【勝手に】第3回大阪短編学生演劇祭【見どころ紹介】

9月17、18日にシアトリカル應典院にて開催される大阪短編学生演劇祭。
ついに第3回となりました。僕は、今回はこの演劇祭にとって、特に大きな1回となるのではないか、そんな気がしています。
これからもこの演劇祭が続いて、発展して行くためには、きっと今回盛り上がらないといけない。そのためには沢山のお客さんに観て頂かないといけない。

……もちろん。6劇団も参加しているのですから、シアトリカル應典院での3回公演ぐらいは、参加劇団のお客さんで軽く埋めて頂かなければ……そう思う面もあるかもしれません。
しかし、こういう演劇祭って、お客さんを呼びにくい側面もありますよね。
大学生や高校生が単独で2000円取る公演をすることは、比較的少ないでしょう。自分たちの30分の公演だけで1700円や2000円払って貰える価値があるのか……もちろんそれぐらい、あるいはそれ以上を目指して作っては欲しいものです。
でも、他の劇団がどういう作品なのかも分からないし、気持ちとしてはどうしても呼びにくい……。

だからこそ。
催しとして、いかに面白そうか。
それが見えなければ、沢山のお客さんに観ていただくのは難しくなってきます。

それで僕が、勝手に見どころ紹介というものをしようかと思いました。
演劇祭の主宰には色々情報提供をしたのですが、やはり自分の言葉で書くことも重要ではないか、と。

さてさて……いえ、申し遅れました。
一息人生(ひといきひとき)です。
普段はただの観劇おじさん(22)でございます。4月から神奈川に住んでいて、東北から中国・四国まで、色んなところを渡り歩いて観劇しています。

作り手としての経歴を書くと長くなってしまい、紹介まで読んでもらえなくなってしまいそうなので、ここでは書かないでおきます。
今年は東京学生演劇祭、京都学生演劇祭、名古屋学生演劇祭、の全ての作品を観させていただいています。

それでは早速、各団体について詳しく見て行きたいと思います。

◎パフォーマンスユニット くろずこんび

元劇団未踏座の蓬真一さんによるユニットのようです。劇団未踏座、と言えば、昨年の京都学生演劇祭でお客さんから高い評価を得て、大賞を取り、第1回全国学生演劇祭に出場していた劇団です。
そして、蓬真一さんは、まさにその時の作演出の方です。
僕も全国学生演劇祭でその作品を観ていますが、演出面にいくつか気になる点は見られるものの、演劇祭という催しに相応しい、好感の高い舞台であったと記憶しています。
また観たい、と思わせてくれた蓬さんの作品。
今回はどんな作品を魅せてくれるのか、非常に楽しみです。

◎劇団梵人

近畿大学の演劇部である覇王樹座のメンバーを中心に結成された劇団で、他にも関西大学の学窓座や学園座のメンバーも参加しているようです。
僕は劇団自体の本公演は学窓座しか観たことがないのですが、どの団体も、客演や卒業生で何度も名前を観ています。
覇王樹座はシアトリカル應典院での公演歴も多く、劇場の勝手も少し分かっているのではないでしょうか。
應典院に馴染みの深いところで言えば、space×drama2015で優秀劇団に選ばれた無名劇団の柊美月さんも覇王樹座の出身ですね。
昨年の大阪短編学生演劇祭では、大学の演劇部やサークルに所属している人の参加は少なかったのです。
大阪の私立大学から集まった有志の実力、しっかりと堪能させていただきたいと思います。

◎現逃劇場

幻灯劇場の大阪支部、とのことです。
幻灯劇場は、つい先日の京都学生演劇祭にて大賞を取り、2月の全国学生演劇祭への出場が決まっている団体です。
まさか、この勢いで大阪まで取ってしまうのでしょうか……いえいえ、今年の大阪短編学生演劇祭は有力揃い。またまだ分かりません。幻灯さんの大阪支部なら全国で観られそうだから……と思わず、ぜひともその目で確かめに来てください。
藤井颯太郎さんは、学生演劇祭以外でも大きな活躍をしている、今後の演劇界でも目の離せない作り手の1人です。
高校時代には第2回ハイスクールOMS戯曲賞で佳作を取っています。その作品は僕は観ていないのですが、実は、授賞式をたまたま見ていました。だからなんということはないのですが。
先日、第4回せんだい短編戯曲賞の最終候補が発表され、そこにも残っていました。
今勢いのある大学生の劇団と言えば東の隣屋、西の幻灯劇場、と勝手に思っています。(隣屋の主宰もまた、せんだい短編戯曲賞の最終候補に残っています。)
京都学生演劇祭、昨年の覇者と今年の覇者の作演出が関わる団体が揃いました。一体どんな戦いを見せてれるのか、僕も血が騒ぎます。
大阪支部である現逃劇場の旗揚げ、見逃せません。

◎劇団カマセナイ

こちらの劇団も今回が旗揚げ。
僕は作演出の小野明日香さんの作品を、高校演劇の地区大会で観たことがあるのです。
自分にはあまり馴染みのない地区でしたが、今回出場している精華高校演劇部の顧問の方との繋がりもあって、たまたま観に行った大会でした。
正直びっくりしました。
当時僕は哲学の本などよく読んでいたのですが、尊厳死についてここまで向き合って作品を書く高校生がいるのか、と。
別に高校生だからと言って書けないなんてことは全くありませんが、その筆の力強さにただただ驚きました。
客席は感動のあまり号泣するお客さんもたくさんいて、その舞台はまるで、ひとつのろうそくがゆっくりと消えたようで、客電の明かりに包み込まれた余韻はいつまでもわたしたちを離してはくれないのでした。
幕間交流で僕は大人気なくも、思わず、これからも書いてください、と言ってしまいました。
地区大会ではかなり毛色の違った別の高校の作品が上位大会へと駒を進めましたが、第3回ハイスクールOMS戯曲賞でプロの作家にその戯曲の完成度を認められ、優秀賞を受賞。
本人曰く書きたいことは当時から何も変わっていないようですが、大学生になった彼女が、いったいどんな作品を見せてくれるのか。一人のファンとして、楽しみで仕方ありません。

◎劇団日曜座

ここは旗揚げではなく、道頓堀学生演劇祭などへの参加歴がありますね。
拝見したことはないのですが、道頓堀学生演劇祭vol.9では助演女優賞受賞、および最優秀劇団賞ノミネートだったようです。
かなりの激戦だったと聞いているので、その中で最優秀にノミネートされたという実力、とても気になります。
当時Twitterでは、隣屋とともに、「現代の演劇の根幹を揺るがすと思われた劇団」(@be_crazy_with 様より引用)との評判もありました。
舞台美術を劇団演りだおれの遠藤淳さんが担当されているようで、そこも個人的に注目の一つです。

◎精華高校演劇部

昨年に引き続き、唯一の高校生の参加です。
精華高校演劇部は、北海道、関東、四国、九州、と様々な地で公演をする、まさに旅する演劇部です。
5月には神奈川の作家のオノマリコさんとタッグを組み、趣向ジュニアとして神奈川公演をしました。その舞台は関東の様々な演劇人、観劇好き、の中で大変話題になった公演でした。
この演劇部はオノマさんとの関わりが深く、昨年の大阪短編学生演劇祭でもオノマさんの書き下ろし作品を上演していました。
今年はオノマさんの既成の短編戯曲での挑戦です。
オノマさんと言えば、「アントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」という作品が最近少し話題になっており、今年の8月の高校演劇の全国大会で埼玉芸術総合高校が上演して優秀賞を取り、国立劇場でも上演されました。
その作品、実は、昨年の大阪短編学生演劇祭で優勝した、かまとと小町が9月24,25日にも上演することになっています。
オノマリコさんは神奈川の作家ではありますが、大阪短編学生演劇祭とは深い関わりのある作家と言ってもいいかもしれません。
高校演劇大会の枠に収まらず学生演劇祭に参加する精華高校演劇部、今年はどんな作品を見せてくれるのか、楽しみです。

ということで、6劇団の紹介でした。
僕の知っている情報だけでは、まだまだ紹介し足りないもどかしさもありますが、一人でも多くの方に観てほしいという一心で書きました。

6団体の上演、長いかもしれません。
でも、すべてご覧頂いても、公演にもよりますが、他の公演とのハシゴ観劇も出来ない時間ではありません。
全ての劇団を観て頂きたい気持ちはありますが、お時間の許す限りで結構です。転換時の入退場はご自由です。
ぜひ、この祭りに参加して欲しいです。

少しでも参考になれば幸いです。

第三回大阪短編学生演劇祭
9/17(土)11:00/ 17:30
9/18(日)12:00
※1劇団30分の公演です。各団体の間に5分程度の休憩が入ります。
【料金】学生予約:1700円 一般予約:2000円
【場所】シアトリカル應典院

【上演順】
17日(土)11:00
①パフォーマンスユニット くろずこんび
②劇団梵人
③現逃劇場
④劇団カマセナイ
⑤劇団日曜座
⑥精華高校演劇部
終演予定14:30

17日(土)17:30
①精華高校演劇部
②劇団日曜座
③劇団カマセナイ
④現逃劇場
⑤劇団梵人
⑥パフォーマンスユニット くろずこんび
終演予定21:00

18日(日)12:00
①パフォーマンスユニット くろずこんび
②劇団梵人
③現逃劇場
④劇団カマセナイ
⑤劇団日曜座
⑥精華高校演劇部
終演予定15:30

【ご予約】
http://ticket.corich.jp/apply/76072/009/

詳しくは公式ブログ、またはTwitterをご参照ください。

http://studentfes.exblog.jp/

@play_fes

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