台、照らされる二人の姿、彼は入場料を迫られ、そして舞台が終わり、僕たち観客はこの舞台の価値を自分で決めることを要求される。素敵だった。

○ゲキバカ「ごんべい」
0号を観て惚れたゲキバカ。STAR☆JACKSのおぼろも最高だったし。ちょっと以前に観た時よりチケットが高くなっていたので少し迷ったけれど、観に行くことに。
やっぱり観に行って良かったなという気持ちになる。所々に入るエンタメな歌や踊りは気持ちいいし、カッコいいし、惚れ惚れする。
ただただ楽しかったとか、そんなんしか言えないなあ。大好き。

○隣屋「あるいはニコライ、新しくてぬるぬるした屍骸」
道頓堀学生演劇祭で話題になっていて、これは絶対面白いやつだと思ったけれど、ちょうど大阪にいなくて観に行けなかった。
で、校内公演をやるってことで、即予約。正解だった。
いや、よくわからなかったんだけど。でも、わからなくても構わないってことをちゃんと提示しているので、気持ちよく観られた。ただただその空間に飲み込まれた。最後に明かりが消えて、ついて、役者たちが頭を下げるのだけど、なかなか拍手が出来なかった。体が動かなかった。帰りも本を読もうと思っていたのに、余韻に浸っていて、読めなかった。
こりゃあ、話題にもなるわけだ。6月下旬には、道頓堀で上演した作品を再演するらしい。絶対観に行く。

○文学座附属演劇研究所「萩家の三姉妹」
大阪からの知り合いが出ているので観に行った。
休憩合わせて3時間という長丁場ながら、これがびっくり、全く退屈にならなかったし、全く気が散らなかった。
永井愛さんの作品なので、脚本が緻密に作られているのはもちろんのことだけれど、あれほど退屈させない会話を続けるのはこれは相当大変なこと。
大学の劇団が永井さんの他の作品をやっていてとても感動したことがあるんだけど、やっぱりそれでもどうしてもしんどい部分はあった。それ以上の魅力があったにせよ、退屈させないということはこれはこれで大切なことに違いない。
流石だなあ、と思うばかり。ラストは感動したし、良かった。次も観に行こうかな。

とりあえずこのぐらいに。

あと雑感。

アマヤドリは各所で絶賛されていたから観にいったけど、個人的にはあんまりだったりだった。
脚本の内容に関して特に思うところがない、というか、特に感動するところも考えさせられるようなところもなかった。ついでに会場は暑くて不快だったし……
しかアトリエ空洞や1stでの公演を観ていれば、その熱量に胸を打たれていたのかな、という気もする。シアター風姿花伝が広すぎたような。

DULL-COLORED POPは本編は個人的にはボチボチだった。前回公演や、短編集は面白かったけれど。
面白かったには面白かったけれど、ラストの沢山のセリフに「あーはいはい、わかったわかった」という心地。観る前から知っていることで、そして観て流れで既に読み取っていることを、ラストにたくさんのセリフで言われるというのは、気持ちのいいものではなかった。
そして何より小劇場の悪いところについて、開演は押さないことを約束するなど、大きく謳っていた割には、全然快適でなかった。客席は物凄く狭いし、谷さんの誘導も「上手、下手」などと言ったり、演劇人以外には優しくないものだった。対面も効果的とは思わない。単純に気が散る。
作風自体は好きなので短編集は面白かったし、復活しても観に行くと思うけれど、今回はフツーだったな、という感じ。

遊劇舞台二月病は、観た直後はあまりよい評価ではなかった。ラストに感動したものの、全体的に雑っぽさが目立ち演出として完成されていないし、それもあって前半が非常に入り込みにくく、退屈な時間が多かった。
けれど、回を追うごとに評判が上がっていく。
初回を観たのでミスも多かったけれど、ああ、演出的完成されて行けば、これはきっと美しかったに違いない、と。
その絵が頭の中に浮かぶので、もうこれはとても面白かったということでよかったのではないか、と何故か思えた。
初回でも同じクオリティのものを見せるべきだ、というのもわかるんだけど、そう思うこともあるんだけど、よかったと思えたのだからそれでいいじゃないかと。

雑感もこれぐらいに。
6月の観劇予定はぼちぼちと立てている。

確定しているのは、
早稲田大学演劇研究会、iaku、木ノ下歌舞伎、オフィスコットーネプロデュース、キャラメルボックス、大船高校演劇部、劇団綺畸、Fステ、中野成樹+フランケンズ、山形東高校演劇部、隣屋

他にも未定あり。
宮川サキ一人芝居、劇団チャリT企画、to R mansion、887、青年団、青年団リンク キュイ、劇団ショウダウン、など。

6月はどんな作品に出会えるだろう。

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